1092話 ヤバいスキル発見
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「どっちでもいいんだけど、もし山羊だった場合、問題があるんだけど」
「山羊だと問題があるんですか?」
ピーチが不思議に思って聞いてきた。
「結構問題があるんだよね。あれって、すごく臭いんだよね。沖縄でヒージャー汁ってのがあって、って沖縄って言っても分からないか、俺の住んでた日本の1つの地域なんだけど、そこに旅行に行った時に山羊で作った汁があったんだけど、俺は匂いがダメで食べれなかったんだよ」
昔、家族旅行に行った所に居酒屋みたいなところに行ってしめを頼んでみた所、ヒージャー汁が出てきたんだよね。父親は普通に食べていたけどな。
「臭いがきついんですか? 納豆みたいな感じですか?」
「いや、納豆も臭いんだけど、納豆は普通に食べれるけど、山羊汁は方向性が違くてね臭いんだよね。クサヤも平気だけど、山羊汁はダメだった……」
「えっ!? クサヤより臭いんですか?」
シュリが驚いていた。食事に関して食べられない物はほとんどないが、唯一今までに食べられなかったものがクサヤだったのだ。それで驚いているのだ。
おそらく世界一臭いと言われている缶詰のシュールストレミングもダメな気がするけど、俺も食べれないだろうから召喚するつもりはない。
「とりあえず、1回倒してみましょうか。出てきたお肉を調理して評価してみましょう」
そういう事になったので、30匹くらい倒したのだが……お肉が一切出なかった。上の階が鳥の魔物で肉が出たからこの階も、と思ったら違ったのだ。
「肉は出ないけど、毛がたくさん出るから羊なのかな?」
「食べれないから出ないのではないでしょうか? そう考えると山羊の可能性も高いかと思います」
「どっちでもいいか。とりあえず、ウール素材のあったかい服が増えるな。毛糸で編む方は時間がかかるけど、慣れるとすごい人がいるからな。でも、これを生地にするのは結構めんどいんじゃなかったっけ? うちでもまだ成功してないんじゃなかったっけ?」
「普通に糸に加工して、それを織る事は問題ないですが、羊の毛を複雑に絡ませて作る不織布でしたっけ? あれにはまだ成功してませんね。圧縮してやるみたいな事を試してはいますが、専用の道具が無いとうまくいかないんじゃないかって話になってます」
フェルトみたいなのも作っているのだが、なかなかうまくいっていないようだ。板に挟んで圧縮してみたり色々試しているが、きちんと知識が無いのでそれっぽいのは出来ても実用性が無いらしい。
織機を作ったから急いで加工できるようにする必要はないか? 毛糸で服を編んだりするのは、昔からやってるみたいなので上手い人が多いのだ。だから慌てる必要もないな。
「ここではいつでも生地の素材が取れるって事で、産業的にも問題なさそうだよね!」
確かに、産業的には農業、肉、生地、冒険者? もあるから色々目白押しだな。街がそのまま使えるのは良いけど、管理が面倒だな。まだ管理できる人がいるみたいだからいいけど……と言うか、街を増やすつもりはないんだけど、なんか増えるんだよな。
作る形が決まっていて作る作業だけでいいなら、おそらく俺たちと土木組がフル活躍すれば、農耕地と簡易的な建物付き城壁アリの街で、おそらく2週間もあれば最低限作れてしまうからな。それに商会の力を使えば、食べ物だって採れるようになるまでの物資だって問題なく集めれるからな。
いかんいかん! こんなこと考えてるとフラグになる! やめやめ!
「とりあえず、進もう。森を見た時はお肉が続くかと思ったけど、そんな事ないし26階に何が出てくるか気になる」
そう声をかけ、俺たち以外いないので周りへの被害を考えず一気に進む事にした。
階段から階段まで一直線で移動できるので、21階は一直線に焼き払って走って移動した。でも、これは失敗だったな。地面が燻る程高温だったため移動する時に熱かったので、冷却して移動した。無駄な魔力を使ってしまった。
22・23階は前衛組の武器によって切り開きながら移動した。何か溜まっていたみたいで、鬱憤を晴らすように薙ぎ倒す姿は、ちょっと怖かったぜ。
24階は魔法組の出番。サンドストーム、カッターストーム等、熱の発生しないタイプの前方に撃ち出せる魔法をチョイスして使っている。
25階は、弓と俺の出番! 思いつきではあるが、バザールがダンジョンバトルした際にゲットしてくれた、魔力弾を使ってみようかなと思ったのだ。
弓じゃ無理じゃね? とか思っててすいませんでした。目の前に弓で作ったとは思えない道ができていたのだ。正直目を疑ったね。ピンポイント攻撃が弓の持ち味だと思ってたのに。
メアリーとマリアが何をしたのかというと、2人で横に並びスキルを発動して魔力で強化したアローストームを使ったのだ。
アローストームは、範囲攻撃に適したスキルではあるが、ダメージを与えるよりは行動阻害……デバフを与えるスキルなのだが、強引に強化して矢が通った場所を、強引に削り取るまで強化していたのだ。もう、この世界何でもありじゃね?
「これでもタンク陣の壁は抜けないよね」
これだけの効果を発揮させたのだが、2人は不満だったようだ。相性があるんだから無理に決まってるじゃん。俺が不意打ちを受けた時だって、防御の薄い首だったしね。
「うっし! じゃぁ次は俺だな!」
魔力弾は、魔力をそのまま攻撃に変換するため調整が、普通の魔法に比べてはるかに簡単なのだ。だけど、上限についてはまだ実験をしていないので、ついでにここで実験をしてしまおうという魂胆なのだ。
あまり魔力を使いすぎて大参事になるのも困るので、1割程の魔力で半径1メートル程の球で打ち出してみる事にした。
「おぉ! 思ったより威力がある!」
「ご主人様の魔力量を考えれば、これくらいは普通じゃないですか?」
ドッペルとはいえ、かなりLvを上げているのだからこれくらいになってもおかしくないのか? 基準になる物がないから分からんな。
「圧縮して撃ち出したりもできるんですよね?」
「もちろんできるよ」
俺はそう言って先程と同じ魔力量で、半径10センチメートル位に圧縮して撃ち出してみた。
「え?」
魔力弾が当たった木が、魔力弾の形にえぐれていた。しかも見える範囲50メートル位先まで同じ結果になっていた。1メートルの魔力弾で150メートル先までえぐり取ったんだから、この結果もおかしくないけど、速度まで早くなっていた。
「ご主人様、ダンジョンに穴が開いてたよ?」
魔力弾が着弾した壁を見に行っていた年少組がそう報告してきた。
「魔力密度で言えば、単純計算で1000倍になっているわけですから、ありえない事は無いですね」
この魔力弾、予想以上にヤバいスキルじゃないか?
魔力弾の威力にビビりながら26階へ降りて行った。16階から続いている1フロアタイプの階層なので、草原、森と来て何が来るかと思ったら……
「何で沼なんだよ!」
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