1106話 困っている事?
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工房について昨日の事をバザールと綾乃の2人に話した。
「ミーシャをお風呂に入れて気付いたんだけど、獣人で頭の上に耳が付いている赤ちゃんの髪の毛を洗う時って大変なんだよ!」
「なんで? 獣人で大変なのは、クマの体中に毛が生えているタイプの方が大変じゃない?」
「あ~そういう大変じゃないんだよ。赤ちゃんの頭を洗う時って頭の後ろを支えて仰向けで洗うだろ? ミーシャは猫の獣人だから仰向けのまま洗うと、全部耳の中に水が入っちゃうんだよ。だからしっかりと押さえて洗わないといけないんだよね」
それを聞いて、ミーシャの事を思い出したのだろう。耳が前を向いているので、器みたいに水が入ってしまう事に思い至ったのか、綾乃は『あっ!』とした表情になっている。
バザールは、骸骨状態なので表情は分からん!
「俺たちが分からん苦労が、他の種族にはあるんだな、って思ったんだよね。ディストピアやゴーストタウンだけじゃなくて、俺の管理っていえばいいのかな? している街には、迫害されている種族とかが助けを求めて来てるから、苦労している人達が多いんじゃなかなってさ」
「色々あるでござるな。某もお風呂が好きで良く入っているでござるが、体を洗うのが大変でござる」
そう言ったバザールの姿を見てみる。
「確かに骨の状態だと、洗うの大変そうだな」
人間の骨格標本の様な体をしているって、バザールは人間の骨だから標本とは違うか。隅々まで洗うとなれば大変だな。
「今はどうしてるんだ? お前意外に骨がいないからあれだけど、一応参考までに教えてくれ」
バザールは俺の質問に答えてくれた。その答えを聞いて俺は苦笑しかできなかった。
その方法は、日毎に洗う場所を決めて柄付きブラシで一生懸命洗っているらしい。骨のつなぎ目は、諦めるしかないようで、洗剤を隙間に入れて動かしてから流すという感じにしているらしい。
確かに骨の隙間何てどうにもならないよな。
「自分で洗わないで、スライムとかに汚れを取ってもらったらどうだ? ノーライフキングのお前なら骨が溶かされる事は無いだろ? 汚れだけ溶かしてくれるんじゃね?」
「それは試してみるでござる! スライム風呂を作って入ってみるでござるよ。それで成功すれば、風呂につかる時間が増えるでござるよ! いつも体の一部を洗うだけで2時間もかかってたでござるからな!」
マジか! 寝ない体とは言え、2時間も洗うとかすげえ、な。
「まぁ、バザールは例外だけど、種族によってはいろいろ苦労していると思うんだよね。だから、その人たちのために何か作れないかな?」
「ん~いい考えだと思うけど、情報収集するのが大変だと思うよ? 話を聞いてて思ったけど、シュウはミーシャの世話をして、バザールはもともと人間で骨になったからっていう感じで、違う種族だから気付けるんじゃないかな?」
「あっ! そうでござるな。自分たちでは当たり前だと思っている事でも、他の種族からしたら苦労しているんじゃないかって事でござるな!」
あ~そういう事か。確かに自分では当たり前だと思ってたら、違う種族から見たら全然違ったって事もあるもんな。
「とりあえず、いきなり全部作る事なんて無理だと思うから、今自分たちで不便だと思っている所から、アクションをかけてみるのはどうかな?」
2人共それを聞いて、それしかないかな? って感じで頷いてくれた。
「じゃぁ、一応ゼニスと話をしてくるわ」
2人は自分達の作業スペースに移動して「いってらっしゃい」と背中を見せながら言ってくれた。せめてこっち向いて見送ってほしかったわ!
商会に到着すると、ゼニスは忙しそうに書類にサインしたり部下に指示を出していたので、秘書に俺の部屋に案内されてそこでくつろいでいる。
よく考えたらこの商会に俺の部屋があって、いつか忘れたけど色々家具置いたんだったな。ここのソファー気持ち良いな! 横になってくつろいでたら、ダマがお腹の上に乗ってきたので撫でてやった。
しばらくすると、ドアが壊れるんじゃないか? って思う位の勢いでドアが開かれた。
「シュウ様! お待たせして申し訳ありません! 何か御用事でしたか?」
入ってくるなり俺に頭を下げそう言ってきた。別に謝られる事でもないし、時間があるから待たされても気にしないという事を伝えるが、ゼニスは納得してくれなかった。
このやり取りは絶対終わらないと判断した俺は、放置する事でうやむやにする事にした。そのままバザールと綾乃に話した昨日の様子をゼニスにもして、どうやって情報を集めようか迷っている事も伝える。
「なるほど。確かに種族ならではの悩みがあるかもしれないですね。シュウ様の治めている街には多種多様の種族がいますから、住人のためにはかなり良さそうですね。
後は、どうやって情報を集めるかって事ですね。庁舎や学校、各ギルドあたりで、以前話していた意見箱みたいなのを、作ってみるのも面白いかもしれませんね」
「あれね。確かにありかもしれないな。どうでもいいような意見も沢山あるかもしれないけど、いろんな情報が手に入りそうだな。ついでに、街で改善してほしいとかこういう事してほしい! みたいな意見箱も一緒に作るか!」
「それもありかもしれませんが、今回の話だと一応グリエルさんに通したほうがいいですね。今から行きますか?」
行こうと思ったが、ただこれだけの事を話すためにディストピアに戻るのはどうなんだ? と思ったので、魔導無線で呼びかけてみた。
『シュウ様ですか? どうなさいました?』
これでも問題なさそうだったので、一連の流れをグリエルに話してみた。
『それは良いですね。ガリアも賛成してます。後、領主代行や街の中枢に近い人間は、信用のできる人間か奴隷で固めているので不正や横領は無いと思いますが、末端ではあるかもしれないので、街中でそういう要求をされたりしている人を見かけたら、密告みたいな事も出来るようにしたいですね』
「ん~それだと、誰かに冤罪がかかったりしない?」
『鬼人の方が最近訓練以外にする事が無くて困っていると陳情が上がっていまして、調査させるのにちょうどいいかと思うのですがどうですか?』
「え? 鬼人の皆って今でも忙しく情報収集とかしてくれてるじゃん。暇なんてなくね?」
『それがですね。スキルも育ってきたおかげで効率が良くなっているようで、手が余っているらしいんです。だから、もう少し仕事をもらえないかって……』
「鬼人の皆がそれでいいっていうなら許可をするけど、ゼニスから見てダメそうなら、ちょっと考えるか」
『では、しばらく様子を見てですかね。それに、意見箱を設置してもすぐにそういう情報が入ってくるわけでもないですし、鬼人の皆さんに提案はしてみます』
なんか変な方向に話が進んでしまったけど、何とかなりそうだな。
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