最後のデート
一度、孤児院に戻って直ぐに、カムイはヒルデガンドとの約束の場所に向かった。前回と同じ、店の脇の扉を開けて路地を進み、裏口の扉の前に立つ。
あらかじめヒルデガンドがカムイの来ることを伝えていたのだろう。何をする間もなく、自然と目の前の扉が開いた。
扉を潜って中に入ると、脇にある小部屋の中から声が聞こえてきた。
「部屋の場所はお分かりですか?」
「前回と同じでしょうか?」
「はい」
「…………」
間髪入れずに答えを返してきた事に、少しカムイは驚いた。カムイがここを訪れたのは二度目。それも随分と前の事だ。
「どうかされましたか?」
「俺の事を覚えているのですか?」
「もちろんでございます。一度、いらっしゃったお客様の顔を忘れる事はございません」
「さすがですね?」
「こういった商売をする者として当たり前の心得でございます」
「なるほど」
納得の言葉を返したが、誰もが出来る事ではないとカムイには分かっている。
「お部屋の場所は本当に大丈夫ですか?」
念押しをしてきた店の者に、カムイは自分が覚えている部屋までの道順を話して確認をした。
「貴方様も中々に。一度で覚えられるような作りにはしていないつもりなのですが」
今度は店の者が驚く番だった。
「そうなのですか?」
「これは……、私としたことが口が過ぎました。お客様への詮索は、無用の事であると分かっているのに」
「気にしないでください。少々詮索されても、明日には領地に帰る身です。困る事はありません」
「そう言って頂けると助かります」
「既にいらっしゃっていますか?」
「はい」
「では、待たせるのは申し訳ありませんので部屋に向かいます」
「はい」
店の者との会話を切り上げて、カムイはヒルデガンドが待っているはずの部屋に向かった。
扉の前で軽く息を吐いて、気持ちを落ち着かせてからノックをする。
「ちょっと待って」
中から聞こえてきたのは、間違いなくヒルデガンドの声だ。鍵を開ける音。すぐに扉が開いて、ヒルデガンドが顔を見せた。
「……入って」
「はい」
こんな入室の仕方と相変わらずの部屋の艶めかしい雰囲気で、カムイはどうにも気持ちが落ち着かない。それはヒルデガンドも同じの様で、席についた後も、しばらく沈黙が続いた。
「仲間の人たちは何をしているの?」
その沈黙を破ったのはヒルデガンドからだった。
「孤児院にいます。マリアとイグナーツにとっては、久しぶりの里帰りみたいなものですから。司教様との話もまだ続いているのではないでしょうか?」
「そう。そうよね、五人とも孤児なのよね?」
「はい」
「何だか不思議ね。カムイ……、もうカムイで良いわよね?」
これが最後の会話になるかもしれない。ヒルデガンドにつまらない意地を張るつもりはない。
「もちろんです」
「カムイも他の四人も同じ時期に孤児院に居たなんて」
「不思議というか、そうだから今も一緒に居るのです」
「でも、マリアちゃんの言葉が事実であれば、貴方たち五人は学院で最強よ?」
「まあ、そうですけど」
「事実なのね?」
「微妙ですよ? マリアとイグナーツが得意なのは剣ではなく魔法ですから」
「そうなの?」
カムイの話を聞いて、ヒルデガンドは大きく目を見開いた。
「えっ、驚くところですか?」
驚いているヒルデガンドに、カムイの方も驚く。
「だって、マリアちゃん、凄い力だったわ」
ヒルデガンドもただ手を引かれるままにカムイの前に出た訳ではない。ましてマリアとは一度も面識はない。少しは抵抗はしていたのだ。
「ああ、魔法が得意だからといって、魔法の鍛錬だけで許してくれるような人たちじゃありませんから」
「噂の師匠たちね?」
「そうです」
「きっと貴方たち五人だと、何の小細工をしなくても剣術大会は楽勝だったわね?」
「だから、それは実際にやってみないと分かりません」
「そんな五人が同じ時期に同じ孤児院にいた。運命に導かれたかのように」
「大げさです」
カムイはひたすら謙遜しているが、ヒルデガンドでなくてもこう思う。そしてこの先、同じように思う者は数え切れないくらいまで増える事になる。
「そして、その中心はカムイなのよね?」
「いや、だから」
「真剣な話なの。今日、貴方たちを見て、私は少し恥ずかしく思ったの」
「何がですか?」
「私、ディーフリート、マリーさん、オスカー、四人で黄金の世代なんて呼ばれて浮かれていたのが恥ずかしいわ」
「いや、だって四人は実力だけじゃなくて、家柄も段違いじゃないですか」
実際に家柄があっての呼称だ。身分の低い者は、どれだけ実力があっても、せいぜい騎士か魔道士として活躍する程度。皇国を動かす事は出来ない。
「それが恥ずかしいのよ。家柄以外で、私たちは貴方たちに敵うものがないのよ?」
「卑下し過ぎです。それはヒルデガンド様を」
「ヒルダ、カムイもヒルダと呼んで」
「……それでは。ヒルダを慕って付いて来てくれている人たちが可哀そうです」
カムイの頭に浮かんだのは、最後に見送ってくれたマティアスとランクの二人の姿だ。自分にアルトたちが居るとすれば、ヒルデガルトにはあの二人がいる。そうカムイは思っていた。
「そうね……」
「それに皆さん、まだまだ強くなります。俺達が強く見えるのは、人より先に、優れた師匠に出会って、厳しい鍛錬を始めたからです」
「でも、貴方たちも更に強くなるわ」
「そうでなければ困ります」
「それだけの力を持って……。いえ、率直に聞くわね? カムイたちは何をしに学院に来たの?」
「それは……」
カムイにとって、実に答えづらい問いだ。
「今のカムイたちが何をしようとしているかは、何となく分かっているわ。でも、元々の目的は今とは違うのでしょ?」
「何故、そう思うのですか?」
「実力を隠していた理由が分からない。ソフィーリア皇女殿下に認められる。そして、その力を利用するのであれば、始めから実力を見せつければ良かったはずよ。同じクラスにクラウディア皇女殿下も居たのですもの。すぐにスカウトされたはずだわ」
「そうですね」
ヒルデガンドの話は、全く否定のしようがない論理的な推測だ。
「では、何故、実力を隠していたの?」
「……目的は変わっていません。自領の、辺境の待遇改善。最終的にはそこに住む全ての人たちの待遇改善が目的です」
ここまで来て隠しても仕方がない。それに、この場で何を話そうとヒルデガンドが他言する事はない。そう思ってカムイは質問への答えを話し始めた。
「でも」
「最初は皇族の力を借りるつもりはありませんでしたから。志を同じくする仲間を増やす事。そして、将来、障害となるであろう人達を見極める事。この二つです」
障害になるであろう人たちに、ヒルデガンドが含まれている事は明らかだ。当然、ディーフリートたちも。この四人を障害と考える事の意味を考えると。
「……もしかして、反乱を考えていたの?」
こういう結論に至る。
「最終手段としてはです。一応、言い訳をしますが、別に権力を望んでの事ではありません。あくまでも生きる為の最後のあがきのつもりでした」
「生きる為……。そうね」
同じ死ぬなら戦って死ぬ、ヒルデガンドにもこの考えは理解出来る。
「でも、幸いにも自分の話を理解し、それに協力してくれると約束してくれた人が現れた」
「それがソフィーリア皇女殿下」
「そうです」
「……私は、駄目だった?」
泣きそうな表情でカムイに問い掛けるヒルデガンド。そうでなくてもカムイには辛い質問だ。
「……今はそう思いません」
「じゃあ、どうして?」
「……怒らないで聞いてもらえますか?」
「ええ」
「何故、ソフィーリア皇女殿下だったのかと聞かれると、それは先に出会ったから。それだけの事です」
「先に? そんな前から?」
ヒルデガンドは、自分とソフィーリア皇女を比べている。だが、そうではない。
「先にというのはテーレイズ皇子殿下よりという意味です。元々は皇族との協力関係なんて出来るはずもないと思っていましたから。それは有力貴族家であるヒルダも同じです」
「そう。じゃあ、もし、皇子殿下と先に出会っていたら?」
「どこまで話が出来たかにもよりますが、皇子殿下についた可能性はあります。そうでなくても継承争いに絡もうとは思わなかったですね」
「ちょっと分からなくなったわ」
カムイは深い考えに基いて行動しているとヒルデガンドは思っていた。だが、今のカムイの言い様では、ただ成り行きに任せただけに聞こえる。実際にそうなのだ。
「そもそもソフィーリア皇女殿下の継承争いに力を貸すつもりはありませんでした。最初はただ助けたいと思っただけです」
「助けたい……」
助けたいの言葉の意味をヒルデガンドが誤解しているように思えて、カムイはもう一つの事実を伝える事にした。
「これは言っておいた方が良いですね? 皇女殿下は毒を盛られていました」
「なっ!?」
「間違いありません。毒を盛られて体調を崩されていた。ベッドで寝込んでいる、その姿を見て助けたいと思ったのです」
「そんな……」
ヒルデガンドにとってカムイの話はかなりショックだ。真っ先に浮かんだのは、それを誰がやったのかという事。そして、もっとも怪しいのは自分の婚約者という事になる。
「てっきり皇子殿下の謀かと思って、継承争いにも力を貸す事にしました。でも、それは間違いだと後から気付いたのです」
「えっ?」
そうヒルデガンドが考えるだろう事はカムイには分かっている。すぐにテーレイズ皇子の仕業である事を否定した。
「皇子殿下とも実は城で偶然お会いしてます。皇女殿下のご様子を心配して、お見舞いに行きたくて、でも、部屋に行けなくて庭にいた皇子殿下と」
「……殿下がそのような事を」
「お優しい方です。こうも言っていました。皇帝という地位は決して良いものではない。そんな辛い立場に妹を置きたくないと」
「…………」
ヒルデガンドがテーレイズ王子の為人を聞くのは実は始めてだった。嬉しい情報ではある。それがカムイの口から語られたのでなければ。
「そういう方なのです」
「そう」
「正直、落ち込みました。自分が何て安易な考えで、皇族の継承争いになど関わってしまったのかと」
「……皇子殿下につくことは?」
「それは出来ません。それは裏切りになりますから。味方と信じてくれる人を、俺は裏切りたくありません。もう、こんな思いをしたくないのです」
「カムイ……」
カムイも又、傷ついている。ヒルデガンドには、それは嬉しくもあり、悲しくもある。
「貴女を裏切りました。信頼を寄せてくれた貴女を俺は裏切りました」
「それは良いの。それに別に裏切った訳ではないわ。私が勝手に……」
「その思いを裏切ったのです」
「もう良いわ」
「俺は貴女の政敵になりました。正式にご婚約が決まったそうですね? 式の日取りも」
「え、ええ……」
これも又、カムイの口からは聞きたくない言葉だ。
「お祝いは言いません。そこまで俺は強くありませんから」
「カムイ?」
わずかに漏れたカムイの本音。だが、それを確かめる間をカムイは与えてくれなかった。
「ヒルダに一つお願いがあります」
「何かしら?」
「俺は間違いを犯しました。でも、それはもう取り戻せません。それを途中で止める事も出来ません」
「…………」
「これからも間違いを起こすかもしれません。それが、どうにも不安なのです」
「そう……」
カムイの弱音を、ヒルデガンドは初めて聞いた。
「だから、俺がどうしようもない間違いを犯して、それによって多くの人を不幸に落とすような事になったら、俺を止めてもらえませんか?」
「えっ?」
「殺してでも俺を止めてください」
「そんな事出来ないわ!」
「いえ、ヒルダにしか出来ない事です」
実際に一度、ヒルデガンドはカムイを止めている。人を殺すつもりだったカムイを、その名を呼ぶだけで。王国との対抗戦の決勝で、カムイの剣を止めたのはヒルデガンドの声だった。
ヒルデガンドはこの事に気が付いていない。
「でも……」
「間違いを犯せば止めてくれる人が居る。そう思えるだけで、俺は自分の信じる道を進んで行けます。そして、それはヒルダにしかお願い出来ない事です。貴女になら俺は殺されても構いません」
「……分かったわ。じゃあ、代わりに私のお願いも聞いて」
「はい」
「私が間違った道を進んだら、カムイが私を止めて。私も、貴方になら殺されても構わない。いえ、私を殺す者が居るとしたら、それはカムイであって欲しいの」
「……分かりました。お約束します」
「お願い」
「それと、もう一つ」
「何?」
「受け取ってもらいたい物があって」
「あっ、その荷物ね」
カムイが運んできた大きな荷物。あえて聞かなかったが、ずっとヒルデガンドは気になっていた。
「そうです。迷惑かもしれないのですけど。別に受け取った後はどうとでもして下さい。邪魔なら捨てても構いません。出来れば俺の分からないように」
「もう、何か分からなければ、どうしようもないわ」
「……そうですね。えっと、これです」
床に置いていた荷物をテーブルの上に置くと、カムイは中に入れていた物を取り出して並べ始めた。
胸当て、籠手、足甲、マント等々、取り出されたのは防具一式だった。
「これは?」
「母が使っていた物です」
「それは形見じゃあ?」
「そんな大げさに考えないで下さい。使う者が居なくなった防具なので、誰かにあげようかと思っていただけです。最初はセレにと思ったのですけど、セレはディーフリートに貰った防具があるので」
「…………」
余計な事まで話すのはカムイの悪い癖だ。
「あっ、怒りました?」
「セレネさんの話は余計よ」
「すみません」
「でも……、ありがとう。ありがたく受け取らせてもらうわ」
「良かったです。持ってきていらないと言われたら、どうしようかと思ってました」
「お母様はこれをずっと?」
「最後の戦いの時に使っていた物です。あっ、手入れをしていないので、痛んでいる所があるかもしれません」
「それは大丈夫よ。サイズも合わせないといけないから、その時に修復してもらうわ」
「……使う気ですか? 十年以上前のものですよ?」
「実際に戦いで使うかは別よ。それに、私が戦いに出る機会があるか……」
妃となったヒルデガルトが戦場に出るなど、余程の事態でないとあり得ない。そして今の皇国にそんな事態が起こる可能性はない。
「そうですね」
「……ちょっと、試してみようかしら?」
「今ですか?」
「そうよ」
「でも」
「カムイに見てもらいたいの。多分、見せられる時は今しかないわ」
「……そうですね」
こうして二人きりで会えるのも、これが最後だ。
「じゃあ、ちょっと後ろを向いていて」
「後ろ? でも」
贈ったのは服ではなく防具。上から付けるだけだ。
「付けている途中を見られていたら、驚きがなくなるでしょ?」
「あっ、はい」
席を立って、ヒルデガンドに背中を向けるカムイ。その後ろで、ヒルデガンドが防具をつけ始めたのか、ごそごそとしている音が聞こえる。
しばらく待っていると、ようやくヒルデガンドから声がかかった。
「カ、カムイ。……良いわよ」
「あっ、はい」
どんな感じになったのか、楽しみに思いながら、後ろを振り返ったカムイの目に入ったのは、真っ白い肌を、ほんのりと赤く上気させているヒルデガンドの裸体だった。
「……へっ?」
信じられないものを見た時、人はまともな反応も出来なくなる。
「あ、あの、これはね」
このヒルデガルトの声でカムイは我に返った。慌てて、後ろを向くカムイ。
「な、何を考えているのですか!? 冗談にしても度が過ぎてますよ!?」
「冗談じゃないわ! 見てもらいたかったの!」
「ヒルダ?」
「見てもらいたかったの。何もない、素の私を……」
「素の意味が……」
「こんな事しか思いつかなくて。最後に、私がカムイにしてあげられる事って」
「いや、それは」
「カムイは何度もお風呂を覗こうとしていたわ。裸に興味があるって」
恋をすると人は馬鹿になると言う。ヒルデガルトも又、そうなのか。
「それは、そうですけど……」
「ううん、それは嘘。本当は、どうすればカムイの記憶に私の事を残しておけるかと思って。私はカムイの事を忘れないわ。同じようにカムイにも私の事を忘れて欲しくない。これは私の我儘なの」
馬鹿になったのではなく、カムイの心の中に自分を刻み込みたい一心で必死に考えた結果だ。それでもやはり他人には馬鹿に思えるかもしれない。恋愛とは結局はそういうものなのだ。
「そんな事しなくても、忘れませんよ」
「それは同級生として? それとも東方伯家の馬鹿な女として?」
「いや、馬鹿なって事は」
「私は一人の女性として、カムイに覚えていて欲しいの」
「ヒルダ……。だから、そんな事をする必要はないって」
「でも」
「ああ、駄目だ。これはヒルダが悪い。俺の責任じゃないからな」
そう言うと、カムイは振り返って、そのままヒルデガンドの目の前にまで進んだ。さっきまでと違う真剣な目で、恥じる事なくヒルデガンドの体をじっと見つめるカムイ。
「カ、カムイ?」
「鍛錬、続けていたんだ?」
「あっ……。そうなの、腕も足も太くなってしまって。そうよね。こんな体見せられても困るわよね」
「そんな事ない。とても綺麗だと思う」
「…………」
「ヒルダ」
「何?」
「ちょっとゴメン」
「えっ? ……あっ」
ヒルデガンドの体を引き寄せると、カムイはその体をしっかりと抱きしめる。そのままヒルデガンドの耳元に口を寄せた。
「多分、これを言うのは、これが最後になる」
「…………」
「俺は貴方が好きだ。一人の女性として、貴女の事を大切に思っています」
「カムイ……」
「言わないでおこうと思っていたけど、ヒルダがこんな事をするから」
「ごめんなさい。でも……、嬉しい」
「でも、今日が最後。俺達が結ばれる事は無い」
「……そうよね」
「結局、俺はヒルダを傷つけるだけで終わってしまう」
「ううん。そんな事ないわ」
「だから、最後にもう一つだけ、傷つけて良いかな?」
「えっ?」
「許されない事だと分かっている。でも……」
ヒルデガンドの頬にそっと手を添えると、ゆっくりとカムイはヒルデガンドに自分の顔を寄せていく。ここまでされれば、ヒルデガンドもカムイが何をしようとしているか分かった。
「カ、カムイ。これは……」
「駄目?」
「……そんな事、聞くのはずるいわ」
女性にキスして良い、なんて聞く男は最低だ。
「そうだな。分かった。ヒルダの同意はいらない。ヒルダの初めての口づけは俺が奪う。誰にも渡さない。それが例え、次代の皇帝陛下であっても」
「カムイ……」
ゆっくりと、顔を寄せていくカムイ。ヒルデガンドもそれを拒むことはしない。目をつむって、カムイのそれを受け入れた。
重なり合う唇と唇。カムイの手が、ヒルデガンドの背中に伸びる。そしてヒルデガンドの腕も。
唇を重ねたまま、きつく抱き合う二人。終わりを拒む二人の気持ちが、いつまでも、それを続けさせていた。
これが学院生としてのカムイの最後の思い出。一生忘れることのない、誰にも言えない二人だけの思い出。
『第一章 皇国学院編』は、これで終わりです。次回からは新章になります。
ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございます。




