1095話 かけあし
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「ん~予想していた通りと言う所かな? 湧くタイミングは、復活する魔物の数に比例している感じだね。本当に比例しているかどうかは別としてね」
「他に条件がありそうですが、私たちだけで検証するのは難しい気がします。が、私たちが検証する必要は無いと思いますので、復活する魔物の数によって時間が変わる、という事が分かっているだけでも十分な情報だと思います」
なるほど、そういう考え方もあるな。いちいち全部検証する必要もないわけだし。それに検証した内容を公開するわけでもなければ、検証する必要すらないか。
「さて、ダンジョンの魔物の湧きに関してはこんなもんでいいだろう。片付けが終わったらさっさと進もう」
今日中に45階まで行きたい所だけど……今いるのが31階入り口付近、フロアの広さは700メートル四方に広がっている。15階分を1日で降りれるだろうか?
色々考えても仕方がないので、急ぎ足で進んでいく。
31階から45階まで迷路タイプのダンジョンになっているので、昨日の内に夜番で起きているメンバーに、45階までの最短ルートにマークを入れてもらっている。それを元に移動しているので、普通の探索に比べれば十分に速い速度で移動している。
朝起きてドロップ品を確認したのだが、アイアンゴーレムからドロップされた鉄鉱石は、微妙に質が違っていた。
もっと細かく言うと、謎のキラキラがある物と無い物が半々と言った所だ。何でこんな違いが出るのかは不明なので、一応その2つを分けて保存している。地上に戻ったらドワーフに聞いてみよう。
お昼までに進めたのは38階。36階からの魔物はビックリした事に、昆虫系の魔物が出てきたのだ。黒い悪魔はいなかったが、カマキリやカブトムシ、クワガタ、ハチ、クモ等が出てきた。あっ、クモは昆虫ではないけど、魔物の括りとしては昆虫になっているのでそう表現している。
25階までは、5階毎に1種類ずつで、上の階層の魔物が追加で出て来ていて、沼地では1種類の魔物が大量に出て、31~35階はアイアンゴーレムだけ、それがここにきて一気に魔物の数が増えた。統一感が無くてちょっと体が痒くなる感じがした。
36階からはアイアンゴーレムとは違い、俺たちがいる部屋には湧かない感じだった。なので、徘徊する魔物が散発的に襲ってくるという、面倒なやつだった。
食事中に昆虫は出てきてほしくないよな……見た目がね。
時間的には今日中に45階にまでたどり着けそうな感じなので、更にスピードを上げて進む事になり、おやつになる前には42階に到達できた。
41階からは、今までの階層に出てきた魔物が全部出てきた。その上追加で、出てきた魔物の上位種にあたると思われる魔物もかなりの数がいた。
すべての魔物がいるという事は、面倒な沼地も部屋の中に用意されている。まぁ広くても25メートル四方しかないので、飽和魔法攻撃で撃ち殺してから道を作って移動している。
アイアンゴーレムの上位種は、どうやらミスリルゴーレムが出てきている。ここまで来れても帰りがあの沼地だと考えると……運べる量に限界があるよな。
ショートカットとか、一方通行でもいいから地上に出れる近道があれば違うかもな。
おやつの休憩は、周りを警戒しながら立った状態で、クッキー等をつまみながら水分補給するだけにとどまった。
そこから先は特に何もなく45階へ到着した。
「到着したは良いけど、この後どうする?」
「来てみましたが、上の階と大して変わりませんね。この階層を虱潰しに探索してみますか?」
「ん~、そうだな。せっかくここまで来たんだから、この階くらいは隅から隅まで調べてみるか」
3チームに分かれてエリアを決めて調べる事にしたが、さすがに時間が時間なので今日はこの階の中心あたりまで移動して、そこに野営コンテナを組み立てた。ちょうど入口が1つだけの部屋があったのだ。
入口が1つなら、1人で十分対応できるけど、まぁ3~4人で1組になって夜番をする事になった。
夜番中に、45階はアイアンゴーレムのフロアと違って、結構な頻度で沸いているのではないだろうか? と思う位に魔物が攻めてきた。
10~20分に1組のペースで襲ってきたので、かなり面倒だった。俺たちからすれば強い物では無かったが、ただここまでやっと来れる冒険者からしたらどうなのだろうか?
「ドロップ品多いですね」
目の前に積まれたドロップ品を見て、ピーチが思わずこぼした一言だ。普通だったらこんなに持って帰れないよな。ん~25階まででも十分だから、気にするだけ無駄かな?
「さぁ、今日はこの階の探索をして、最後っぽくみえるこの部屋に集合しようか」
ボス部屋と言うわけではないだろうが、何となく埋められたマップを見ると、一番奥に見える部屋があるので、そこに集合する事にしたのだ。
今回は歳で分けずにクジでチームを決めているので、偏ったメンバー配置だが楽しい道中になった。
俺がチームは、ライム・ジュリエット・レミー・イリアの魔法組と、メアリー・マリアの弓、ネル・俺の8人の遠距離攻撃チームだったのだ。何と言うか、シューティングゲームになっていた。7人が先を競い合って、数少ない魔物を競い合うように倒している感じだ。
俺は始め魔法でやっていたのだが、弓の発射速度に勝てないので弓に持ち替えて、しかも魔法まで併用してみんなから大人げないと言われたが、競争するのだから全力でやる事にしたのだ。
「っと、競争だけしているわけにはいかないぞ! 壁なんかもしっかり確認しながら進まないとな、罠探知ができるメンバーがいないから慎重にいかないとね」
ほとんどの罠が魔法や矢の攻撃によって無力化されているため、そこまで慎重になって進む必要はないんだけどね。
1つだけ危なかった罠があった。しかも質が悪い事に、パーティーの最後のメンバーがひっかかる様にできている落とし穴だったのだ。その罠にかかったのは、考え事をして一番後ろを歩いていた俺だった。
どんな落とし穴だったのかと言うと、そこに槍が敷き詰められていて、落ちどころが悪ければ即死、悪くても槍に刺されれば、よほどのことがない限り時間を置かずに死ぬだろう罠だった。
しっかりと装備をしていたため槍が刺さらなかったのだが、隙間にはまるような形で動けなくなったのだ。最初こそ心配していたみんなだが、俺に怪我がないと分かると、面白い格好をしていると笑われてしまった。
そんなこんなで騒ぎながら移動していると、ゴールの部屋までたどり着いた。
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