妖精
「《暴風》!!」
ナツミが弓を構えて矢を番え、《暴風》のスキルを使う。
ナツミが矢を引いて放つと、またその弓には矢が弦を引っ張った状態で自動で出現。
またナツミが矢を放すと、矢が次々に現れてありえない速射が行われていく。
《暴風》は《弓》のスキルの中のスキルで、攻撃力や命中率が落ちる代わりに弾幕を張ることが出来るスキルだ
。
まぁその分、矢の消費速度も速いからコスパの悪いスキルである。
ナツミはやけ食いする他にも、弓の新調と強化や、矢の桁のおかしい買いだめをしたみたいだ。
防具はナツミが自分で作っていて、結構な頻度で変わってるから何も思わないことにしてる。
「あはっは!!
啓ちゃんのあほぉーー!!」
ま、まぁ・・・これで鬱憤が晴れるんなら好きなようにやらしてあげよう・・・
俺はナツミを狙って攻撃してくる《キリングベアー》を《マジックアロー》でノックバックさせ、メイはそのノックバックした熊を大降りの両手斧で吹き飛ばす。
アーロンは、盾オンリーだから近くに寄ってこない限り、役目はないだろうな。
クロエは、ちまちま銃を撃って確実にHPを削ってる。
標準もぶれてないし、結構STR値も振ってるんだろう。
今回は俺は裏方に回ることにするかな。
出番なさそうだし。
*
――――Congratulations
「あースッキリした!!」
そりゃ恨み辛みをあれだけ叫んでたらスッキリするさ。
スキル撃つたびに何か叫んでたもんな。
「いけるようになった・・・」
クロエが出来た道を指を指す。
この前の花火のあとに5組ぐらい《エレルニア》に来たけど、まだまだトッププレイヤーに入るだろうな、この4人。
ほとんど4人で熊のHPを削り切ったぞ。
俺が与えたダメージはたまに熊の攻撃をはじくときにはいったダメージぐらいだ。
「さぁ!行くわよ!!《エレルニア》に!!」
なんか意気込んでるけど、そんなに変わるもんじゃないぞ。
魔法使いにとったら凄く変わるけど、他の職にはあまり意味ない街だし。
*
「《エレルニア》に何かある?」
俺達は《エレルニア》に続く道を雑談しながら歩くついでに俺はなぜそんなに《エレルニア》に行こうと思ってたのか聞いてみる。
「使い魔・・・」
使い魔・・・?なんだそれ?
「成長すれば・・・乗れる・・・」
そんなのβであったか?
俺知らないぞ。
「正式から出来た・・・ランダムの卵で、運がよければグリフォン出る・・・」
乗れそうだな。
「ねーねーベルちゃん!一緒に卵取りに行こっ!!」
卵はクエストか。
そりゃ俺が知らないのは当たり前だな。
クエストあまり興味ないし。
*
「《妖精の木》の一番上にある湧き水を持ってきてください。
そした我が街で取れた《使い魔の卵》を差し上げましょう」
「はい」
クエストの受領のウィンドウが現れて受領完了っと。
ギルドでは書類とかに名前を書く必要があるが、こういったギルド以外で受けることの出来るクエストは話が終わるってどうするか聞かれるから、受けるように言うと受領のウィンドウが現れるのだ。
それにしても《妖精の木》か・・・登るのめんどくさいな。
「さぁ行くわよ!!」
「《妖精の木》は高さが200メートルはある大木・・・
途中には《フェアリー》が敵として現れるけど、弱い・・・」
なんかこのパーティでの頭脳はクロエに決定だな。
*
「ベルちゃんずるぅーい!!」
ナツミが俺を見て叫んでいる。
ずるいって・・・飛んでるだけだろ。
それにそっちの戦闘量が少なくなるように、先回りして《フェアリー》狩ってるし。
「歩くのだるい」
MP自動回復が《浮遊》中でも起こるようになったからほぼMPなしで《浮遊》が使えるし。
使わないと損だ。
《MP自動回復》も使わないと熟練度がたまらないし。
「まぁまぁ、ベルちゃんのおかげで私らが楽できてるんだし」
「み、みぇ・・・」
「んっ・・・」
―――ドンッ
「う、うわぁぁぁぁ」
俺のスカートの中を覗こうとしたアーロンは、クロエの撃ったNB弾で約100メートルから落とされる。
「はぁ・・・」
俺は地面に落ちていくアーロンに向かって全力で《浮遊》でとび、アーロンを掴む。
大体50メートル落ちたところで捕まえた。
《浮遊》にかけるMPを今までの3倍にすることで何とか浮かぶ。
使用量が自動回復量を上回る。
「た、助かった」
流石に100メートルから落ちたら落下ダメージで一発だしな。
でも、
「これ以上無理」
俺のSTR値的に一時的にアーロンを持てても、もう腕がプルプルしてきた。
「そこに降ろしてくれ・・・」
《妖精の木》を指差してアーロンは言う。
まぁ一から登るよりはましか。
「俺のことはいいからあのクロエ以外を抑えてくれ・・・」
ナツミだけじゃなくてメイもか?
「あいつ、たまに暴れるんだよ・・・そしたら手をつけれねぇ」
――――ドーンッ
「!?」
「ほら暴れだした・・・」
木から焦げた《フェアリー》がどんどん落ちてくる。
一体何をしたんだか・・・
「念のために買っておいた火炎瓶使ったな・・・」
おぃおぃ。
あんな雑魚になんてものを。
「メイの奴、虫が嫌いなんだよ・・・」
あっ(察し)
《フェアリー》は一見するとデッカイ蛾だ。
嫌いな人は嫌いだからな。
今まで俺がほぼ狩りつくしていたから大丈夫だったんだろう。
「はぁ・・・止めてくる」
仕方ない。
止めに行くか。
多分、 《フェアリー》を消し去れば元に戻るだろう。
断続的に聞こえてくる爆破音は忘れることにしたい。




