1080話 ひと段落?
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ゴーストタウンのダンジョンを改装してから2日目の朝。
すでに冒険者ギルドでは、新しいエリアの情報で持ち切りだ。普通なら1週間後とか公表されるのが普通なのだが、わずか1日で公表された。情報の信憑性についても初めは議論がなされたが、情報の提供者がディストピアの冒険者だという事が分かり、真実であると判断したらしい。
そして話題になっているのは、新しいエリアで獲れるドロップ品であるクリアメタルについてだ。冒険者ギルドが、クリアメタルもそれなりの値段で買い取ると宣言があったため冒険者の間では、鉄鉱石かクリアメタルかどっちを狙うか? という話でパーティー内で議論中だ。
普通ならクリアメタルはハズレに近いドロップ品なのだが、ゴーストタウンの工房では加工ができるとの事で、冒険者ギルドが大々的に買取りを約束してくれたために議論が白熱している。
クリアメタルを加工するのには、ドロップ品基準の石炭が必要だという事も、冒険者の中では知られている事で、石炭を中心に狙っているパーティーは、石炭の買取価格が上がった事でテンションがうなぎのぼりのようだ。
俺的には、鉄鉱石やクリアメタルの下の階に石炭があるのは、何か不思議な感じがするのだが、採掘に関しては素人の俺にはそれがあっているのかすら分からない。
でも、ドワーフたちの話では普通の順序として、鉄鉱石⇒亜鉛・スズ・鉛等⇒石炭⇒銅⇒硫黄⇒銀⇒金と言った感じで産出する量が減ってくるらしい。地球でも同じなのか分からないが、この世界ではこんな感じらしい。
で、クリアメタルは鉄鉱石と石炭の間、亜鉛なんかより少しすくないらしい。まぁ、これは自然界から産出される物で、魔物からのドロップ品はまた変わってくるのだがそこまで大きな差はないらしい。
ただ、ダンジョンは階層やエリアによって産出量が決まってくるため、ダンジョンと冒険者の質で量が変わってくるとの事だ。
まぁ何が言いたいかと言うと、ゴーストタウンの冒険者ギルドは、かつてないほどにぎわっているという事だ。関係ないとかいうなよ? って誰に言ってんだか。
今日は、冒険者ギルドの様子を見るためにダンジョン監視室に来ているのだ。そこで様子を見ながら、冒険者の動向を見るためだ。
ちなみにバザールと綾乃の2人は、自由作成期間を過ぎて今は工房でドワーフの指導の下ほどほどに、ミキサーやみじん切り器を作成している。適度に息抜きをさせているので、先週のような事にはならないだろう。
自由作成期間にバザールは何を作ったかと思ったら、バザールの管理している農園ように魔導具を作っていたようだ。今までいくらでもする事が出来たのに、なぜ今更かと思ったら、スケルトンたちは何も言わなかったために、何が必要か分からず農具の更新をしていなかったそうだ。
便利道具を作っていて農具を変えたら、もっと簡単に作業できるのでは? と考えたらしく、遅まきながらDPで召喚して、クリエイトゴーレムで魔導具化した農具や機械を渡しているそうだ。
それにしても、普段の冒険者ギルドより賑わっているらしい。活気が出る事は良い事だな。っていうと、今まで活気がなかったみたいになるか。
「どうやら、ゴーストタウンの冒険者は、話の内容を分析すると、今鉄鉱石をターゲットにしている冒険者の3~4割位がグラスゴーレムの様子を見に行くようです。後、アイアンゴーレムは硬くて苦戦していて、上の階でスキルの訓練をしている冒険者も、試しに行ってみると言っているグループがありますね」
予想通り、結構な数がグラスゴーレムに流れるようだ。新しい魔物をこちらの都合で召喚したのに、冒険者がそのせいで減るのは困るので、ディストピアの冒険者を派遣している。その中に回復魔法の使える人も、臨時で入ってもらっている。今週いっぱいは活動してもらう予定だ。
これでも無茶して死んでしまう冒険者はいるだろうけど、そこまではさすがに面倒は見きれないので、そうなった人は自分たちの実力を、正確に評価できなかったという事で諦めてもらおう。自己責任が冒険者稼業なので、本来はこんなことする必要もないんだけどね。
「じゃぁ、今週はこのエリアと、鉄鉱石のエリアも監視しといてくれるかな? あっちは人が減って魔物の競争率が減るから、被害が出るかもしれないしな。何かあったら魔導無線機で、ディストピアの冒険者に連絡してくれ」
了解しました! と、スプリガンが意気込んで返事をしてくれた。でもその意気込みは、俺が持ってきた王蜜を見る目で台無しだけどな。この前来た時はロールケーキの山があったが、今日は王蜜を食べるために、パンケーキのタワーができていた。
どれだけ食べるつもりやねん!
まぁ、今日のお礼としてほしいと言われたから持ってきたし、俺たちだけでは消費しきれなくて、保存している量の方が増えてるからな。ちょうどいい消費と思わなくもないので、見なかったことにする。
一応緊急事態があったら連絡をもらえるように伝えてから、ゴーストタウンの工房へ向かう。
「やっと来た」
「来たでござるな」
「別に逃げてたわけじゃねえぞ?」
「ドワーフのお爺ちゃんから、他の工房に任せられるから、今日から自分たちの仕事に戻っていいって言われたから、シュウを待ってたんだよ」
「今度は何を作るでござるか?」
「便利道具だったら何でもいいと思うけど、速いペースで作ってると量産の方に問題が出るから、無理して作る必要はないんじゃないかな? ゼニスの話ではすでに、ドワーフやお前たちに給料を払って諸経費を考えても、余るくらいの儲けが出てるから羽目を外しすぎない程度に、すきに作ってもいいんじゃないかな?」
それを聞いた2人は、目を光らせていた。
「とりあえず、したい事をしながら良いアイディアがあったら、出していく感じでいいんじゃないかな? ホワイトボード出しておくから、思いついたら書き込んでおいて」
そう言って、目につく位置にホワイトボードを出しておく。その間に2人は自分のエリアに行ってしまった。
「さて、何するかな?」
自分のエリアに行ってそうつぶやくと、ブラウニーが慌てた様子で俺に駆け寄ってきた!?
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