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第3章 その5

 慎ましい朝食を終え、空いた食器を下げにきたルディアは厨房で皿洗い中のジャクリーンに出くわした。汚れ物を片付ける侍女は凄まじい形相だ。驚いたこちらの視線に気がつくと「あら、ブルーノ様」と彼女は不機嫌も露わな声を響かせた。

 聞けばトレヴァーに軍の手伝いを命じられたらしい。場にそぐわぬドレス姿で彼女はぶつくさ文句を垂れる。


「まったく姫様がこんな労働なさるはずないのに……! 憎らしい根性悪の陰謀ですわ! 私の演技を台無しにしようとして! 一体いつからお父様はあんな強情っぱりになったのかしら!?」


 昨日の抱擁の熱さはどこへやら、今日は長年の宿敵のごとき口ぶりだ。怒るジャクリーンの目元には濃い隈が浮いていて、夜通し言い争ったのだなと推測できた。


「心配してくれているんだろう。任せた私が言うのもなんだが危ない役どころだからな」

「存じております! だからこそ私は役目を全うしたいのに!」


 割れんばかりに皿を掴んで意外に激しい気性の娘が歯軋りする。その様子に苦笑しつつルディアは首を横に振った。


「私もお前がここまで来てくれただけでありがたいと思っているよ。陛下とて止めはしまい。時機を見てアクアレイアに帰るといい」


 王女病没の筋書きなら考えてあると告げるとジャクリーンは可憐な桃色の唇を尖らせる。決意を語っても無駄な相手だと諦めたのかもしれない。侍女は初めこそ言い返そうとする素振りを見せたが結局何も口にしないまま話題を変えた。


「……はあ。ブルーノ様ってとても平民階級に思えませんわね。私、これでも色々な殿方を見てきたつもりですけれど、ブルーノ様ほど凛々しい方はほかに存じ上げませんわ」


 思わぬ称賛にルディアはぱちくり瞬きする。王侯貴族に等しい気品を感じるなどと言われて少々リアクションに困った。この身体に入ってからはがさつになったと自覚しているくらいなのに。


「……まあアクアレイアでは王家以外、血筋はさほど重要でないしな」

「ええ、確かにそうなのですが」


 あの国で貴族と平民とを分けるのは納税額のみである。政治か軍事に携わることが貴族の絶対条件で、その双方が巨額の支出を前提とする仕事である以上、家業が儲かっているかどうかが基準になるのは当然だった。

 逆に言えば商売で成功を収めれば誰でも偉くなれるのである。品があるとかないとかはすべて個人の資質に拠っている。


「こんなことを言い出しておかしな女とお思いになるかもしれませんが、私、宮仕えになる前は姫様ってブルーノ様のような方だと思っていましたの」


 ジャクリーンは更に予想外の発言をしてみせた。彼女はグレディ家と繋がりが薄く、ルディア自身とも接点がなかったので選んだ侍女だ。中身に違和感を持たれる可能性は低いと見ていたのに。


「それはまたどうして?」


 狼狽を隠して問うと彼女は「まだほんの幼い頃、姫様と遊ばせていただいたことがあるんです」と答える。

 ルディアのほうにそんな覚えはまったくなかった。よく聞けば記憶になくて当たり前だったが。


「……確か姫様が五つになられる前でしたわ。私も小さかったので、断片的に思い出せるだけなのですけど」


 ――本物の「ルディア」の話だ。即座に悟り、しばし声を出すこともできず、ルディアはただ瞠目した。

 回想に浸るジャクリーンは大きな青い瞳を伏せ、こちらの動揺に気づかないまま話し続ける。


「一ツ目の巨人退治の英雄ごっこをしたんです。姫様ったら剣を振るうほうがいいと仰って。そんなイメージが残っていたから、いざお付きの侍女になって驚きましたの。庇護欲をそそるというか、なんというか、とにかく愛らしい方でしょう? 小動物のように震えるお姿を見つめていると私まで騎士の気分になるというか……。お守りせねばと奮い立たされるというか……」


 侍女は次第に頬を上気させ、眼差しに熱を宿らせた。なんだか工学について語るバジルと似ている。相当ブルーノに入れ込んでいる様子だ。


「私、親も呆れるくらいあの方に憧れていたんです。昔からいつも姫様の真似ばかりしておりましたわ。リボンの色も、ドレスの型も、お化粧のやり方も。この髪だって姫様と同じ色にしたくて頑張って日焼けさせたんですのよ」


 ジャクリーンは水色の髪の房を持ち上げた。苦笑いして「前にも聞いたぞ」と指摘すると「何度でも言いたいのです」と微笑み返す。

 その声が不意に途切れ、不自然な沈黙が流れた。


「……でも私、夜会ではあの方を遠巻きに眺めているしかできませんでした。怖かったんだと思います。姫様が重い病気に罹られたのは私の屋敷からお帰りになったすぐ後で、私、もしかしたら知らない間に私が無理をさせたのかもとずっと申し訳がなくて……」


 うつむいたジャクリーンの喉には針でも刺さっているみたいだった。

 突然の懺悔にルディアは困惑する。宮廷人の悪い癖で「ひょっとしてそこで毒を盛られたのか?」と疑ったが、すぐにそうではないと気づいた。

 脳蟲は器を選ぶ。毒殺であればおそらく遺体に入りこめなかったろう。病によって頭をやられただけだったからアイリーンの「秘薬」が効いたのだ。


「私が関わったらまた姫様に悪いことが起きるのではと不安でした。でも直々に側付きの侍女になってほしいと頼まれたとき、そんな弱気とはお別れしたのです! どんなことがあろうともこれからは私が姫様をお助けするのだと! 不埒な輩が襲ってきても、熊や大蛇が襲ってきても!」


 慰めるまでもなく侍女は自力で浮上した。キッと唇を引き結び、まっすぐな瞳を燃やして「やはりお父様には私の覚悟をきちんと理解していただかないと!」と青いドレスの裾を翻す。


「私ちょっと行ってまいりますわ! ごきげんよう、ブルーノ様!」


 ぺこりと会釈するが早くジャクリーンは厨房を駆け去った。小さな嵐が通り過ぎるとその場はしんと静まり返る。


「ええと……」


 皿はこの辺に置いておけばいいのだろうか。ルディアは空いた調理台に盆を下ろした。洗い方など知るはずないので余計な手は出さずにおく。


(……そうか。ジャクリーンは『ルディア』と面識があったのか……)


 複雑な気分でルディアも厨房を後にした。

 本物の父と娘はどんな親子だったのだろう。カロとの話は聞かせてくれたが亡き妻や昔の娘について父は話したがらない。唯一無二の伴侶といってもあのグレースの娘だし、温かな思い出などありそうもないけれど。


(『ルディア』のことはどう思っていたんだろうな)


 記憶を失くした娘にもあの人は愛情深かった。無関心だったはずがない。


(私と『ルディア』に重なるところはあるのだろうか)


 ――姫様ってブルーノ様のような方だと思っておりましたの。

 ジャクリーンの言葉が耳に甦る。胸中には「それなら救われる」という思いとは別に、恐れおののく気持ちもあった。どう処理すべきかわからない感情をルディアは思考の奥へ追いやる。

 本物を甦らせることは誰にもできない。それより今は王を警護しなくては。


 客室に引き返す足を速めてルディアは螺旋階段を上った。レイモンドを信用しないわけではないが、一人で父の相手をさせるには不安だ。あの男はモモやアルフレッドと違って馴れ馴れしいし、遠慮というものを知らない。嫌われるタイプの天真爛漫さではないけれど。


「――ん?」


 と、続き部屋の前に誰か来ていることに気づいてルディアは眉をしかめた。見知らぬ海軍兵士に応対しているのは当然だがレイモンドだ。小走りに近づくと槍兵が「よっ、お帰り」と手を上げる。


「何かあったのか?」

「いや、さっき道端で出くわした奴がいただろ? 何人か連れて俺に会わせてほしいって来てるらしくて」


 なるほど、この海軍兵士はそれを知らせに来てくれたのか。ルディアはちらと生真面目そうな青年を見やった。


「面会時間は十五分ほどになります。来客が一般人のため、軍規により敷地内にお入れできずにすみません」

「こちらこそ余計な手間をかけさせて申し訳なかった」

「ちょっと行ってきていいか? なるべく早く戻るから」


 尋ねながらもう足踏みを始めているレイモンドに嘆息する。

 まあいい。この男の人脈がたびたび有効に機能しているのは事実だ。ここは快く行かせてやろう。


「遅くなるなよ」

「わーってるって!」


 ひらひら手を振ると槍兵は軽い足取りで階下に消えていった。改めて連絡役の兵士に礼を述べ、姿勢を正して見送りに立つ。だがなぜか青年はルディアの前を去らなかった。


「……まだ何か?」


 眼光鋭く問えば男は苦渋の表情を見せる。「無礼は承知の上なのですが……」と彼が懐から取り出したのは一通の手紙だった。


「イーグレット陛下への要望書です。皆で大佐に直談判もしたのですが、全然取り合ってもらえなくて。我々の気持ちを汲んでいただけるとありがたいと、そうお伝え願えますか」

「…………」


 無言で要望書とやらを受け取ると、返事も聞かずに男は立ち去った。渡してもらえずとも仕方ないという態度におおよそ文書の内容は知れる。

 ルディアは静かに部屋に入り、更に静かに扉を閉めた。先に読んでしまおうと封を開きかけたところで「私宛ではないのかね?」と声をかけられる。


「……ッ! へ、陛下! いえ、その、世の中には毒を染み込ませた便箋などもありますので、て、点検をしてからと」

「うんうん、疑っているのではないよ。私にも読ませてくれるならそれでいいのだ」


 どうやらイーグレットはルディアが気を回して手紙を握り潰すのではないかと案じたらしい。まさかそのつもりでしたとも言えず、結局二人で要望書に目を通すことになる。

 書かれていたのは大方予想通りのことだった。

 王国政府に勝手に王家の幽閉先を決められて困っている。王都で暮らす家族が心配なので帰りたい。だがコリフォ島に留まる者だけではとても要塞を維持できないので陛下には島外に庇護者を求めていただきたい――と。

 トレヴァーがイーグレットの身を引き受けた手前、断固とした拒絶は彼らもできないのだろう。しかし今は海軍という組織すら不安定な状態にある。考えの合わない上官に素直に従えない者がいても無理はなかった。


(トレヴァーめ、案外人望がないな)


 むうとルディアは眉を寄せる。築城技術や最新兵器の知識を買われて大佐に選ばれた男だ。仕方ないのかもしれないが、もう少し部下を抑えてほしかった。

 ちらと見上げたイーグレットはじっと黙り込んでいる。そんな顔をさせたくないから黙っていようと思ったのに。


「ただい――あ、陛下」


 そこに何やら浮かない様子のレイモンドが戻ってきた。急に開いた扉に驚く。ノックだけはいつも忘れないのに珍しい。


「ん? なんすかその手紙?」


 目聡く要望書を見つけると槍兵は王に尋ねた。なんでもない笑みを浮かべて父は手にしたそれを渡す。


「海軍内部にこういった声があるらしくてね」

「なになに、一体どんな……んー? ええーっ? ……ほう、……ほうほう、なるほど……。おお………………」


 レイモンドは唸り声を上げつつ最後まで読み終えた。感想を求めていたわけではないが、長い時間あまりに何も言わないのでどうしたのかと顔を覗く。


「あー……実は今、これとほとんど同じこと街の連中に言われてきたんすよね……。陛下は一時滞在なんだよな、砦町は危ない目に遭わないよなって」


 話しにくそうに槍兵は打ち明けた。父の双眸がわずか瞠られ、また元に戻る。「そうか」との返事が悲しい。


(まったく、どいつもこいつも)


 気軽によその庇護者などと言ってくれるがそんな者がどこにいる? 帝国に侵攻の理由を与えると承知でアクアレイア王家を受け入れる国があるものか。チャドでさえ己の妻子を非公式に連れ帰るのが精いっぱいだったのに。


「陛下の助けになってくれそうな人、本当にいないんすか?」


 浅薄な問いにイーグレットはかぶりを振った。困り果てた苦笑いに胸が痛む。


「仮にそういう人物がいたとしても、アクアレイア領を出るのは少しね」


 父はやはり、十人委員会が王の処遇を自由に決定できる状態にしておかねばと考えているようだった。外国に身を預けるということは多かれ少なかれ政治の道具にされるということだ。そして政治の道具にされるということは、自らの意に反し、アクアレイアに百害あって一利なしの存在になりかねないということだった。


「まあしかし、島民の不安と海軍兵の不満を除く努力はしなければな。考えがまとまったらトレヴァーに相談しにいくよ」


 イーグレットは要望書を畳んで封筒に収め直す。王の引っ込んだ客室の扉が閉ざされると前室にはルディアとレイモンドだけが残された。


(……この島に落ち着くというだけでも難しいものだ)


 項垂れそうになるのを堪える。レイモンドはそんなルディアの耳にひそひそと囁きかけた。


「あのさ、一応さっき会ってきた奴らに『陛下がその気になったとき、すぐに動かせる小さめの船用意しといてくれないか?』って頼んどいたから」


 またこいつは命じてもいないことを。ルディアは無言で槍兵を睨みつけた。不興を買ったと察したレイモンドは慌てて「だって」と言い訳する。


「余計なお世話かもしんねーけど、この島にいたら陛下がずっとしんどい気がしてさ。あの『死亡説を流して逃げてもらう』っての提案してみちゃ駄目なのか?」

「……一般人に紛れ込める容姿なら、あの人も一度くらい検討してくれたかもしれんがな」

「あー、あー……」


 返答を耳にして槍兵はしょんぼりと肩を落とした。思いやりはありがたいがやはり少々的外れだ。逃がすとしたらカロの手を借りなければ。目立ちすぎるあの白を、人目から隠してくれる旅慣れた者が必要だ。


「死亡説を流しただけではすぐに嘘がばれてしまう。却って状況を悪化させるだけだろう」


 引き下がるかと思ったらレイモンドは「でもさ」としつこく食い下がった。


「でも、そんなの絶対つらいじゃん。白い目で見られながら生きていかなきゃならないなんて」


 まるで自身の経験を思い出したように槍兵は唇を噛む。緩い垂れ目が苦しげに歪むところを初めて目にしてルディアはハッと胸をつかれた。


(……ああ、そうか。こいつの見た目も普通のアクアレイア人からすれば異質なのか)


 瞳の薄さと手足の長さくらいだが、ひと目で違うとわかる程度には違うのだ。身近にいるのがもっと極端な例だからたいして気に留めていなかった。それに何よりレイモンドはあの街に溶け込んでいたし。


(だから親身になってくれているのかな)


 ルディアはそっと客室を振り返る。ひょっとして、父がレイモンドと気安げなのもそういう理由からなのだろうか。

 隣室はまだ物音の一つも響かせず、しんと静まり返っていた。イーグレットは玉座を降りても減らぬ難題と一人で向かい合っていた。




 ******




 助けになってくれそうな人、か。

 小さな明かり窓を見上げてイーグレットは瞼を伏せる。

 庇護者と聞いて誰も思い浮かばなかったわけではない。心当たりは一人だけいた。「俺と逃げよう」と言ってくれたカロも、きっと彼のもとへ身を寄せる気でいたのだろう。

 だがイェンスに頼ることはできなかった。彼との繋がりが表沙汰になれば、ロマの友人を知られるのと同じくらい王家のイメージダウンになる。悲しいがアクアレイア人はどこまで行ってもパトリア的価値観から脱却はできないのだ。己の評判だけならともかく娘の名まで貶めたくない。


(……馬鹿だな。民の理解を得る道を選ばなかったのは私なのに)


 自嘲の笑みに唇が歪む。若気の至りなんて可愛げな言葉では済ませられない愚を犯した。あのとき、長い旅を終えて帰ってきたとき。

 父の葬儀で、戴冠式で、いくらでも公表できたはずだ。ロマと旅をして広い知見を得てきたと。イェンスの船で商売も航海術も学んだと。

 自ら彼らと親交を保つ機会を潰したのだ。今更虫のいい考えは持つまい。


 ――この船で構える必要なんかないぞ。自分の家ができたと思って暮らせばいいのさ。


 良き兄のように接してくれた男の背中を思い出す。

 熊の上顎のついた毛皮なんて物騒なものをマント代わりにしていたくせに、優しくて、少し寂しがりだった。「俺の墓参りに行こう」と冗談めかして北の果てまで連れて行ってくれた。そこでカロと、闇に揺れる光の舞踏を目撃したのだ。

 人生のかけがえのない思い出があの日々に詰まっている。

 イェンスに拾われなければきっと何もできない子供のままだった。今だってたいしたことができるわけではないけれど。


(他人を当てにする前にまずは自分で動かなければ)


 拳を固め、目を開く。

 毅然と前を向いていよう。どこまでも、道が途切れてなくなっても。




 ******




 航海日誌に書き込まれた現在地にローガンはニヤリと笑った。波はやや高いものの、嵐になりそうな気配はない。船長の話ではコリフォ島にはもう数日で到着するとの見込みだった。

 アクアレイア商人の天下もいよいよ終わりと思うと胸がすく。これまで散々不利な通商税に煮え湯を飲まされてきたのだ。今度はカーリス商人が奴らに泡を吹かせる番だ。


「天帝陛下へのご報告は?」

「はあ、それがまだご気分が優れないようでして……」


 船長は首を振り、代わりにジーアンの高官に定例報告をしていると言った。表面上は仕方ないなという顔で、内心しめしめとほくそ笑む。

 あの獅子の気が変わらぬうちにイーグレットや王女を縛りあげてしまおう。弱りきったアクアレイアにはとどめの一撃になるだろう。王家がカーリス人のいいようにされ、その身に流れる血の聖性まで汚されたとなれば。


(奴隷の身に落とすも良し、罪人として吊るすも良しだ)


 いずれにせよアクアレイアとパトリア古王国の断絶は決定的になる。貧しいマルゴー公国だけではもはやあの国を支えられまい。


(なあに、慎ましやかな漁民生活に戻ればいいだけさ。我々と競合しないなら塩でも魚でも好きなだけ買い叩いてやる)


 三月の青空を見上げ、ローガンは心地良い潮風を浴びた。海は至って穏やかで、まるで波の乙女アンディーンまでカーリスを祝うかのようである。

 ああそうだ。あの女神を奪い取るのもまた一興に違いない。天帝をバオゾに送り届けたら褒美に奴らの神殿の精霊像を頂戴して、代わりにもっと格の低い守護精霊でも祀らせてやろう。

 堪えきれずに漏れた哄笑が甲板に響く。望む瞬間は刻一刻と近づいていた。





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