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ダンマス(異端者)  作者: AN@RCHY


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1051話 老ドワーフの悪さ

アクセスありがとうございます。

「綾乃、そんなにイライラすんなよ。勝手に銅線の話をすすめたのは悪いと思うけど、出来れば失敗したくないから、相手を急かしたくなかったんだよ。1週間位我慢してくれよ」


 帰り道、私は超不機嫌です! と言わんばかりに、ツーンとした表情をして、足早に工房へ帰ろうとしている。


「俺たちじゃできないから、出来る人を探したんだろ? 多少の誤差位は良いだろ?」


 何とかご機嫌を取ろうとするが、全く聞く耳をもってくれない。こうなれば最終手段だ。


「今日、ディストピアに戻ったら、シルキーの特性スイーツをお願いして出してもらうからさ」


 綾乃の大好物である、スイーツ。しかもシルキーの特性スイーツだ。それを聞いた綾乃は、ピクリと反応したが、こちらの意図には乗らないと必死の抵抗をしている。


「せっかく、綾乃の好きな王蜜の入ったミルクも出そうとしてたのにな」


 誘惑に必死に耐えている綾乃だが、素材の関係上、俺以外にはシルキーが管理して流通させている王蜜は、綾乃であってもなかなか食べれないのである。気兼ねなしに食べれるのは、俺と妻たちだけだろう。年少組と仲のいい土木組もタダでは食べさせてもらえない。


 タダでないだけで、お金をたくさん持っている土木組はしっかりとお金を払って食べているけどね。


 綾乃は、土木組の稼ぎには負けるし、他にもほしい物がたくさんあって、なかなか王蜜にお金をかけれないためこういう事でもないと、贅沢に食べられないのだ。


 王蜜の誘惑に負けて、今日はとことんスイーツと王蜜を食べられるように、シルキーに手配してもらった。


 でもさ、あまり食べ過ぎて、太っても知らないからな。


 綾乃の話では、ディストピアに来た当初多少太ったが、今では適度に動いている事もあり、シェイプアップしたのよ! とセクシーポーズっぽいものをとってきたが、バザールと苦笑しかできなかった。確かに、引き締まっている感じがするが、妻たちに比べるとどうしてもな。


 その日は何もする気にならなかったので、そのままディストピアへ帰り綾乃に、スイーツビュッフェを堪能してもらった。一緒に妻たちも食べてたのはまだいい。お金を払って土木組の子たちも食べてたのもいい。1人頭、6号ホールケーキ換算で2個分位食べているんだが……


 甘い物は別腹! とかいうけど、あれは別腹とか関係なくねえか? 甘い物俺も好きだけど、さすがにあんなには食べれない。しばらく食べたくないと思うだろうな。


 とりあえず、綾乃の機嫌が戻ってよかった。別に放っておいても問題は無いのだが、後々面倒になるのは目に見えているので、さっさと機嫌を直してもらっている。


 一番初めにその面倒を体験したのは、綾乃が自分の従魔かペットを飼いたいと言い出した時だ。


 きちんと飼う気があって世話をするならいいんじゃね? とか思っていたが、綾乃を担当しているブラウニーから猛反対を受けたのだ。綾乃には世話はできない! と言いきる程強い口調で言われた。


 言われてみればそんな気はしていたが、その時に綾乃が拗ねてしまい、準備してほしかった素材を出してもらえなくなってしまったため、DPに頼らなくてはいけなくなったのだ。


 DPを消費した事は何の問題も無いのだが、素材関係は基本的に自分で採取かお金で買う事にしていたので、時間の関係でDPによる召喚をしてしまった事が問題だったのだ。


 それで、一向に機嫌を直さない綾乃にペットを選んでもらって、しっかりと世話を見れるかブラウニーが見極めるという所を落としどころにして、猫を飼い始めたのだ。


 猫は、基本的にこっちから近付いてかまう必要はなく、近付いてきた時に相手をすればいいのだが、小説やゲームに集中していると、猫を押し退けたり乱暴に扱ったりはしないのだが、完全に無視。


 そして問題だったのが、食事は本来衛生面を考えると、少量を何度かに分けて与えるのがいいのだが、綾乃は要求される度に必要量以上の食事を出してしまい、すぐに太ってしまったのだ。これ以上は猫にとって良くないという事になり、家で引き取る事になったのだ。


 その猫は、今はシャープなラインになってキビキビと動いている。


 そうやって、綾乃を不機嫌のままにさせておくと、問題があるので早めに対処したのだ。


 次の日は、ドワーフと一緒に水車動力式の据え置きドリルの作成に取り掛かっている。と言うか、ドワーフはドリルを回転させる所までは問題なく作れたのだが、刃をどうやって下ろしたりあげたりするのか、その部分で問題が出たので俺たちにヘルプが入った。


 普通に考えて、ドリルはモーターが刃の連結するすぐ近くに動力があるから、その部分を上下させる事に問題は無いのだが、動力が機械の外から来ているので上下させる仕組みが作れなかったらしい。


「ってかさ、ドリルの刃が動かせないなら別の物を動かすしかなくね? 例えば、加工する材料を置く台を動かせるようにするとかさ?」


 それを聞いたドワーフたちは、ハッとした表情をして作業を開始した。


 実際に回転ノコギリの刃を固定して、そこに木材を送り込んで切る機械や回転するやすりに自分で押し付けて削る機械は作ったのに、ドリルも同じ発想ができなかったのだろうか? と思ってしまった。


 まぁ俺が初めの知識を与える時に、ドリルは刃を動かして穴をあけるって言ったのが不味かったかもしれない。どういった物か理解をさせるために実際に現物を見せてしまったのが問題かもしれないな。


 これによって大きなものでなければ、ドリルを使って加工できるようになった。だけど大きな木材に対しては、ああいった技術が無いのか? 特に家を建てる時に柱同士を繋げるのを頑丈にできないのか? と言う内容で問い詰められた。


 どうやら、ドワーフたちは木材同士に適度な穴をあけ、その穴に同じ大きさの木の棒を突っ込んで木材同士を固定できないかと考えていたらしい。


 というか、そこまで発想ができてるなら、ノコギリとか(のみ)を使った加工に思い至らなかったのだろうか?


 そもそも、細かく加工する道具がなく、釘を使った固定だけで作っていたらしい。でも、ここに遊びに来ているディストピアの老ドワーフたちは、この技法を知っているはずなんだけどな……またあの爺共は、悪ガキみたいな悪戯をしている感じか。


 本当に懲りないクソ爺共だ。なので、その技術についてはディストピアのドワーフたちが知っているから、教えてもらうといいよ。ついでに、知ってて教えてなかったみたいだから~と付け加えておく。


 因果応報なり! って、意味は違う気はするけど、それっぽいからまあいっか!

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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