乙女ゲーの君,2
3人目は、騎士のヒュー。
アメリアやヒロインより、5歳年上である。蜂蜜のような黄色の瞳に、ミルクティーのような茶色の髪。落ち着いた大人の雰囲気をもった肉体美をもつ、美男だ。
アメリアの身を守るために、護衛として学園についてきたが、あるイベントでヒロインのことを助けてからは、危なっかしいヒロインを度々助けるようになる。
そして、お互い気になり始める。
ある時2人で話をしているところにアメリアが現れ、2人の仲を引き裂こうとするのだが、失敗に終わる。
身分差がある2人は、愛の逃避行をしようとするのだが、娘ラブなヒロインの父が、ヒューに養子縁談を持ち込み、2人は晴れて身分差がなくなり結ばれるのであった。
その後、アメリアはヒロインに犯罪紛いのことをしまくったため、罪をかせられ捕まってしまう。
私、全ルート対応の悪役なのよね…働き者だわ…。
そして、4人目は魔術師のルーク。
王家に代々使える魔術一家に生まれたルークは、度々王宮にやってくるアメリアに、ロックオンされてしまい、アメリアの屋敷に連れ回されたりするのだ。
アメリアは、珍しい魔術師ということも気に入っていたが、何よりルークの容姿を気に入っていた。
アメリアたちよりも、3つ年上で、アーモンドのような切れ長の瞳に、深緑の肩まである髪は後ろでしばっている。
攻略対象たちは、皆高身長だがルークが一番長身であった。
そして、アメリアが無理を言って学園にルークを呼び出したときに、ルークは学園を迷ってしまい、それをヒロインが案内するのだ。
アメリアのような傲慢な性格をした女性に付きまとわれていたルークは、ヒロインの優しさに心を奪われ、2人は徐々に仲を深めていくのであった。
ちなみに、私は最後にルークの恨みがこもった魔撃で ぷぎゃっ である。
ぷぎゃっ だ。本当、ゲーム内の私は救い用のない…
そして5人目は、隣国の王子アーウェル•メイヤール
摘みたてのイチゴのようにツヤツヤとした真っ赤な髪と瞳。
白い肌を持ち 一見、美女のように見えるがカラムにも劣らぬ肉体をもっていた。そして、右目の下に泣きぼくろがある魅惑的な逞しい美少年であった。
アメリアの国とアーウェルの国の友好を深めるため、アーウェルはアメリアたちのいるアネモネ学園に入学してきた。
アメリアに四六時中付きまとわられ、でも友好を結んでいる国の侯爵令嬢ということで無下にはできず、アーウェルは疲れ切っていた。
そして、ヒロインと出会ったアーウェルは自然と心を落ち着かせている自分に気づき、ヒロインと一緒にいるようになり、距離を縮めていく。
アーウェルとヒロインが結婚し、ヒロインが王妃になると、国民から慕われた王妃を長年イジメた悪女としてアメリアの噂が流れ、アメリアは自国にも隣国にも居場所を無くし自殺してしまう。
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私…自国の王子の婚約者なのに、隣国の王子に手を出すとか、どんだけビッチなのよ!
アメリアは、手元にあったクッションをボフボフと投げた。
でも、その乙女ゲーの舞台のアネモネ学園はもう卒業している。
私とカラムは20歳…卒業してから2年が経つわ。
そして、12歳の婚約パーティーの時からカラムは冷たくなったものの、関係は悪くない。
私は、義弟のクラウドをイジメていないし、家族関係は良好だ。婚約するまで、一緒に寝ていた程仲も良かった。
腕の立つ騎士がいて、名をヒューというのは聞いたことがあるが、私の護衛ではない。
それに、魔術師の芸を王宮で一度見たことがあるが、それっきりだ。私のお屋敷に呼んだり、学園に呼んだりもしていない。
隣国とは、確かに友好を結んでいるが、学園には王子は入学してこなかった。
それに極めつけは、ヒロインが学園にいなかった!!
…ところが、愛人候補にヒロイン、セシリーの名が出てきた。
変なところで、ゲーム補正を働かせないで欲しい。なんなんだ。やめてくれ!
と、心の中で叫んでもどうしようも無いことだった。