表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/23

5

 ショーくん天音ちゃんから貰ったクマを抱っこしながら、僕は我が家に帰ってる途中。

 久々に、ショーくん天音ちゃんコンビに会ったせいか、僕は気分が良かった。

 腕の中には、ふわふわしたうさみみ帽子を被ったクマ。

 間違えても、さっきのように『クマさん』とは呼んじゃいけない……。

 特に、蓮様悠斗様の前ではね。今後、王子様キャラを作る上で、完全なる弱みになるだろう。


 いやぁ、実にハメを外しすぎた……。我ながら、反省するよ。


「うふふ、可愛いクマさんね?」

「そうだなぁ。でも、大きすぎて抱っこできるかい?」

「大丈夫さ、これくらい軽いよ」

「そう? でもなんだか、クマさんが姫香をおんぶしてるみたいね?」


 心外だなぁ。もう少しすれば、僕だってクマの身長を超えるよ。

 そんなことを言えるのも、今のうちさ。


「そうだなぁ。抱っこしてきた時は、クマが一人で歩いてきたのかと思ったよ」

「前も見えないから、よたよたしてたわね?」

「真っ直ぐ歩けるさ……」


 あぁ、なんか恥ずかしいね。クマが顔を隠してくれるからよかったけどさ。


 で、でも、天音ちゃんとショーくんとゲーセンに行ったのは、後悔してないよ。実に有意義な時間だったさ。

 ――はぁ、初心忘れるべからずだね。


「うふふ、ちょっと寄り道して行きましょ?」

「そうだね、姫香のご機嫌もいいみたいだし」

「まぁ、こうなるならもっとお洒落させればよかったわぁ」

「ははっ、実にそうだね。承太郎君も来てくれるなんて、思わなかったからさ」

「もうっ、ショウちゃんも一言言ってくれたらいいのに。貴方のお古のスーツあげようと思ったのよ」


 そういえば、ショーくんは一度もスーツを着た姿を見てないね。本人も、そんな高い物は持ってないと言ってたし、あるなら就職活動の時に役立つのにね。


「そうだな。承太郎君は、息子のようなものだ。立派になってもらいたいよ」


 うんうん、とお父様は頷いている。

 実のところ、僕が天音ちゃんとショーくんに懐くせいか、お父様とお母様は二人を贔屓してるようだ。

 僕自身も、少々ハメを外すからね。

 ――あぁ、『くまさん』とか『小さくないもん』とか、色々治すべき所はありそうだ……。あー、顔が熱い。


「――本当なら、ショウちゃんを養子にしたいのだけれど……」

「――そうだね、我々では、助ける手段がない……」

「お父様、お母様……」


 どうやら、僕が考えてる程世の中甘くないらしい。

 金さえあれば、ショーくんは助けられると思ってた。

 でも、ショーくんが受け取らないから、このままなんだと思ってた……。

 違う、のか……。僕にも知らない世界があるんだ。

 僕も、まだまだだね。


「そう、悲しむな」

「うん……」

「大丈夫、そのうち、きっとよくなる。そのために、お父様とお母様は頑張るからな」

「えぇ、心配しなくていいわよ?」


 お父様とお母様は、優しい顔で笑ってくれる。そして、僕にピッタリくっついてくるんだ。

 なんだか、二人は僕じゃなくて、自分自身に言い聞かせてるようだ……。


 お父様、お母様。いつでもいいから、本当のことを聞かせて下さい……。

弱みは天音ちゃんとショーくん。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ