1111話 調査の結果
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獣人用のブラシを作り始めて2日目。様々なサイズのブラシを複数個作る事ができた。
「作ったのは良いけどどうするの? 知り合いに、毛むくじゃらの獣人なんていないわよ?」
「引きこもり体質の綾乃殿には、そもそも友達がいないのではござらんか?」
バザールが棘のある言い方で綾乃に突っ込みを入れている。最近よくケンカまではいかないが、2人でねちねち言い合ってるな。
「仲がいいのは分かったから、とりあえず落ち着け」
「「良くないわよ!」」
「そんな事言っても息ぴったりじゃん。あ~にらみ合うな。片方は骸骨なんだから、睨めっこした所で勝てないんだからさ」
俺の言葉で、ガルルルと言わんばかりに2人がにらみ合い始めてしまった。煽っている俺が言うのもなんだけどな。まぁ1~2週間もすれば元通りになるだろ。今までにも何度かあったしな。
「話が進まなくなるから落ち着け! ゼニスに話は通してある。商会の従業員にそういった家族がいるから、その家族にテスターになってもらう予定だ。話だと、少し毛の長い犬獣人と短毛の熊獣人と毛の硬い猪獣人だって言ってたから、テスターとしては良いんじゃないかと思う」
「見事に狙い撃ちしたような獣人が働いてるのね。ミリーさんは確か、襟足から少し下位までと尻尾と、その付け根付近に毛が生えてるんだったっけ?」
「そうだな。他の獣人の妻たちも多少の差はあるけど、同じような感じだな。特に尻尾は俺が好きと言う事もあって、みんな手入れに余念がないけどね。毎日トリートメントしてるぞ。だからサラサラふわふわで気持ちいぞ!」
「あ~綺麗な尻尾だと思ってたけど、そういう苦労があるんだ。私なんて髪の毛が長いと手入れが大変だから短めにしてるけど、これでも面倒だからな~シュウから地球の高級シャンプーとか買ってても、面倒でしょうがないよ」
「毛がツヤツヤピカピカはいいでござるな! 某もスケルトンを使って、農園の家畜をいつもブラッシングしてるでござるが、さわり心地が違うでござるからな!」
「なぁバザール……骨の手で触って、さわり心地が分かるのか? そもそも骨に痛覚があるっていうのが、信じられないんだけど、お前の体ってどうなってんだ?」
「某にも分からないでござる。某には魔石があるでござるから、その影響で骨でござるが痛みがあるのかもしれないでござる」
「ゴーレムは痛みを感じないのに、骨は痛みを感じるのか? 不思議だな」
「待つでござる! さすがに無機物のゴーレムと、某を同率に考えてほしくないでござる!」
「まてまて素材的に考えれば、ゴーレムは石とか鉄だよな? 骨は突き詰めればカルシウムじゃなかったか? そうなれば無機質だろ? 同じじゃん……」
「違……わないでござるか? そう言われると、ゴーレムとスケルトンの違いって何でござるか?」
「俺にもよくわかんない。スケルトンって一応分類にするとアンデッドだから聖魔法とかに弱いけど、ゴーレムはそういう訳じゃないからな」
違いが分からずに2人で悩んでいると、綾乃から悩むくらいなら骨を使って、ゴーレム作ってみれば? と言われて、作ってみる事にした。
その結果……
「できる過程の違いしかないのかな?」
魔核を使ってつくった骨ゴーレムと、アンデッドのスケルトンの違いは分からなかった。アンデッドは、できる過程に生物だった物の死体が関係するってだけっぽい。でもさ、ダンジョンだとそのまま湧いてくるから、わけわからん!
「考えるだけ無駄かもしれないでござるな。この世界のルールだと思った方がいいでござる」
この世界には考えても理屈が分からない事がたくさんある。そんな時に使う魔法の言葉『この世界のルール』がここで発動された。
不完全燃焼な感じだったが、話し合いはそこで終わり。ゼニスに試作品の山を渡しに事務所へ向かい、する事が無くなったので、ゲームをしてから家に帰った。
特に語る事も無く1週間が過ぎて連休後の出勤の日。工房へ向かうと、入口でゼニスが待っていた。俺が言うのもなんだけど……グリエルやガリアもだけど、お前らいつ休んでるんだ?
「シュウ様、お待ちしておりました。獣人の家族からの使い心地についての聞き取りが終わったので、早く伝えるために待っておりました!」
いい笑顔でそう言われると、なんか俺が悪い事している気分になるだが、ワーカホリック恐るべし!
で、ゼニスが結果を話してくれた。
毛の長めの犬獣人の家族に人気があったのは、俺がいつもクロやギンをブラッシングしている見た目が剣山みたいなタイプのブラシだったとの事。人間の櫛みたいに横に持ち手がついているタイプではなく、上から見るとT字になっているタイプが使いやすいらしい。
これには簡単な理由があって、自分でブラッシングできない範囲が多くて夫婦や兄弟など、身内にブラッシングしてもらう事になるようで、T字の方が使いやすかったと。
短毛の熊獣人の家族に人気があったのは、柄付きブラシの様なタイプのブラシだった。馬のブラッシングに使う毛の長いタイプではなく、本当にタイルとかを洗うような固めのブラシがお気に入りらしい。
誰が使うのかとか思って作ったブラシだったが、予想外にも熊獣人の家族か。肌が頑丈であの硬さが気持ちいいとか言われると、そんなもんなのか? って思ってしまった。
最後に猪獣人の家族も熊獣人と同じで、毛の短い硬いブラシがお気に入りらしい。理由も熊獣人の家族と大差は無かった。
「……てな感じで、肌が頑丈な2家族は予想外にも、柄付きブラシみたいな毛の短い硬いブラシを気に入ったみたいだ」
工房でバザールと綾乃を待って、ゼニスに聞いた話をしてみる。
「理由を聞いてみると、分からなくも無いでござるが、初めの予想で考えると意外でござるな」
「そうね……ちょっと予想外だったわ」
ゼニスが聞き取り調査した際に作ったレポートを見ながら話を進めていく。
「こう見ると、柔らかいタイプの毛のブラシは人気ないわね。全獣人に当てはまるわけじゃないけど基本は、剣山みたいなタイプと柄付きブラシタイプの物で良さそうかな?」
「そうでござるな。とはいえ、毛の短い肌の弱い、この場合は普通と言うべきでござるか? そういう獣人のために、柄付きブラシタイプは、何段階かの毛の柔らかさがあると良さそうでござる」
これで俺たちの話はまとまった。特に柄付きブラシタイプの金属じゃなくても、問題ないブラシについては、木工系の工房でも問題なく作れるとドワーフが言っていたので、何処に委託するかは完全に任せる事にした。
剣山タイプのブラシについては、うちの工房の大型炉を使えば、1回で数百個単位の部品が簡単に作れるので、しばらくはうちの工房で作る事になった。部品の組み立てを外部にお願いする感じにすれば、作業量も増えないから問題ないとの事だった。
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