1101話 ニコの大冒険Ⅰ
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ニコの不思議を知ってから1週間。休日が来たので気になる事を確認してみる事にした。
「……と言う事で、今日は1日中趣味部屋でニコの行動を、テレビに写そうと思ってるから、気になるなら見にきていいよ。もちろん他に遊びながらできるようになってるから、ニコの行動を見るつもりが無くても遊びにきていいよ」
そう、今日はニコの行動を見るために、趣味部屋を使おうと思っている。まぁ、俺は遊ぶためにゲームも準備している。
昔、ゲーム好きの母親も父親もやった事あると言っていたS〇GAのゲームで、シリーズ6作目になる歌劇団が物語の中心として話が進んでいく、ドラマティックアドベンチャーゲームを準備している。
「で、シルキーたちには悪いけど今日は向こうで食事をとるから、いつでも食べられる軽食をたくさん用意してもらってもいい?」
「その顔を見る限り意見を曲げる感じではないですね……分かりました。全員が向こうで食べるわけではないですから、私たちが向こうのキッチンでご主人様の食事を作ります。ブラウニーたちは、こっちでいつものように準備をお願い」
スカーレットが代表して答えて、割り振りが決まった。
そして、ニコは朝からいないので、どこかに出かけているのは確認している。
「さてさて、ニコは何処にいるのかな~」
マップ先生の監視機能でニコを映し出す。
「ん? 朝から見ないと思ってたけど、まだ屋敷の中にいるんだな」
妻たちはまだ誰も来ていないので独り言のようになっている。
そして今日の主役のニコは、家の廊下を進んでいるようだ。しかも向かっている先は食堂のようだ。
それにしてもぬるぬると動くんだな。視界が多少上下するのだが、滑るように移動しているのが分かる。食堂に着くと近くにいたブラウニーに触手を伸ばして、何やら食べ物をもらっている。
スライムなのにしっかりと味覚があって、美味い不味いを判断するからなあいつ……前に好みじゃない食べ物が出されて、一応全部食べたけど次からはこれは出さないでほしいと、ブラウニーに注文してたんだよな……マジで不思議な奴だ。
食べ物をもらった後は庭に出ていき、そこで日向ぼっこをしていたクロの上に乗ってプルプル震えていたら、邪魔だと思ったのかクロが体を大きく震わせた。
弾き飛ばされたニコは、クルクルと回転しながら塀の上に着地した。しかも触手を伸ばして自分で自分の着地を評価していた。
『10.0』
確かにすごいけど、自分でそれをやっちゃうってどうなんだ? 俺が見ているなんて知らないだろうから、いつも1人……1匹? でやっているんだろうな。
塀をのんびりと移動しているようで、上からちょこちょこ道を歩いている人たちを観察しているような感じだ。
スライムがどこを見ているかなんて普通は分からないだろうが、注視している方向を向くのでどこを見ているかが分かるのだ。ただキョロキョロしているわけでないので、画面を見ていて酔うような事は無いのが救いだ。
街の中心につくと、なんと屋台巡りを始めたのだ。嗅覚があるか分からないが、味覚があるのだからあってもおかしくないだろう。でも不思議な感じがする。
地面に降りて移動しているのだが、街の人たちは慣れているようで手を振っている人や、踏まないようにごく自然に避けて歩いている街の人。
あ……屋台の人がニコに向かって、自分の店の商品を投げている。食べ物を投げるなって言いたいが、ニコが飛び跳ねてしっかりキャッチして、体内に取り込んでいた。
美味しかったようで、屋台のおっちゃんの所に近付いていき、触手で5個欲しいと要求していた。クロたちもそうだったけど、こいつも無銭飲食してたのか……クロたちには首輪に財布を付けるようにしていたけどニコは……今までの分どうするかな。
なんて思っていると、体の中からお金を取り出して店主に渡していた。あれニコって収納系のスキルなんてあったっけ? スライムゴーレムたちに収納アイテムは持たせていた気はするけど、ニコも同じなのか?
とりあえず、これで無銭飲食では無かった事を喜んでいいだろう。でも、そのお金って何処で手に入れてるんだ? 誰も渡してないと思うけど、盗んだりしてないよな? 無銭飲食じゃないと分かったが、違う心配が産まれてしまった。
それから5つほど屋台をはしごして移動を開始した。15軒ほどの店主から商品をもらっているが、その中から5つか、何か基準があるのかな?
「わ~すごい! ニコちゃんってしっかり買い物ができるんだね!」
俺以外の声が聞こえてきた。年少組が遊びに来たようだ。みんなで、すごいね! かしこい! など、ニコをほめている声が聞こえる。
「みんなはニコにお金渡した事ある?」
一応聞いてみたが、全員が首を左右に振った。マジで、何処であのお金を手に入れているんだ?
あれ? 屋台から少し離れた位置で後ろを振り向いたようだ。そうすると、ニコが商品を買った屋台に行列ができていた。何を食べようか迷っていた人たちが並んだようだ。
もしかしてタダで商品を投げていた店主たちも、これを狙っていたのか? 商品1個でその日の売り上げが上がるなら、必要経費と言う事だろうか?
何となく満足げな感じでその様子を見てから、また移動を開始した。次の目的地は……え? 冒険者ギルド? ニコが何でこんな所に用があるんだ? ディストピアだから問題ないけど、冒険者からしたらお前討伐対象になるぞ!
その割には慣れた感じで、冒険者の列に並んでいるな。しかも並んでいる冒険者の肩に乗せてもらって、会話の輪の中に入っているようにも見えなくない……なんだこれ?
肩に乗っている冒険者の順番が着て処理が終わったら、そのまま受付の台の上に乗せられていた。
周りと変わらない様子で受付嬢が対応を始めた。ニコ専用と思われるカードが並べられた。
『買取り』
『依頼受注』
『依頼報告』
『その他』
4枚のカードがニコの前に並べられた。まるで冒険者のようだ。ニコは4枚のカードの内、買取りのカードを触手で指した。
そうすると買取りカウンターへ連れて行ってもらっているようだ。なんで初めからそっちに行かないんだ? そして、普通に対応している受付嬢は何なんだろう?
買取りカウンターへ到着すると、お金の様にどこかから素材を取り出して清算を始めた。
「ニコちゃん凄いね」
シェリルが発した一言がこの場のすべてだった。
そしてニコが普通に収入を得ているようだ。ハイスペックスライム。クロやギンより賢いんじゃねえか?
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