1077話 面倒な奴ら
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昨日は家に帰って、カエデたち3人に朝のお礼言ってから今日あった事を話すと、大声で笑われてしまった。その笑い声に驚いて、娘たちが目を覚ましキョロキョロして、俺たちを呼ぶ声を出した。まぁ呼ぶ声ってのは、俺たちが勝手に言ってるだけだけどね。
4人であやしていると、他の妻たちも娘たちの声に誘われてか集まりだした。全員が全員自分の事をママですよ! と言っている姿は、娘たちが混乱しないかと思うので、前に思った事を伝えて見ると、全員が自分の事をお姉ちゃんと呼び出した。
どうやら、ママよりお姉ちゃんの方がお気に召したようで、母親組以外は自分の名前の後にお姉ちゃんをつけて、自分の事を覚えてもらおうとしているのが微笑ましい。誰の事を一番初めに呼んでくれるかな? みたいな話をしているが、それは俺の物だからみんな競わないでくれ。
この中で最後に呼ばれたとかなったら、本当に泣くだろうから本当にお願い。そして、母親の3人は分かっているようで、シュウパパですよ~と俺の顔を触らせながら、娘たちに覚えさせようとしている。
そういえば物を目で追う様になったり、顔をじっと見るようになって来たりしてるけど、認識し始めるのっていつ位からなんだろうな。妻たちに比べると、胸とかないから硬いとかで覚えてくれてないかな? あれ? 硬いっていうのは赤ちゃんにとってどうなんだ?
娘たちの手って小さいな……ちょうど口の所にミーシャの手が来たので、歯をたてないように唇で覆ってから軽くパクリとすると、何かが面白かったのかミーシャがキャッキャ言いながら笑ってくれた。
それを見ていたのか聞いていたのか、スミレとブルムの俺の顔をペチペチ叩く力が強くなった気がするので、希望にこたえるために2人の娘にもしてあげると、2人もミーシャと同じくキャッキャと笑ってくれた。その後、俺の顔を叩く力が強くなったのは気のせいだろうか?
昨日の夜はそんな事があった。今日は、ダンジョンについてゴーストタウンの領主代行をしている、ドワーフの所に来て事情を説明している。
「……って事で、石炭の産出量を少し増やして、クリアメタルもドロップするようにしたいだが、何か問題ないか?」
「ん~あるわけないじゃろ。そもそもあんたの街であんたのダンジョンなんだから、文句を言う奴がいればワシが拳で黙らしたる」
「いや、そういう事じゃなくて、ゴーストタウンとして問題がないか聞いているんだけどどうなの?」
「ん? シュウ様は、たまに訳の分からん事を言うんじゃな。ゴーストタウンはそのダンジョンの恩恵を受けて成り立っている街じゃ。そのダンジョンがなくなるわけでもなく、むしろ今より利益を生み出すようになるのであれば、問題等あるわけがなかろうが」
たまに俺には分からない理屈が飛び出てくるが、そういう物なのだろうか? 領主だから、トップだから、自由にしていいっていうのはいまいちよく分からないんだよな。そういう物なのかと思うけど、さっぱり理解できん。
まぁ分かってくれとは思わないが、馬鹿じゃないのか? という目で見るのだけはやめてくれないか? 爺にそんな目で見られてもうれしくないって、綺麗な女性だったらいいというわけでもないんだが。
「そうじゃ、ダンジョンの事を話す時は、冒険者ギルドの長も含めてできんかの?いじるのは自由にしてかまわんのだが、報告を受ける際にはあいつに聞いてもらいたい所じゃ。それに、ワシには分からないが、あいつになら分かる事があるかもしれんからの」
「ん? 冒険者ギルドの長って知り合いなのか?」
「何を言ってるんですか? ここはあなたの街ですよ?」
「でも、冒険者ギルドって公の機関だろ? なのに俺の街とか関係あるのか?」
「シュウ様。この街やディストピアの街を作る時に、その冒険者ギルドから支援を受けましたか? 今でこそ提携はしていますが、もともとはゴーストタウンやディストピアの1つの機関ですから、シュウ様の関係者が就いているに決まているじゃないですか」
そう言われて初めて気付いた。冒険者ギルドと言ってはいるが、名前を借りただけで全部俺達が用意したんだった。だから、俺の関係者が長になっていてもおかしくはないか。
「最近は、提携している冒険者ギルドの本部と呼んでいる所から、長……マスターの変更依頼が来ていますが、全部突っぱねてます。自分たちが金を払っていないのに、この街の冒険者ギルドを自分たちの陣営に、引き込もうとするやり方が気に入らん!」
何やら冒険者ギルドの方でも問題が起こっているらしい。ちょっと話を聞いておかないといけないな。
「わかったからちょっと落ち着いてくれ。じゃぁ、冒険者ギルドの長をすぐ呼べたりするのか?」
「それなら、そろそろ来る頃じゃと思うぞ」
ん? 秘書の悲鳴のようなものが聞こえる。「今日は先客がいるので待ってください!」と、遠くから聞こえてくる。何か重い者が歩いているような音がこの部屋に近付いてきている。護衛のダマとシエルが俺と扉の間に陣取り体を1メートル位のサイズに戻す。グレンはサイズは変わっていないがなんか熱い。
バタンッ!
扉をあけ放つ髭もじゃのドワーフが入って来た。
「先客がいるみたいだがかまわんよな!」
「そういうのは、入ってくる前に聞けと言っておるだろうが!」
ドワーフ同士がガッハッハ! と笑いながら大声でやり取りするのは、うるさいからやめてほしい。
「おう、先客とはシュウ様じゃったか。じゃぁ何の問題も無いわな!」
ガッハッハとまた笑いやがった。うるさい!
「まぁちょうどお前さんの話をしていたから、ナイスタイミングじゃ」
「ワシの話か? 何か美味い酒でも持ってきたか?」
すぐ酒に話が繋がるのがドワーフの面倒な所だ。
「違うわい。ダンジョンに新しい魔物の出現と、石炭を落とす魔物の増加をすると、シュウ様が言っておってな。そっちとしては何か問題があるか?」
「ん? 問題か? 本部と言っている所がうるさいな。自分たちが金を出していない上に、提携しているだけじゃと言うのに、冒険者ギルドを名乗るなら本部の職員を受け入れろじゃとか、長をこっちの人間に変えろじゃとか、頭にウジが湧いているんじゃないのかと思うの」
「1つ聞いていいか。この街の冒険者ギルドを取り込んだとして、本部と言う所は何か意味があるのか?」
「決まってるじゃろうが。ここで生み出される利益の大半を、自分の懐に入れられるっていう事じゃ。今は、ゴーストタウンの利益は職員に還元した後、街の方に入っている。この金を自分たちの所に入れたいのじゃろう。浅ましい考えじゃ」
「そんなもんは、放っておけばよかろう。直接乗り込んできても、シュウ様を始めゴーストタウンとディストピアのトップを納得させないと、権利は移譲できないですからね。ミリー様がそんな事を許すわけがないじゃろ! シュウ様の嫁さんは優秀でたすかるの」
ん~金が欲しいためにそんな事してるのか? まぁミリーが仕切っているなら問題ないか。あいつらの所為で大変な目にあってるんだから、向こうの話に乗ってやる必要もないからな。
「とりあえず、2~3日中にはダンジョンが少し変わるかもしれないけど、大丈夫か?」
「あ~形が変わるのか?」
「クリアメタルを落とす魔物を追加しようと思ってるから、一緒に新しいエリアを作ろうかと思ってる」
「んじゃ、適当に息のかかっている冒険者たちに、変成期が来ると広めてもらおうかの。できれば来週の頭位が助かるが、問題ないじゃろうか?」
そこから少し話を進めて、ダンジョンの改装の話をしてから工房へ戻った。
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