剥ぎ取り包丁
「はぁっ!!」
デンが短剣で切り込むと、アクアドラゴンのHPが全て消え、アクアドラゴンが消える。
水の上で倒してしまったから死体は水の中にゆっくりと沈んでいく。
多分、剥ぎ取りの時間なんだろうが、この時間じゃたいした量を剥ぎ取りはできないだろう。
標準のドロップは手に入ったからいいか。
標準のドロップは《水龍の肉》《水龍の爪》《水龍の鱗》だった。
俺は、デンが落ちる前に腕を掴んで浮かぶ。
(矢のレシピか)
俺はいらないからナツミに上げよう。
レベルが結構違うのに、ほぼ同じ火力なナツミがもっとおかしくなるけどいいだろ。
「《アイスクリエイト》!!」
紫の一際大きな声と共に海が凍りついて、徐々に沈んでいっていたドラゴンが今以上沈まなくなった。
「!?」
「っ・・・なるほどなのです」
多分、全力で使ったんだろうけど、こんな範囲凍らせることができるのか・・・
ってことは・・・この範囲に敵を誘い込んで凍らせてタコ殴りにすれば・・・
「そんなことしないわよ」
紫が海にできた氷の道を歩きながら俺の思考を読んだのか答えてきた。
MPポーションを飲みながらだから、結構MPを使っていることが分かる。
「なぜ?」
「だって、《アイスクリエイト》って相手が生きているとMP結構使うのよ。
それに相手が生きている状態で、これだけ広範囲凍らすとするとMPが最大の時の8割はなくなるわね」
今回は死んでいたから特に問題はなかったけどね。 とか言っても、この範囲を凍らせれることに驚きを感じるんだが…
「さ、剥ぎ取り剥ぎ取り」
ナツミがウキウキと何かを取り出す。
あれは…刺身包丁? にしては刃渡りが長い気がするが…
「はい。
ベルちゃんよろしく‼」
なぜ俺に渡す?
「剥ぎ取り専用の包丁で、名付けて《超鋼包丁》!!
《料理》スキルを持つ人が使って剥ぎ取りをしたら、剥ぎ取り量が増えるエンチャント付き!!
一応《料理》スキルない人が使っても量は増えるけど、《料理》スキル持ち以下の性能しかでないの」
まぁこの中で一番《料理》スキルの熟練度が高いのは俺だと思うけど…ドラゴンを捌くにしては小さすぎないか?
「私を誰だと思ってるの!!
《超鋼包丁》にMPを込めてみなさい」
いわれるまま俺は《超鋼包丁》にMPを込める。
すると、刃渡りが伸びた。
「!?」
「鋼鉄と魔力伝達がいいミスリル鋼を混ぜることでMPを流しやすくして、そこにネタ武器としてあった《如意棒》につけられていたMPを流すと長さが伸びる術式を解析したのを組み込んだの!!
どう?」
術式を解析ってナツミは一体何をしてるんだ…
母親が一応このMOにある魔法陣はすべて意味があって組み合わせることで効果が出るとか言ってたけどさ…
「ささっ!剥ぎ取ってみて!!」
いわれるまま、俺はドラゴンに包丁を振るうと、包丁は何の抵抗もなくドラゴンを切り裂いていく。
切り裂く前にドラゴンをどう斬ればいいのかは《料理》スキルが教えてくれる。
目の前には、どんどん見たこともないような量の肉と、ドラゴンの鱗や牙が並んでいく。
「これはすごいのです…」
標準ドロップで手に入れた素材ではでなかった《水龍の心臓》や《水龍の骨》なんかもどんどん獲れる。
比べるまでもなく、増えていることがわかってしまうぐらい大量に剥ぎ取れた。
「そろそろ、魔法の効果時間が切れるわ。
逃げましょう」
紫の撤退宣言に皆が逃げる。
だって、端っこのほうの氷が少しずつ割れていっているから、もう時間がないことが分かる。
《アイスクリエイト》は魔力を流し続ける間凍っている魔法でもあり、一定の量魔力を込めれば一定時間凍らせておくことのできる魔法だ。
両方とも氷がなくなるときはひび割れて、氷が砕け散ると光となって消えていく。
これだけ素材が取れたら、全部売った場合一人頭30万リムは行くんじゃないだろうか。
*
「お嬢さんたちどうしたんだい?」
俺たちは、水龍を倒したあといけるようになる港街の船着場で、近くにいたNPCのおっさんに話を聞く。
「《アクアリム》までの船ってどこで乗れますか?」
「あぁ、《アクアリム》だね。
あの船さ」
そういっておっさんが指をさしたのは、海の向こうの方からこっちに向かってきている、大きさ的には車も乗せれるフェリーぐらいの大きさの帆船だった。
「あの船が《アクアリム》に行く定期便さ。
それ以外の船じゃ、《アクアリム》の回りにある潮に流されちまう」
あの船は、魔法で走らせているため潮が強くてもなんとかなってしまうらしい。
「「「「ありがとうございます」」」」
「おぅ!がんばれよっ!!」
話しかけたのは気のいいおっさんでよかった。
デンはずっと俺のスカートの端をつかんでいたがな。
*
『この船は《アクアリム》行きです。
《アクアリム》まで30分の船旅となります。
出航は10分後です。お急ぎください』
もう俺たちは船に乗ってしまったが、船着場と船の中に声が響き渡る。
これが、探偵物だと船の上で一つ事件があるんだろうけど、そんなのはない。
船事態が街と同じように攻撃されてもHPが減らない設定になっているからだ。
「楽しみなのです!!」
デンは現実でも乗ったことのない船にはしゃいでいる。
まぁわからなくもない。妹が男性恐怖症になってから旅行なんていったことないからな。なる前にも行かなかったが・・・
俺だってちょっと楽しみだ。
そんな俺たちをナツミと紫は慈愛に満ちた目で見ていることに俺たちは気が付くことはなかった。
次の話はできれば金曜日、無理だったら土日かな・・・




