PvP2
『さぁ!!
E-1~E-9グループの選手の人達は控え室に来てねー!!』
さて行くか。
「頑張ってねー」
ナツミの声援を受け、俺は控え室に向かう。
*
周りの人達はほとんどが男で、体格のいい戦士系の人達だらけだ。
脳筋グループか・・・?
弓や銃は一般的には不遇だし、魔法使いだって呪文詠唱が出来ないと話にならないから参加者が少ないんだろう。
それに、魔法使いとか遠距離職はどちらかというと女性が多いっぽいからな。
PvPとかあまりやりたくないんだろう。
俺のフレンドが好戦的なだけなんだろうな。
俺だって出てくれって言われなかったら出なかったし。
「お嬢ちゃんも出るのかい?」
スキンヘッドの大きな斧を持った大柄な男性が俺に話しかけてきた。
とりあえず頷いておく。
「ほぅ。頑張れよ」
そういって斧の点検に戻っていく。
まぁ点検なんて必要はないと思うんだが、まぁ人の勝手だしいいか。
明らかに俺を稼ぎ的にしか見てないような奴らがいる。
まぁ軽装な・・・というかセーラー服の魔法使いがいたら稼ぎ的だよな。
魔法使いを甘く見ると痛い目を見るぞ。
*
『それでは開始でーすっ!!』
――――カァァァァン
ランダムでフィールドが決まるのか、今回の戦闘フィールドは森だ。
敏捷が高い奴が有利なフィールドだな。
まぁ・・・《索敵》で、こっちに高速で向かってきているプレイヤーがいるのは把握済みだ。
「《マジックアロー・フルバースト》」
流石に《マジックアロー》だけだと火力不足だろうから少し呪文が長くなるが、フルバーストも混ぜる。
「御命覚悟!!」
いや、声だしたら奇襲にならないし・・・
とりあえず、姿を現したプレイヤーを囲むように《マジックアロー》を設置して発動させる。
流石に一回では削りきれなかったが、すぐに次の《マジックアロー》を準備する。
「なっ!?速すぎる!?」
こいつは呪文詠唱知らないんだな。
「さようなら」
一斉発射。
「く、くっそぉぉぉぉ」
魔法使いだからって甘く見るとダメだぞ。
「《浮遊》」
さて、折角出たんだし、優勝でも狙ってみるか。
*
「うおぉぉぉぉぉぉぉ」
「はぁぁぁぁ!!」
「《スラッシュ》!!」
ベル以外のグループの参加者はほとんどが接近職だ。
剣が斧が、刀が、ナイフが打ち付けあい火花を散らす。
少数派だった遠距離職は稼ぎ的と思われ、先に落とされた。
今は落とされた魔法使いが最後のあがきとして放った範囲魔法によるもので木々が吹き飛んだ地形を十数人の男たちが戦いあう。
「《エネルギーボルト》《マジックアロー・フルバースト》」
透き通るような声が乱闘となっている戦場に響き渡る。
少し手の開いていたものはその声がどこから聞こえてきているのかを探りだす。
《索敵》を持っているものは《索敵》を使うが、自分たち以外近くに人はいない。
そして数人が気付く。
上空で、淡く光る《マジックアロー》がこちらに標準を定めていることを。
《鷹の目》などの遠距離を見ることの出来るスキルを持っている人達がいれば、それぞれの《マジックアロー》が回転しているという事実にも気が付けたかもしれない。
その《マジックアロー》を待機させている少女はその《マジックアロー》の後ろで小さな体から溢れ出るオーラと共に、静かに浮かんでいる。
「ファイア」
少女が持っていた小さな杖が振られると同時に小さくも響き渡る声で、個々の《マジックアロー》がまるで意思を持つかのように空間を縦横無尽に突き進んでくる。
「に、逃げろっ!!」
まるで爆撃のように、何度も何度も繰り返される。
周りの地形を抉るかのように爆撃が行われる。
あるものは盾で防ぐが、盾を迂回されHPを減らされたり、盾の上からもHPを減らされていく。
あるものは速さを活かしいて逃げるが、《マジックアロー》は逃げるものを追尾する。
魔法剣士を自称するものは土魔法で壁を作るが、土なんか関係ないといった感じで貫通した《マジックアロー》で、HPを減らしていく。
この回復アイテムなしのPvPにおいてこのような爆撃はすぐに終わるだろうと皆が、思っていた。
「《エネルギードレイン》」
そう、終わるはずだった。
《エネルギードレイン》を知っている者達は、絶望の表情が浮かぶ。
《エネルギードレイン》は《聖属性魔法》の一つで、周りの大地などからMPを集める回復系魔法である。
発動するために、ウィンドウから発動では結構長い発動時間を取られる魔法だが、詠唱ならそのような問題はないに等しい。
あと、発動中は攻撃系魔法は使えないという制約があるが、《聖属性魔法》には攻撃系魔法があまりないため、意味がない魔法ではなかったりするし、少女が使っているのは攻撃系魔法は《マジックアロー》のみだ。
《エネルギーボルト》や《浮遊》はあくまで補助魔法で攻撃魔法ではない。
大地、木々、草、花から水色のMPが吸い出され、上空に浮かんでいる銀髪の少女に集まっていく。
その光景は、どこぞの戦闘民族の究極の奥義のようだ。
もしかしたらこのVRの中の太陽からもMPが吸収されているのではないかという考えが現実逃避として浮かぶものもいる。
「《アースバレット》!!」
現実逃避せず、今まで残っていた魔法が使える魔法剣士が上空の少女に向かって魔法を放つ。
が、少女は空中で最小限の動きで避ける。
周りの水色のMPが全て少女に吸い込まれると、
「《マジックアロー・フルバースト》」
また地獄の時間が始まる。
こちらからの攻撃は当たらないのに、向こうからは一方的に攻撃される。
今まで下に見ていた魔法使いに、ここまで一方的な爆撃をされるなんて思ってもいなかった人達がほとんどだ。
乱闘によって減っていたHPを削りきられて、脱落していくものが増えていく。
それぞれの軌道は不安定で、軌道を読まれないようになっている。
剣で叩き落そうものなら剣を避けてHPを削っていく。
次々と落とされていき、最後に今まで叩き落さず受けず、避け続けていた一人に全ての《マジックアロー》が向かう。
避け続けていた者は、ステータスはAGI中心で、この中に居たどの奴よりも速いだろう。
避け続ける者は、昔していた弾幕ゲームがリアルだとこんな感じなのかという気持ちを抱くが、気が付くと選手控え室だった。
最後に見たものは目の前に現れた大量の光の弾だった。




