ライト
――――ゴンッ
気持ちよく空を飛んでいたら、あるところで壁にぶつかった。
マップを見てみると、次の街の領域らしい。
いけないのは仕方ないか。
錐揉み飛行だってもうお手の物だ。
今度はどこまで高度を上げれるかやってみるか。
*
どんどん高度を上げていっているんだが、雲を突き抜けて、一面の雲海の上まで出た。
まだまだ上がりそう。
でもなぁ・・・もう30分ぐらいずっと上に向かって飛び続けてるんだがな・・・
ってHPが減り始めてるだと!?
ダメージを受け始めた。
息苦しいとかの問題はないし、攻撃を受けた感覚はない。
ただ何もないところでHPが徐々に減っていく。
これ以上は無理そうだな。
死にそうだ。
《飛翔》の魔法に送るMPを切ると、《飛翔》が解除される。
もちろん、浮かぶ力がなくなったから地面に落ちていくわけだが・・・
気が一本一本数えれるぐらいまで高度が下がったら使い慣れている《浮遊》で浮かぶ。
「検証終わり」
空から次の街には移動できないし、上空にも制限があることが分かった。
それに《飛翔》の燃費のよさも分かったし、そろそろ地面に足を付けるか。
大体1時間ぐらい飛びっぱなしだったからな。
*
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
俺が木の枝に腰掛けて休憩していると、下を猪に襲われながら走り去っていく少年が現れた。
βで見たことある少年だな。
見た感じ武器持ってないし、βと同じ戦い方なんだろう。
――――ドドドドドド
って多っ!?
ざっと10以上いるな。
MPKにでも狙われたか?
いくらなんでもソロだと集まりすぎだろ。
「だぁぁぁれぇぇぇぇぇかぁぁぁたすけっ・・・」
はぁ・・・暇だし助けてあげるか。
「《飛翔》」
流石に障害物のある森を走っていく少年と、障害物のない上空を飛んでいく俺とじゃスピードレンジが違う。
俺は少年の上空までくると、速度と高度を落として飛びながら、少年の横で並走?する。
「助けいる?」
「ぇ?
ベルさん!?
助けてくださぁぁぁい!!」
俺は少年の手を取ると、一気に高度を上げて猪の集団の前から姿を消す。
*
「で、どうした?」
俺は少し先で獲物を探している猪を指差しながら少年・・・ライトに聞く。
ここはちょっと離れた先の木の幹の上だ。
ああいった地上のモンスターは木の上には攻撃を仕掛けてこないというか仕掛けれない。
遠距離系の武器を持ったゴブリンならありえるが、獣系は近接しか基本の攻撃はない。
もっと奥に行けばあるかもしれないがこのあたりだとない。
まぁ木を登っては来るが、それさえ見ておけば落とせるから木の上はほぼ安置だ。
ライトはβ時、スキルなし、武器なしで戦闘をしていた奴だ。
1対1だと強いんだが集団戦になると極端に弱くなる。
「モンスタートラップがあったんです」
モンスタートラップねぇ・・・
よくあるのは落ちてる宝箱を開けると周りからモンスターがよってくるというのが定番のトラップだ。
Wikiでは無闇にあけないように忠告文が書かれているものだ。
「あけた?」
「だって素手のスキルがあってもおかしくないじゃないですか!!」
モンスタートラップの宝箱と同じ姿形で本物の宝箱がある。
その中にはポーションや、武器、スキルブックといったものが入ってる。
その宝箱から得られるスキルブックにはレアスキルが入っているという噂だ。
俺は見たことない。
というか宝箱は怖くてあけない。
「殺る」
俺は猪を指差しながらライトに言う。
一定時間、プレイヤーの視界に入ってないと消えるが、それまでに他の人が襲われるかもしれないし、
なによりあれだけ固まってくれていたら良い的だ。
「お願いします」
さぁて、経験値と熟練度をあげますか!
一応ライトにパーティー要請を送っておくけどな。
*
「さ、流石ですね・・・」
ライトが俺の横の枝に腰掛けながら言ってくる。
まぁ枝から立ち上がらずにここから魔法撃っただけで猪は消えていった。
簡単なお仕事でした。
「簡単」
呪文を唱えて魔法を使えない人でもこう安置があれば、しっかりと狩ることが可能だ。
うん? 剣持ちゴブリンが一体沸いたな。
「僕が行きます」
ライトが、音を立てずに枝から飛び降りた。
これでスキル使ってないんだぜ。
全身をバネのように使うことで衝撃と音を消してるんだとさ。
俺にはわからん。
ライトがゴブリンに走って向かっているとゴブリンもライトに気が付いたのかライトのほうを見る。
ゴブリンは剣の間合いに入ったため、ライトに向かって振り下ろすが、ライトはその剣の腹を拳で殴り軌道を変えることで、ゴブリンの懐に入る。
「はっ!!」
顎に掌底を食らわせる。
その掌底でゴブリンの体は地面から浮き上がる。
そのゴブリンに、拳による連撃。
ゴブリンは空中に浮いたまま、抵抗することも出来ずにHPがどんどん減っていく。
ゴブリンのHPが4分の1ぐらいになったころ、もう一度ライトはゴブリンの顎に掌底を食らわせる。
さっきよりも浮き上がり、地面から50センチは浮いているだろうか。
「シッ!!」
ライトはその浮き上がった隙に、ゴブリンの横にすべるように移動し、頭に踵落としをお見舞いする。
その踵落としがクリティカルになったのだろう。
ゴブリンのHPは消え、光の粉となって消えていった。
これでスキル使ってないんだぜ、信じれるか?




