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 コーデリアは、そこでようやく口を開いた。

「私に状況説明をしてくれないかしら」

 ナイナスは弱り切った顔で、返答をした。

「すまない。お前の力が必要なんだ。それも早急に」

「なんとなく分かっています。『ダモクレス』が落ちようとしているんでしょう。それを最近触ったのは私だから、どうにか力を貸して欲しい、そういう事だと思うけれど、違いますか?」

 的確だ。未だ幼いながらも、厳しい環境で育っただけあって、現状把握能力はズバ抜けている。

「携帯端末くらい欲しかったけれど……。まあ、あり合わせでどうにかします」

 コーデリアは警備室の椅子に座り、端末を触り始める。そのまま無言で、凄まじい勢いでキーボードを叩き始める。そして、ものの五分としない内に、口を開く。

「ナイナス、これはどういう事ですか?」

 彼女は、モニタを指差す。

 そこには、拘束衣を着させられたクロヌスの姿があった。

「端末から見える情報によれば、こいつ以外、ただの一人もここには誰もいません。まさか、この男一人を助けるために、私もナイナスも呼び出されたのですか!」

 コーデリアの怒りの表情に、ナイナスは言葉も思いつかず、首を縦に振ってしまった。

 その瞬間、コーデリアは駆けだした。

「ナイナス! 『ダモクレス』が落ちるのは阻止します。ですが、クロヌスを助けるのは納得できません! それはわかるでしょう!」

 ナイナスの脳裏に、つい先ほどのコーデリアの考えが過ぎる。あまりにもタイミングが悪すぎる。しかも拘束衣を着させられている以上、たとえコーデリア相手でもクロヌスは抵抗できないだろう。

「私はクロヌスに裁きを下します!」

「やめろコーデリア!」

 走り抜けるコーデリア。そして彼女が走り抜けた途端、ナイナスの目前で、扉は閉められた。

「コーデリア!」

 まずいことになった。何としてでもコーデリアを探し出し、クロヌスを助けなければならない。

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