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護られる君

クヨクヨしてても、しょうが無いわ!同じ名のセシリー違いかもしれないじゃない!


と自分で自分を励ますのだが、元気にはなれなかった。


「結局、愛人ができるのは間違いないのよね…」


ボフボフと叩きつけたクッションを拾い上げ、抱きしめた。


前世でも全ルートプレイしたが、カラムルートは1番のお気に入りだった。そんなカラムと自分が今一緒にいられているのだ。


「一緒にいられるだけ、幸せ者よね…。まぁ、この後カラムがセシリーに本気になって、私なんて放ってかれる…なんてあるかもしれないけど」


アメリアの気分はどんどん落ちてゆく。前世を思い出そうが、ここはゲームの世界だろうが、今のアメリアにとってここは現実(**)なのだ。そして、カラムを愛する気持ちは変わらない。


だが、アメリアにもプライドというものがある。何があっても、セシリー(ヒロイン)をイジメたりするのは辞めようと心に決めるアメリアであった。


コンコン


アメリアが決意を固めていると、控えめなノックが聞こえた。


「失礼致します。意識が戻られたのですね、安心致しました!」


冷静を装いながらも、安堵の笑みを隠し切れていないリリーにアメリアは微笑んだ。


「心配をかけてしまって、申し訳ないわ。それで、どうしたの?」


「はい、アメリア様をお部屋へと運んだのも彼なのですが、アメリア様に専属護衛をつけることになりました。ヒュー、こちらへ」


リリーに呼ばれ、部屋へと入って来たのは私がさっき思い出したばかりのヒューであった。

甘い茶色の髪に、眩い黄色の瞳。ゲームのヒューのままであった。


アメリアは、ドクドクと音を立てて慌てる心臓を抑え考えた。


なぜ、専属護衛など?そして、なぜヒューなの!?

今まで私の護衛は、日替わりで特に専属などなかったのに!


そんなアメリアの気持ちをくんだかのようにリリーは話した。


「愛人候補ができたことは、お嬢様にもお話致しましたね。愛人候補ができたということは、カラム様に愛人ができるかもしれません。なので、命の危険もでてくるかと思いますので、専属護衛をつけることになりました。」


いらん、日替わり護衛でいい!と言いたいところだが、愛人候補ができると共に、なぜか愛人狙いの女たちや私を邪魔に思う者たちが一気に増える。日替わり護衛では、少々命が危ないのも事実であった。


「……初めまして、ヒュー。部屋へと運んでくれて、ありがとう。迷惑をかけて申し訳ないわ。」


「初めまして、アメリア様。挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。迷惑なんて滅相もありません!」


爽やかに微笑むヒューに、キャー!生ヒューよ!イケメン万歳!と、叫びたい気持ちを抑え挨拶を済ませた。


「それでは、私は失礼いたしますね!」


ニコニコとリリーは笑い、部屋を出て行った。


…ゲーム補正恐るべしだわ。この調子でいったら、魔術師も隣国の王子も、こんにちわ〜なんていって出てくるんじゃ無いかしら!


どんどんゲームの内容へと近づいて行っているのではないかと、少し怖くなり、アメリアは身震いをした。


「アメリア様、どうされました?」


「いいえ、なんでもないわ。ところで、ヒューはとても腕の立つ騎士だと聞いているわ。そんな有能な存在を私だけに縛ってしまうなんて、なんだか申し訳ないわ…」


自分の死亡フラグが怖いんで、取り敢えず、近づかないでください!なんて馬鹿正直に言えるわけもなく、遠回しに言ってみる。


「アメリア様は、お優しい心をお持ちなのですね…。ですが、今まで訓練だけで模擬戦はあるものの、実戦はなかったのです。なので、アメリア様に付くことができ、やっと今までの成果が挙げられます。私は、アメリア様をお守りすることができ、大変喜ばしく思います。」


照れ臭そうに、微笑まながら話すヒューは鼻血ものの格好良さであった。


「そうなのね、私もヒューのような立派な騎士に護って貰えるなんて、光栄だわ!ふふふ、私だけの騎士(ナイト)って素敵!」


なんだかんだ言って、イケメンに護って貰えるのは嬉しいので、アメリアは純粋に喜んだ。


そして、死亡フラグは折れないわ…。ゲーム補正が恐ろしいわ…。とブツブツ考えているアメリアには、アメリアの言葉にホッと頬を染め、目を細めアメリアを見ているヒューに気づかなかった。

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