ホワイティア
――――スタッ
「ねぇ…屋上って玄関じゃないんだけど…」
俺がギルドホームの屋上に降り立つと、屋上で植物の世話をしていたナツミが声をかけてきた。
「楽」
それに…
――――スタッ
「こんにちはなのです」
デンだって屋上から入ってくるし。
――――タッ
「こんにちわーなのデースッ」
アリスだって…
「ハァ…
なんで下の玄関使わないの…」
「面倒」
「ほかの人とあうからです」
「人多すぎで面倒なのデスよー」
俺は一々地面まで降下するのがめんどうなだけだし、
デンにいたっては人とあうのがというよりも男が怖いからだろうし、
アリスはプロポーション的にナンパされて面倒なんだろう。
何度もアリスといるときにナンパされてたし。
「はぁ・・・」
そういえば・・・
「ナツミは今日ここから出た?」
「ぇ?あー」
出てないな・・・
こいつ本当に俺たち以外とは狩りにいかずに装備作ってやがった。
ゲームの中で引きこもりって・・・
一階のナツミの生産施設には、毎日高性能装備が次々と貯蔵されていっている。
全て売ってしまえば、このギルドホームがもう一つ買えるぐらい貯蔵されている。
俺たちが使わない鋼鉄やミスリル、アダマンチウムなどの鉱石や、現段階で最高レベルに位置する水龍を何度か狩ってアイテムをナツミに渡しているから、そんな装備が次々できているんだと思うが・・・
*
――――タァン!!
「ビューティフォー」
俺は今最前線の森の木の上で横でデンが狙撃するのを見守っている。
見事にヘッドショットで決めているのを見るのはとても気持ちがいい。
銃が大きい分攻撃力が高いからか最前線のはずなのに一発だ。
ついでに言っておくと、同じ敵に俺が魔法を撃っても3~5発は必要だ。
「お兄ちゃんも狩りなよ・・・」
えー見てるほうが楽しい。
今二人しかいないから、ロールプレイはしない。
索敵でも回りに人はいないからね。
「なぜにボルトアクション?」
一々めんどくさそうなんだが。
「かっこいいじゃん」
分かるような・・・分からないような・・・
「あら、集まってきちゃった」
デンが俺達がいる木の下に集まってきて、木を少しずつ登ってきているカマキリが大きくなって人に近付いたような形をした《リザードマン》を指差す。
この当たりだと、木に登ってくるモンスターも増えてくるから厄介だ。
まぁ地上で戦うよりは楽なんだけどな。
「《マジックアロー》」
登ってきている《リザードマン》に向かって適当に《マジックアロー》を乱発。
デンも愛用の回転式の銃で撃っていく。
――――ピロンッ
うん?
『《龍人の森》のフィールドボスを討伐しました。
次の街に入れるようになりました。』
は?
「混じっていたみたい」
倒した気しねぇぇ!!
「ここの森《龍人の森》って名前だったんだ・・・」
初めて名前知ったぞ・・・
*
「さむっ」
「寒い・・・」
俺とデンは新しい街、《ホワイティア》に来たのだが。
ここに付くまでに20分山登りしなければならなかったし、何より寒い。
街全体が厚くはないが薄くもない雪に覆われ、雪の街だ。
街のあちこちでは防寒着を着たNPCの子供が雪だるまを作ったりしている。
「コート買う」
「そうするのです」
NPCがいるからロールプレイ開始だ。
個人的にダッフルコートの白がいいなぁ・・・髪色的にも似合いそうだし。
ダッフルコート自体はNPCが着ているからあるっぽいからな。
適当に見えた洋服屋に入るとしよう。
*
「じゃーん」
「ん」
俺とデンが買った防寒着に着替えて二人でお披露目だ。
「「あれ?色違い!?」」
なぜに二人ともダッフルコートを選んだし・・・
まぁいいか色違いで。
デンは薄い茶色で、俺は白色のダッフルコートだ。
ダッフルコートは装備の分類で《防寒着》に分類される。
着ている間は寒さを感じないというものだ。
このMagiaOnlineでの《防寒着》というのはとても面白い。
なにせ《防寒着》の分類だとどんな装備でも寒さを感じないのだ。
極端な例だが、赤ふんどしが《防寒着》に分類されたらそれ一枚だけで周囲の人達は寒くなるかもしれないが、着ている本人は寒さは感じなくなる。まぁ赤ふんどしは《水着》の分類なんだがな。
「じゃぁ・・・何する?」
とりあえず、行動しやすいように防寒着に着替えたが・・・
「街の探索をするのです」
掘り出し物の店はないかなぁ・・・
*
「《スキー板》・・・?」
俺は売っていたスキー用具を見ながら呟く。
分類は靴か。
「こっちは《スノーボード》なのです」
結構手軽な値段だし、土産として買っていくか?
「やってみたいのです」
土産というよりも自分達でするのね。
やるのはいいが・・・俺達雪が降らない地域の育ちだからスキーなんてしたことないが大丈夫だろうか。
*
「おぉ、こわっ」
デンと共に飛んで雪山のスキー場として整備されている斜面を登ってきた。
リフトとかいうものはなかった。
まだまだ山は続いているが、スキー場は今俺達がいるところでも標高1500メートルだ。
どこまであるんだこの山・・・頂上は雲で隠れて見えないし・・・
「よいしょっと!!」
デンが《スノーボード》で斜面を下っていく。
俺もその後ろを《スノーボード》でついていく。
空を飛んでいるときのバランス調整よりもバランスはとりやすい。
――――ザァァァァァァ
雪を掻き分けて進む音が響き渡る。
ちょっと気持ちがいい。
「エイヤッ!!」
デンが段差を使ってジャンプ、俺も後に続く。
「うげっ!!」
デンが体制を崩して頭から雪に突っ込みかけるが…
「とぅっ!!」
手を出して柔らかいはずの雪に手をつき、勢いをつけて前宙。
そしてそのまま《スノーボード》で着地をして滑っていく。
「…」
なにあれ…
はっ!!
もう雪の季節じゃない!!
ちなみに私、スキー、スノボーしたことありません。
というか滑れるほど積もった雪を実際の目で見たことありません。
積もっても1~2㎝だったかな…それで電車が止まるから大変でした。




