1091話 こいつはなんだ?
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「おや? 一気に雰囲気が変わったな。マッピングした物を見た感じで変わるのは分かってたけど、ここまで変わると正直びっくりするよな」
マッピング済みの地図を見て、広い空間になっていたのは分かっていた16階。それがこんな形だとは思わなかった。
そこは見渡す限りの草原となっている。鶏系の魔物が3~7匹程度集まっているのが、確認できる程度に開けている。
「これなら不意打ちもないですし、上のオークよりは弱くなってますね。あの鳥の魔物はお肉をドロップするタイプの魔物なので、鶏肉に困る事は無いでしょう。オークも肉を落とすのであれですが、食用としては獣の方が美味しいですからね」
体質の関係もあってよく食べるシュリが、お肉について評価している。
オーク肉を食べていると聞いた時はビビってたけど、普通に豚肉だったからな。特売で売られている豚肉くらいの味はしているので、量産される肉としてはレベルが高いだろう。それに鶏肉が追加される。
少なくとも1つの都市が賄える位には肉の産出に問題はなさそうだ。
「そういえばこの魔物と戦った事ないけど、オークよりは弱いのか?」
「ご主人様のダンジョンにもいるのに戦った事ないんですか? あの鳥の魔物は、素早いですが四足歩行の獣型に比べると見劣りしますし、機動力にも難がありますね。ただ鳥と言うだけあって多少飛ぶことができますが、飛んでしまえば普通の鳥のように自在に飛べないのでいい的になりますね」
オークに比べれば力もなく、飛びぬけて早いわけでもないようだ。オークのエリアを突破できるなら、問題なく倒せるだろうとの評価だ。
「ここまでの様子を見てれば、新人にも使えて肉の生産もあるから、街を作った判断は間違いじゃなさそうだね。とりあえず、それだけが救いかもしれないね」
18階に差し掛かったところで昼食になったので、とれたての鶏肉を調理してみる事にした。
「あっ、なんかこれ昔に食べた覚えがあるな」
「ダンジョン農園の牧場エリアができる前までは、この鳥の魔物のお肉が中心だったので、覚えがあるのかもしれませんね」
なるほど、覚えがあるわけだ。ん? よく鶏肉の味なんて覚えてたな、我ながら恐るべし!
「何か納得しているようですが印象に残っているのは、それだけ牧場エリアのお肉が美味しすぎたからではないでしょうか?」
シュリのセリフにみんなが頷いている。この鶏肉も不味いわけでは無いのだが、みんなの共通する思いのようだ。
昼食も終わり、腹ごなしで近くの鳥の魔物を一蹴して進んでいく。見渡しのいいフロアなので、一直線で進む事もできる簡単なフロアだな。なんて思いながら進んでいくと、急にネルがしゃがんであたりを調べ始めた。
「ご主人様! ここら辺の草、雑草かと思ったら所々に薬草があります! 魔法薬にも使える薬草も多くありそうです!」
ネルに言われて俺も確認して見ると、多くは無いが確かに薬草があった。魔法薬にも使える魔力を含んだ薬草も結構ある。
「そういえば、薬草って綾乃のスキルかDP、ダンジョン農園以外では、樹海とかでしか採取できてなかったな。そう考えると、このダンジョンってあたりか?」
「一応繊維ダンジョンでも薬草系は取れるよ! あそこは植物系の魔物が多いから、ドロップもダンジョンの中にも生えてるんだよ!」
そうなのか。適当に作ったり、条件付けたランダム作成がほとんどだったからな。何が取れるか正確に分かってなかったりするんだよな。
「でも、採取できる人が単独でここまで来るのは厳しいよな。ちょっともったいない気もするな~」
1階から採取できる物だったら、集団で入って助け合いながら採取できるのに、本当に残念だな。
とれる物を一応確認しながら、メモしていく。
「思ったより色々な種類が取れるの! でもそのせいか、1つ1つの量が少ないね」
シェリルがそう言って、この階にある薬草の種類と量について評価をしていた。確かに、種類が多いのはありがたいが、量が無いのは厳しいな。まぁ肉が取れるから、薬草がたくさんとれなくてもいいんだけどな。
その後は何もなく20階まで、すぐに踏破できた。
「ご主人様。そういえば、ボスがいないね!」
20階に到達してもボスがいなかったのだ。それに強い個体と思える魔物もいないので、ボスがいないダンジョンなのだろうか? チビ神の話だとコアもないしそう言う事もあるかな?
俺のダンジョンも基本中ボスなんてほとんどいないから、あんまり気にしてなかったけど年少組は他のダンジョンに潜るイコールボス戦がある物だと考えているようで、それがないことに微妙に不満顔になっている。
そして、先行させていたウィスプが45階で止まってしまった。マッピングされた地図を見ても、ボスらしき魔物がいそうな場所が無い。年少組からしたら不完全燃焼で終わりそうだ。
21階に入ると、森だった。1フロアタイプだから草原をイメージしていたのに、森だったのでちょっとビックリした。
「ご主人様。この階は、羊がいるみたいです」
へ~、羊の魔物って毛を刈るあいつ以外は見た事ないけど、どんな感じの魔物なのだろうか? 期待をして羊の魔物の所へ向かう。
「え~」
見てすぐにその声が出てしまったのはしょうがないだろう。だってさ、どう見ても羊じゃなくて山羊の魔物じゃん。
フォルムは違うんだけど、俺が知っているバフォメットをデフォルメして丸めて、羊のモコモコの毛皮を着ているのだ。まぁ山羊と言ったのは、山羊の角があるからな。
「これって、羊なのか?」
「違うの? だって羊さんみたいにモコモコしてるよ?」
「山羊とも言えないけど、羊とも言えないかな?」
山羊って何? みたいな事を言われたので、説明をしようと思ったが説明する言葉を持っていなかったので、DPで図鑑を取り出して羊と山羊の違いを分かる範囲で話した。
「確かに羊じゃないのですね、でも山羊でしたっけ? それとも違う気がします」
「この魔物は何でしょうね?」
魔物なので普通に俺たちに攻撃をしてきているのだが、タンク陣に体当たりを止められ、蹴飛ばしても止められ、若干はぁはぁしている。しかも途中からバフォメットみたいに2足歩行みたいに立つのだが、モコモコが立ってるだけで迫力が全くない。
なんかかわいいとまで言われて、どうにも敵になりきれていない。
魔物と戦闘中何だけど、この緩んだ空気どうすっかな。
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