肉じゃが
――――コンコン
家の扉が叩かれる。
「こんにちはなのです」
デンか。
トミー達は大体30分前ぐらいにもっと奥に進んでいった。
《ビッグクラブ》は何かのイベントだったのかなー?とか言ってたが、だたの運営のミスさ。
「開いてるから入って」
扉が開くとデン一人だった。
そしてデンは、一通り家の中を見回して、誰もいないことを確認した。
「ふぅ・・・
お兄ちゃん、チャーハンありがとー」
どうやらロールプレイをしなくてもいいか確認していたようだ。
だったら俺もやめよう。
「やっぱ無理なのか?」
「無理無理!ぜぇーったい無理!!今日だってすれ違う男性の人が怖くて怖くて・・・」
数年ぶりに家族で食事を取りたくても、デンが俺や父親を怖がって一緒に食べれない。
外食なんて論外だ。
「ん」
デンは俺に抱きついてくる。
昔聞いたが、現実じゃ触れ合いたくても怖いという気持ちの方が大きくて出来ないらしい。
そんなこと言われたら抱きつくなともいえない・・・
いつもより甘えてくる。
シスコンじゃないからな!
いや、ちょっとシスコンか・・・?
現実では無理なことをVRでする。
VRが開発された背景にはこれがあった。
一部はFPSを作り、日本では触ることの出来ない銃と触れ合ったり、という事もあるらしい。
中でも病院関係者に貸し出されたVRは、物凄い影響を及ぼしている。
事故で手足が麻痺して、もう動くことは出来ないと言われていた入院患者がVRの世界では自由に動き回ることが出来、なおかつ現実でも少しだが手足が動き出したという例もあった。
あのダイエット成功者だってそうだ。
目に見える結果がVRで見れて、それに向かって頑張ることで徐々に近付いていく理想にまた頑張ろうという気持ちが沸いたらしい。
自衛隊関係にも貸し出されているらしいが、そっちは詳しいことは聞かされていない。
せいぜい、新人隊員のシュミレーションぐらいだろう。
「ねぇ・・・お兄ちゃん?」
「どうした?」
「お兄ちゃんは大丈夫だよね・・・?」
その質問はなんどもされてきた。
答えは変わらない。
「大丈夫だ」
妹には手は出さないさ。
チッ、あいつぶん殴っておけばよかった。
*
「よし。落ち着いた」
珍しく甘えてきたからどうしたのかと思ったが、一時的な気の迷いだったらしい。
「今日の晩御飯なーに?」
「肉じゃが」
「ぇ、ほんと!?」
わーいとか言ってデンは跳ね回る。
実は妹が帰ってきたらいつも妹の好きな肉じゃがにしてるんだが、こいつ気が付いてないのか?
ていうか行動が幼稚すぎないか?高校生には見えないぞ。
*
――――ピンポーン
俺が肉じゃがを作っていると、家のインターホンがなった。
(誰だ?こんな時間に?)
近所の奥さんは、この時間は夕食作り中だろうし。
回覧板とかが回ってくるとは考えにくい。
「はーい」
妹はあのあと、狩りしてくるっていってたから降りてこないだろう。
とりあえず、インターホンのカメラから知ってる人だったため、ロックを解除する。
そして廊下を少し走る音がしてから、台所の扉が開かれる。
「響!この匂いは肉じゃがね!!
ってことは理沙ちゃん帰ってるの!?」
こいつは一体どこから匂いをかぎつけたんだ・・・?
奈津美の家からは数軒離れてるし、匂いが届くとは思いにくいんだが。
そして、その手に持ってる皿はなんだ?食べていくつもりなのか?
奈津美は事件がある前から、自分は一人っ子だからって妹の理沙を自分の妹の様に可愛がってきたからな。
男性恐怖症になってからも奈津美が手助けしてくれたおかげで、人前を歩けるようになるまで回復したし。
「理沙ちゃんは・・・上ね!」
なんで、持ってた皿を俺に渡していく!!
「今日ご飯ここで食べるから!」
奈津美はダッシュで階段を駆け上がっていった。
・・・あいつ家の飯はどうしたんだ。
ちょっとしてから奈津美母からメールで奈津美のことお願いされた。
上から話し声が聞こえてくるし、楽しそうだからまぁいいか。
短いです。
他に書くことを思いつかなかった。




