1108話 俺っている?
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箱を設置すると言ってから2回目の連休が終わった今日、
「シュウ様、設置した箱から紙を回収してもらい、各街の設置場所毎にまとめてあります」
グリエルの執務室に来て1回目の報告を受けている所だ。
グリエルが渡してくれた情報をまとめた紙を見て見ると、面白い事が分かった。
「こうやって見ると、街に関係なく設置した場所によって、似たり寄ったりの内容なんだな~」
「そうですね。私もビックリしています。ですが、よくよく考えると同じような人たちが使うのですから、同じ意見が多いのは当たり前ですよね」
「そう言われればそうか。学校に置いた箱には、もっといろいろな勉強をしたいっていうのと、冒険者にっていうのが多いな。冒険者ギルドに置かれてるのは、どうしようもないな。武器防具が高いとか、回復剤が高いとか……他の街に比べれば、かなり安く設定されているはずなんだけどな」
「あ~それは、他の街から来た冒険者とも呼べない屑が書いていたと、鬼人から連絡が入っています」
鬼人……恐るべき情報収集能力。あ~でも、監視カメラみたいなのを準備してほしいって言ってたから、それを使ったのかな? それでも、書いた人間の情報を調べないといけないもんな、かなり面倒なはずなんだけどな。
「そして、治療院の求婚って……これ書いている人って、どんな分布か分かったりする?」
「えっと、半分程が冒険者ですね。冒険者は女性と接する機会が少ないせいか、優しくされて回復してくれるものですから……後は冒険者と似たり寄ったりの怪我をした街の男からと…‥あ~中には、貴族がかかえこもうとしてるみたいですね」
また貴族か……
「ですが、貴族の方はもう対処が終わっているみたいですね。大半を事故に見せかけて処理しているみたいです」
おっと! すでに終わっている上に、この世にいないらしい。しょっ引く理由がないけど、面倒な奴らだからドサクサに紛れて殺したってことか? それの指示したのって? あ、鬼人が勝手にしてたのね。
あの手の人間はどうせろくなことをしてないだろうから、その対処の仕方でも気にしないけどね。
「ってほとんどって事は、例外がいたって事?」
「調べた結果、1人だけ抱え込もうとしていた理由が、小さな街で悪徳商人が我が物顔で街を支配している街があったようで、身から出た錆であれば放置しておいたようですが、商人のやり方に問題があったようだったので、ゼニスさんに連絡を入れて対処したそうです」
なるほど! そんな所まで考えていたのか。詳細な報告がこれか。
マジか! 住人を盾にとったやり方で、街の大部分の人間を半奴隷的に扱っているのか? しかも、護衛が監視の役割を務めているとか、この事も自分主導じゃなくて、商人にやらされていた可能性もあるって事か?
で、結果は、鬼人が商人を排除して闇に葬り去ったと、それだけだと街の人が困るからって、赤字にならない程度に俺の商会が頑張ってるのか? 色々早くね? とか思ったが、その街では商会の金を一切使っていないらしい。
悪徳商人のため込んだ金をすべて吐き出させて、店をそのまま利用して商会を立ち上げているとか。もちろん孤児院も治療院もセットで準備している。この街の近くには、良質な薬草が取れるらしいので、その内冒険者が集まってくるだろう。
それにしても、冒険者も寄り付かなくなるような街の状況だったのに、良く国が放置していたもんだな。辺境の大きくも無い都市だとそう言う事もあるのか? いや、調査する人間がグルだったと考えるべきか。
その商人の家族は……あ~ドンマイ。親兄弟でも自分が起こしていない罪まで背負うのは、違う気がするけどさすがに今回のこれはやり過ぎだもんな。
成人……この世界では、15歳を過ぎていた全員が奴隷落ちか。しかもその買い手の大半が、かつて苦渋を飲まされていた相手とは……重犯罪奴隷みたいだから、人権なんてほとんどないんだろうな。
物事を考えられるであろう10歳以上15歳未満は軍人に志願させ、それ以下の子は国に王国に預けた。
それにしても、帝国ではこういう事聞かないけど、王国ではよく聞く話だよな。何なんだろうなこの差って? 帝国は実力主義だから、場所によってはそう言った事が起こってると思うんだけどな~
少し首をひねっていたら、グリエルが何か悩んでいるのか聞いてきたので正直に答えてみた。
「その事ですか。確かにそういう領主もいますが、国から派遣されてくる人間には不正が通じないので実力で排除されているそうですよ。実力主義と言っても、帝国民を自由に扱っていいわけではないですからね。そこら辺を上手くやれるような人間が、領主になっているみたいです」
なるほど、中枢の人間が不正にかかわらないのであれば、正常化する力が働くって感じか?
っていうか、それなら中枢の人間を奴隷で埋めれば、不正が完璧に亡くなるって事かな? 禁則事項に不正の内容が入っていればって、何かしらの抜け道がありそうだな。
「うっし、学校については、冒険者になりたい子供の数にもよるけど、学校に併設できるかな?」
「冒険者に限らず、色々な事を教えられる場所にした方がいいと思います。選択できる道を増やすという意味でも」
「そうだな。って事は、学校の増設なり新設は任せる! 他の内容も、その街で対処出来る物は順次進めてもらって、どういった意見があったかっていうのだけ、吸い上げてもらっていいかな?」
「問題ありません。すでにそう指示を出しています!」
「やっぱり有能だな。俺の代わりに「やりません!」……まだ言い終わってないのに」
「シュウ様がいるからこそ、今の状況だと何度も申し上げているじゃありませんか。あまりにしつこいと、領主の仕事を増やして覚えてもらいますよ?」
「ごめんなさい!」
グリエルにそう言われて、条件反射に近いスピードで頭を下げて謝ってしまった。頭をあげると、苦笑いをするグリエルとその後ろで固まって止まっている秘書の姿が目に入った。
思わず軽く頭を下げて挨拶してしまった。
おっと! 秘書ちゃん、飲み物落ちそうだから早めに復活した方がいいと思うよ!
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