一章第4 海と山がある大きな町
「お待たせしました」
先にラフィーさん、リルローレさん、レリューレには食堂で待っていたみたいでレリューレに関してはまだ怒ってるらしく、頬を膨らませていた。
「わー凄いですね。見たことのない料理ばかりだわ」
「ほんとですね・・・」
「では料理の説明をさせていただきます。まずは前菜。ピリ辛キュウリでございます」
「ではいただきます・・・。うん、キュウリによくたれが絡んで合っていますね。この下に来る適度な辛さも素晴らしいです」
「何よこれ!辛い!」
「ではこちらの飲み物をどうぞ。トマトジュースでございます」
「これほんとにトマト!?いつも食べてるのと違う気がする!」
「食べ方が変わるだけでここまで違うと感じるとは・・・素晴らしいです」
「では次にサラダです。味付けはそこのドレッシングを使っております。足りなければこちらから追加でおかけください」
「これ今まで食べてきたサラダの中で一番おいしい!」
「確かにおいしいです・・・。次からは刻んで盛り付けるだけで終わらせず、これをかけてみようかしら・・・」
今までなんも味付けせず食べてたのかよ・・・。そりゃ嫌いになるわ。
「あとでラフィーさんにはドレッシングのレシピを書いたメモを渡しますね。では最後にメインディッシュのトマトとトウモロコシのピザでございます。こちらはすでに切り分けられてるので手で取ってお食べください」
「このチーズとトマト・・・よく合いますね。これもしかしたらソーセージを乗せたらもっとおいしいのでは?」
「その通りでございますリルローレ様。それもラフィーさんにレシピを渡しておきますね」
「またこれを食べれるのですね。嬉しいわ」
「で、お口に合いましたか?お嬢ちゃん」
「・・・そうね。今まで食べてきた中で一番おいしかったわ・・・。その野菜を食べたくないなんて言って・・・ごめんなさい」
「じゃ、これからも残さず、しっかり食べるんだぞ。こうやって食べれたのもジゴや野菜を作ってくれてる方のおかげってことを忘れちゃだめだ。わかったね?」
そう言ってぐしゃぐしゃと頭を撫でる。そういや華菜にもこうやってやったことあったけか・・・。
「もう!子ども扱いしないで!」
「おお、悪い悪い」
「そういえばこの後ナクマさんはどうされるんですか?」
「そうだなぁ。俺今金なし家無しだもんなぁ・・・。ラフィーさん。近くに栄えてる大きな町ってあったりしますか?」
「大きく栄えてるとなるとダンジョンギルドがあって北は海、南は山に囲まれたカシューという町がありますよ」
「じゃあそこにでも行ってみます」
「おうユウシ!カシューにならまた野菜を届けに行くんだが、一旦家に戻ってからでもいいなら乗せていけるぜ!」
「助かるぜジゴ!じゃあそういうことになりました。リルローレさん、ラフィーさん。短い間でしたがお世話になりました。あっラフィーさん。これ今日作ったやつのレシピです」
「いえ、こちらこそおいしいものをありがとうございました」
「レシピ確かに受け取りました。お気をつけて」
「また料理作りに来てね!」
「おう!今度は違う食べ物食わせてやるよ!」
俺はまたジゴの荷台に乗り込み、リルローレ邸を後にした。
「じゃあ一旦俺の家に戻るぞ」
「了解。なれない真似したから少し疲れたから寝る。ついたら起こしてくれ」
「なれない真似?」
「昔コース料理の店でバイトして働いてたんだよ。じゃ、お休み」
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「--シ」
「起きろユウシ」
「ん、おはよう・・・」
「やっと起きたか・・・。着いたぞ」
どうやらかなり深く眠りに落ちていたみたいでジゴに体を揺さぶられて起こされ、荷台から降りるとそこはさっきまでの畑と砂利道の田舎から一変して道は石畳、畑はなく、レンガ造りの家が立ち並び、その中でも一際大きい家の前にいた。
「えっとお前の家・・・でかくね?」
「俺の家じゃねぇ。いつまで寝ぼけてんだ?」
「じゃあここは・・・」
「答えは一つしかねぇだろ?ここがカシューの街だぜ!」
遠くでカモメの鳴く声が聞こえたような気がしたーーー。