東の森
「杖の強化素材?」
俺はライの言葉にうなずく。
初期装備の何倍も強いといってもたかが知れている。
「《神木の枝》とか《勾玉》とかない?」
あと強化書。
《神木の枝》は強化アイテムで武器その物の物理攻撃力と耐久力を強化するもの。
《勾玉》は武器の魔法攻撃力を強化するものである。
強化書はいわゆるレシピだ。
強化するために使われるレシピで、なくても強化は出来るがステータスの上昇率は少なくなる。
この二つは《東の森》のモンスターから出る素材で、普通にNPCに売っても高い素材だ。
「そういや誰も《東の森》に言ったって言う話聞いてないような・・・」
「ねね!ベルちゃん一緒にいこっ!」
紫は一緒に行こうというが・・・
「前提クエストしてない」
《東の森》は森に入るのにはギルドの許可証が必要な森だ。
その許可証を得るために、《ワイルドベアー》を5体討伐というクエストになる。
《ワイルドベアー》は時間沸きだが、《南の森》のいたるところに出現ポイントがあるから一日で終わらせることが一応出来るクエストだ。
てか、俺正式版からギルド一回も行ってないな。
「この際だし、2人で終わらしてきたら?」
「おぉ、いいわね!行こう!!」
ライの提案に紫が乗って、俺の意思とは無関係に話が進んでいく。
いやまぁ・・・いいんだけどな。
ギルドのクエストはおいしいし。
*
俺達はライの店からでてギルド会館にむかう。
ギルド会館は白い建物で現実だと4階に相当するぐらいの大きさだが中は二階建ての建物だ。
中はよくあるRPGの酒場と一緒ではなく、クエストの受注や、個人ギルドの作成手続きなどの受付があるだけだ。
「いらっしゃいませ。
初めての方ですか?」
カウンターの向こう側にいた女性が話しかけてくる。
NPCだが、しっかりとした口調で人間のようにしか聞こえない。
「はい。
クエストの受注をしにきました」
「こちらが現在受注できるクエストになります」
紫が対応する。
くやしいが、俺にはちょっとカウンターが高い・・・
ちょっとこの受付の人が俺を見る目がなんだが、慈愛に満ちたような目で見てくるのが気になる。
「《ワイルドベアー》討伐5体ね。
この子と私、2人分お願いするわ」
「了解しました。
お名前をこちらにご記入ください。
届くかな?」
受付の人が俺にクエスト受注の紙を見せてくるがちと、書き辛い。
こんどここに踏み台を用意してもらうように言っておかないとな。
俺みたいな低身長アバターの人にはここのギルドの受付は高すぎるし。
椅子もないからよじ登ることも出来ない。
《浮遊》でも使って高さまで浮くか?
「あったあった。
これ使ってね」
踏み台が出てきた。
準備されていたとは・・・
紫は横で笑うな!!
とりあえず紫を睨んでおく。
「おぉ。怖い怖い」
絶対思ってないよこいつ・・・
「はい。
これでクエスト受注しました。
お気をつけください」
受付の人は紫と俺にお辞儀をする。
それを見た後、軽くお礼を言って俺達はギルド会館から出る。
「お姉ちゃんの言うことよく聞くのよー」
受付の人の声は無視だ。無視!
「あはは!!
ベルちゃん私と同い年なのに姉妹だと思われちゃった!!」
紫は楽しそうに笑っているが、俺には笑えない。
慣れているといえば慣れているんだがな・・・
*
「《アイスストライク・フルバースト》ッ!」
大きな熊に向かって紫の呪文詠唱で出来た、長さが50センチはあるだろう氷の塊が飛んでいく。
紫の目の前には一つウィンドウが開かれており、そこに《アイスストライク》の呪文が書かれていたりする。
「《エネルギーボルト》《マジックアロー・フルバースト》ッ!」
俺は《無属性魔法》の《エネルギーボルト》で数増しして、《フルバースト》で威力をあげた《マジックアロー》をそらで唱えて熊の弱点に向かって飛ばす。
――――ズゥゥゥン
熊の巨体が沈む。
今回は死体が残ったから、剥ぎ取りようとして手に入れておいたナイフで切る。
肉が数個と皮が数枚出てきた。
「ほほーこれが剥ぎ取りね。
誰もβでやらなかったのはなぜなのかしら?」
「知らなかっただけだと思う」
それか正式版からの追加かもしれないしな。
というかβでボスって残ったっけなぁ・・・覚えてない。
「さぁ!後4体がんばろうか」
大火力魔法連発で《ワイルドベアー》を動かすことなくはめて30分で終わり・・・作戦的には、俺と紫で交互にノックバックのある魔法連発して絶え間なく撃つ事で、何もさせない状況を作っていた。
2人で組むときの常套戦術だ。
「えーと、あっちのほうだったかな?」
「そう」
次の熊まで移動しないとな。
次にここで沸くのは1時間後だ。
さぁ《東の森》に行くために一頑張りするか。
ノックバックのある魔法で連続攻撃、要するにハメ攻撃です。




