1057話 一生の不覚……
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普段お酒は飲まないのだが、昨日の夜は何となく綾乃とバザールとディストピアにある居酒屋で食事をした。と言うか、夕食を外で食べたのっていつぶりだろ? 家に連絡した時は、後ろで妻たちが「雨が降る!」「槍じゃないかしら?」と騒ぐくらいには、珍しいという事だ。
いや、家で食べない事は多々あるけど、それでもブラウニーや妻たちの食事以外を食べる事はほとんどないので、そう言われてもしょうがないか。
そのお店は、老ドワーフが酒も飯もおいしいと言ってたお店に行ったのだ。そこに行ってビックリしたのが、ドワーフが店主をしていたのだ。しかも、髭の生えた女性タイプのドワーフだ。失礼な事言う前に性別が分かってよかった。
ヴローツマインで見ていたから知っていたつもりだけど、ロリタイプ、ショタタイプ、ビア樽タイプの男女。そしてこのドワーフ、ブラウニーから料理を教えてもらったのか、酒に合う料理が美味いこと美味いこと……俺、居酒屋に置かれているような料理って、好きなんだよね。
そして、料理に合う酒を出してくれるのだ。それに、俺があまりお酒に強くない事を知っているので、それに合わせた飲みやすいお酒を出してくれるのだ。お酒のプロであるドワーフらしい心遣いだな。見た目は髭の生えたおっさんだけど。
そこでお酒を飲み過ぎてしまい。今日は、初めての二日酔いを経験している。そして不思議な事にバザールも二日酔いを経験している。基本的に状態異常の効果がないバザールが二日酔いって? と思ったが、人の姿になっている時は、耐性も人間に準ずるらしい。
それに気付いたバザールは、すぐに骨形態になり二日酔いを治していた。くそう! 魔法で治そうかと思ったが、二日酔いは治らなかった。魔法薬は? と思ったが、たかが二日酔いに専用の魔法薬も無く、万能薬を飲んで対処してみたが、治らなかった。
二日酔いは、状態異常ではあるが、魔法薬が効くタイプの物ではないようだ。言うなら、悪魔の薬クダスンデスが毒でないのと同じような意味なのだろう。専用の中和剤が無いと駄目なようだが、そんなものは存在していない。
そして、せっかくの休みなのに酒臭いので、娘たちに近寄る許可も下りなかった……今は、趣味部屋のベッドで大人しく横になっている。
寝れる感じでは無いので、天井をスクリーンにして適当なアニメを流している状態だ。ただ、頭が痛いのでアニメの内容はほとんど入ってきていない。
心が癒されるためにも無理を言ってお願いして、娘たちの部屋の様子が見れるカメラを準備してもらった。もちろん元気になったら取り外しをするという条件で、出来ればずっとつけていてほしいけどね。
あぁ、3人共寝てる姿が可愛いな。
癒されはするが、二日酔いの頭痛は収まらず、ズキズキする痛みに耐えながら、3人の姿を見て癒されたり、目を瞑って寝ようとしてみたりしてみた。
気付いたら寝ていたみたいだ。あれ? スクリーンに娘たちの姿が見当たらなかった。何事かと思い慌てて体を起こすと、頭痛は収まっていた。臭いは分からないが、まともに動けそうだったので娘たちを探しに行く事にした。
趣味部屋を出てまずは、食堂へ向かった。食堂に向かえば絶対誰かいるので、そこで話を聞こうと思ったのだ。
「あ、ご主人様? 調子は良くなりましたか?」
「いや! それどころじゃない! 娘たちが部屋にいないんだが!」
微笑ましいものを見るような感じで、俺の事をブラウニーが見ていた。俺の話を聞いても動揺していない事を見るに、何かを知っているのだろうか?
「慌てるのは分かりましたが……少し落ち着いてください。朝から何も食べてませんよね? 少し食事をされてはいかがですか?」
「だから、娘たちが部屋にいなかったんだって! 何か知らないか?」
俺はブラウニーに必死に訴えるが分かってもらえなかった。話を聞いてもらえないので、食堂を出ていこうとしたら、妻たちの声が外から聞こえたので走って外に向かう!
「みんな! 部屋に娘たちがいないんだけど……あれ? 3人共いるな? 何で外にいるんだ?」
「あっ! ご主人様やっと起きてきた!」
「ほんとだ! ねね、ご主人様! 3人共可愛いんだよ!」
ネルとシェリルがそう声をかけてきた。そしてイリアは、2人の横で親指をたてていた。あれ? イリアってそんなことするっけ?
とりあえず混乱しているが、娘たちが無事だと分かってよかった。でも何で外にいるのだろうか?
「何でって、シュウ君。今日は晴れたら娘たちを散歩させるって、前から言ってたじゃないですか……それなのに二日酔いになって、3人の散歩デビューに立ち会えなかったんだよ」
そういえば、今週のどこかの夕食でそんな話してたな。立ち会えなかったのか……ショックだけど、ベビーカーに乗ってる3人は手足をバタつかせて、初めて見る景色に興奮しているようだ。
どこまではっきり見えているのか分からないが、元気な姿で良かった。嫁たちに臭いとかを確認してもらったが、どうやら汗臭いらしい。今の状態では、娘たちに近付く許可が下りないので、慌てて家へ引き返しシャワーを浴びる事にした。
汗をかいていたので、少しべたべたしているのが分かる。シャンプーをいきなりしても泡が立たなかったので、一回軽く洗ってからもう一度シャンプーをすると、しっかり泡立ってくれた。
ザザッと流した後顔を洗って、次に体を洗った。ちなみに、俺はお風呂に入る時、頭から洗うタイプだ。体を洗ってからシャンプーをしたら、体を汚しているような感覚になるので、上から洗うのだ! って誰もそんな事知りたくねえか。
変なテンションになっているようだ。シャワーから出て体を拭いてから、洗面台で歯磨きをする。朝昼は、こうやって洗面台で磨く事が多いが、夜はお風呂につかりながら磨く事も多い。
人によっては嫌がるようだが、自分の家で1人で入っている時の話なので、文句を言われる筋合いはないだろう。って、俺の風呂の入り方なんてどうでもいいよな。
さっぱりしてから娘達の所へ向かうと、イリアが通せんぼをして俺に抱っこを求めてきた。体は結構大きくなっているので、それに合わせて体重も……ゲフンゲフン……それでも、レベルの高い俺は軽く抱っこする事ができる。
「ん! 合格!」
イリアが短くそう言うと、娘たちに近付く許可をもらえた。娘たちが外に出て大丈夫かと思ったが、近くにメイがいたので色々魔法でしてくれているのかもしれないな。チビ神の加護もあるし病気は大丈夫かな?
そういえば、ノーマンとガルドは娘たちのおじいちゃんみたいなっている。爺馬鹿みたいな事をしているので、ちょくちょく嫁たちに大人しくしろと言われている姿を見る。可愛いのはわかるけどな!
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