武器新調
「ナツミ、おはよう」
俺はログインしてきたナツミに声をかける。
「ベルちゃんおはよー」
昨日ログアウトする寸前にナツミから狩りのお誘いのメールが来ていたのだ。
どうやらまた熊の素材が欲しいらしい。
作って得られる熟練度も結構おいしいんだと。
「今日はお願いね」
ところで・・・
「そろそろ離して欲しい」
ナツミは俺が見えた途端、抱きついてきたのだ。
「もうちょっと・・・」
はぁ・・・
現実で自慢してたが俺は子供特有の高い体温が感じられて抱きついていて気持ちいいんだってさ。
VRなのに体温を感じるって・・・まぁ本当に感じるんだけどな。
どこまで五感を再現してるのかね・・・この《Magia Online》は。
「よしっ!ベルちゃん成分補給かんりょー」
なんだ、ベルちゃん成分って・・・
怖いから聞かないけど。
*
「《マジックアロー・フルバースト》」
今日は即効で終わらせる。
《フルバースト》の威力底上げとレベルが上がったことでの《マジックアロー》の弾の増加で、《ワイルドベアー》のHPが1割減る。
《エネルギーボルト》を使えば多分数発で終わるが、ナツミの弓のスキルの熟練度あげもあるからな。
「《アローボム》!!」
ナツミが放った矢が、《ワイルドベアー》に当たると爆発し、持続ダメージの状態異常が発生する。
前よりナツミのダメージ量が上がっている。
今は余裕ないからしっかりは見ないが、弓が変わっている気がする。
俺もそろそろ武器変えないとなぁ・・・
未だに初期武器だし。
――――ブゥンッ!!
おっとあぶねっ。
ちょっと装備について考えてたら熊が近くにいたぜ。
*
「今日は《ワイルドベアーの皮》と《フレイラビットの毛皮》で猫耳作るよー」
《フレイラビット》って森で出てくるレアモンスターだし・・・
《フレイラビット》は耳を羽ばたかせて空を飛ぶモンスターでHPや攻撃力は小さいが動きが早く倒しにくいと有名なモンスターだ。
本当に出てこないモンスターで俺も一回しか見たことがない。
そして猫耳か・・・頭装備であったな。
一部の女性限定ギルドが好んで使っていた気がする。
そのギルドに誘われたことがあるが、俺は女性じゃないしやんわりと拒否しておいた。
でも、ちょっと気になることがある。
「猫耳の素材は《フレイラビットの毛皮》じゃなかったはず」
レアモンスターの素材なんて使ってたら相場が高くなってあんなに流行らなかったはず。
「貰ったレシピではそう書いてたよ?」
あれ?
ナツミがウィンドウを俺に見えるように見せてくれたが、確かに素材にある。
うん? 《高級猫耳》・・・これか。
まぁいいか。
俺は自分のことでもするか。
「まぁいい。
私は武器探してくる」
「いってらっしゃーい」
*
なにか杖ないかなぁ・・・
最近はポーションで儲けれる目途がたったから散財しても問題はない。
適当に露天通りとプレイヤーに呼ばれている露天がひしめき合っている通りに向かうとするか。
今一場所が分からないから飛んで探すけどな。
*
「へい、らっしゃい!!」
お、おぅ
元気な人だなぁ。
「お嬢さん何か探しているのかい?」
髪の毛のない体の大きなおっさんが、俺に声をかけてきた。
デンなら話しかけられたら時点で無駄に高スペックな機動力で逃げていることだろう。
「魔法触媒」
「あぁ杖か。
俺は扱ってないな・・・」
だろうな。
おっさんの前にある武器は全部、近距離系の武器ばかりだからな。
「どこか知らない?」
「んーそうだな・・・
あそこに若い兄ちゃんがいるだろ?
あいつが魔法系の装備を作ってたはずだ」
おっさんが指差す方に、大体身長が160cmのアクセサリとして使える眼鏡をかけたかろうじて男といえるような男の娘がいる。
「ありがと」
「おぅっ」
元気のいいおっさんだった。
*
「いらっしゃい!」
声もちょっと高いなこの兄ちゃん。
兄ちゃんっていっても現実の俺と同じくらいだが。
「魔法触媒ある?」
「あるぜ」
そういって杖をいくらか出してきた。
ふむ・・・
どれもまぁまぁランクの高い武器だが、全部未強化か。
「これとこれ」
俺はいくつかの杖を持って一番大きくて持ちやすい杖と小さな杖を選ぶ。
「つ、使えるのかい・・・?」
兄ちゃんは俺が手に持った俺と同じくらいの大きさの杖を見て言ってるんだろう。
「使える」
俺は周りに人がいないことを確認して、杖を振り回す。
「おぉ!!」
俺はその驚く声を聞いて魔法を使い、杖の先を光らせて振り回す。
光は残像を描く。
これは幻想的でβ時代に結構やってくれというリクエストが多かった一発芸だ。
*
「まいどー」
杖二本買ったら所持金の半分がなくなった。
まぁいいけど。
暇だしライの店行くか。
ついでに杖の強化用の素材探してて来よう。
強化してくれる人も探さないとな・・・俺生産系《料理》しかとってないし。
「《浮遊》」
飛んでライの店に向かおう。
「ベルちゃんストォォォップ!!」
――――バァァン!
俺は飛び立とうと空中に浮いた途端、聞き覚えのある声と共に足を掴まれえて地面に墜落した。
(いったぁ・・・)
現実よりは痛みは少ないが少しは感じる。
「昔、いったでしょ!
スカートで空飛ばないの!!」
・・・紫髪のすとんと落ちる体系の女の子が俺の足を掴んでいた。
「ゆかり、止めるならもっと弱く」
「ごめんごめん。
じゃなくて!なんでスカートで空飛ぼうとしてるのかな!君は!!」
この紫髪はプレイヤーネーム《紫》の髪色から装備品まで全部紫で染めた紫好きな女子だ。
リアルの年齢は俺と同じらしい。
俺と同じく魔法使いで、《氷属性魔法》の使い手だ。
よく一緒に魔法理論で論議をしていた相手だ。
「短パン持ってない」
βで使っていた短パンは紫から貰った奴だ。
「だからってスカートのまま飛ばない!!」
「気にしない」
「ベルちゃんは気にしなくても、他の人は気にするの!」
そんなものかな・・・昔は30分は説教されたっけ・・・
「ライちゃんの店行くんでしょ?
私も行くから歩いていきましょ?」
はぁ・・・仕方ないか。
ここで断ったら後がめんどくさいし。
そういや最近近くの女に思考を読まれてる気がするのはなんでだろうか。
なんか話がおかしいけど気にしないでください




