キリングベアー2
「《エネルギーボルト》!!」
魔法の名称が攻撃系なのに、別の魔法であるこの魔法の特徴は、自分の周りにレベルと同じだけのスフィアが生成されることだ。
結構MPを使わないとレベルの数だけ発動してくれない。
この魔法は自分で止めるか、MPがなくなるかしないと消えない特殊な魔法で、βで使っていた人は消し忘れて街の中でも出したままにしていた。
次に
「《マジックアロー・フルバースト》!!」
《マジックアロー》とその魔法に込めれる魔力量をあげることのできる《フルバースト》の呪文が一緒になった《マジックアロー・フルバースト》を唱える。
スフィアには俺のレベル分の《マジックアロー》がそれぞれ生成される。
今はレベル6の状態だから、《エネルギーボルト》で6個のスフィア、《マジックアロー・フルバースト》で威力の上がった《マジックアロー》が6個出来る。これで計36個の《マジックアロー》になってあと自分の周りにも《マジックアロー》をとどめる。
――――ガァァァァ!!
大きな声を上げて集まっていた光が熊の形となる。
「ファイアッ!!」
俺の掛け声とともにそれぞれのスフィアから熊の眉間と胸、足、腕、回り込んで首を攻撃し始める。
何気にこれ疲れるんだよな・・・最終的に42個になった《マジックアロー》を操作してるんだから当たり前っていったら当たり前なんだが。
「《マジックアロー・フルバースト》!!」
俺はもう一度呪文を唱える。
学校でみたβのベルのプレイ動画は着弾する音で呪文が聞こえてなかっただけだ。
唱えないと連続で魔法を使うことが出来ないのだ。
操作をしなければ打ち出して自分の操作から離れれば次の魔法を唱えることが出来るが、今回はクリティカルを狙うから操作は必要だ。
MP的に3回が限界だが、MPはポーションを使えば回復する。出し惜しみはしない。
「もういっちょぉ!
《マジックアロー・フルバースト》!!」
これでとりあえず仕事が終わった後はMPを回復して、デンの援護。
この開幕ぶっぱで熊のHPは5%ほど減っていた。
この開幕ぶっぱを誰かに、《流星群》とか言われたことがある。
やっぱ熊のHP多いな・・・
*
sideデン
お兄ちゃんの《流星群》でHPが5%ぐらい減らされた熊はお兄ちゃんに向かっていくけど、それを許す私じゃない。
ちなみに《流星群》は私がつけた名前。
「せいっ!!」
私はお兄ちゃんが撃ち終ったあとに熊に向かってダッシュ。
βの時は稼ぎ敵にしていた熊だ。
攻撃パターンは見た感じ変わってないっぽい。
熊が走りこんでくる私に巨大な腕を振り下ろしてくるけど、無問題。
腕を自慢のAGI値で避けて、地面を蹴ってジャンプする。
そこに後ろからお兄ちゃんの熊に向かっての援護射撃の《マジックアロー》を蹴ってもう一段上にジャンプ。
「うぇっ!?」
お兄ちゃんの驚く声が聞こえてくるけど、攻撃って大体どこかに物理的に接触する場所があるから、その部分を攻撃判定より前に蹴り上げれば足場にして移動できるんだよ。
剣を持ったモンスター相手に「ふっ遅い」とか言って剣の上に乗って遊んでたからね。
私は熊よりも高く上がった体をひねって熊の方向に向く。
熊はいきなり消えた私を見失ったのか探しているけど、私はあなたの上。
短剣を構えて脳天から斬る。
斬られたことで私が頭の上にいることに気が付いた熊が頭の上に手を出してくるけど、その手に着地してもう一度ジャンプ!
銃で手を撃ちながら小さくない銃の反動で少し上にあがる。
私がいなくなると顔に集中してお兄ちゃんの《マジックアロー》が殺到する。
相変わらず正確な、射撃。
あそこまで《マジックアロー》を極めてる人っているのかな?
極める前に別の魔法に皆移っていくし・・・
私の高度が落ちてくるとまた《マジックアロー》を足場に熊の頭上に上がって頭に蹴りを入れる。
またジャンプして次は熊の後ろに回って首筋を短剣で5回ほど斬り付ける。
スキルを使うと硬直があるから今回は使わない。
「行くよ!」
お兄ちゃんからの合図だ。
熊から落ちる途中で熊の背中を《瞬動》スキルで足場にして一気に離れる。
途中で《爆炎弾》を撃ち込んで少しダメージを貯めさせる。
「ファイアッ!!」
お兄ちゃんの《流星群》だ。
魔法の放つ淡い光がお兄ちゃんの風になびく銀髪を照らす。
それは幻想的でつい見とれて、動きが止まってしまう。
「終わるよっ!」
第3派が終わり、お兄ちゃんの声で正気に戻った私はまた斬りこむ。
次は真正面から行き、熊と対峙する。
やはり大きい。
今度は最初から《爆炎弾》を連続で撃ちながら熊に近付く。
弱点攻撃なんだけどあまり減ってる気がしない。
少し絶望感に打ちひしがれていると熊の腕がすぐそばに迫ってきていた。
(あっやばっ!!)
すぐ近くに腕があることに驚いちゃったけど・・・まぁ大丈夫かな。
だって、
――――ガッ
こんな腕、お兄ちゃんの《マジックアロー》のいい的だし、
なんと言ってもβ時代、《最高の魔法使い》とか《魔法防御(攻撃)》とか《壁不要魔法師》とか異名をつけられてたお兄ちゃんだからね。
これくらいはたやすいよね。
もうここからは同じことのループかな。
*
――――ズドォォォォォォォォン
森に一際、大きな音が響き渡った。
《キリングベアー》が地に伏した音だ。
(やっと終わった・・・)
戦闘時間1時間・・・まだ短いほうか。
俺達の前にボス討伐のウィンドウが現れ、取得経験値、入手アイテム、入手リム、初回討伐アイテムが表示される。
取得経験値は俺達のレベルが1上がるほど入った。さすが二人。効率が違いますな。
入手アイテムは、
《キリングベアーの皮》
《キリングベアーの肉》×2
《キリングベアーの指輪》 STR+3 耐久値120/120
《魔石》×2
《上級結晶》
指輪だけ装備品だ。
リムは・・・うん?3万も入ったな。これはパーティで平等に配られるからデンも同じだろう。
初回討伐アイテム、これはこのモンスターを初めに倒した人に送られるアイテムだ。
《キリングベアーのフック》 A+35 STR+3 耐久値200/200
武器だな。今さっき戦った《キリングベアー》の腕の先についていた爪の形をした刃渡り30センチぐらいの短剣だ。
「おつかれー」
デンが声をかけてくるデンは少しHPが減っているがまだまだ安全ゾーンの青色だ。
「おつかれ
《キリングベアーの指輪》いる?」
たしかこの指輪はデンがβで初期でつけていた指輪だったはず。
このゲームは指輪は全ての指につけれて計10個装備できる。
「いる!」
俺はアイテム化した指輪をデンに投げ渡す。
「《キリングベアーのフック》って出た」
「あぁ、それなら私も出たから別にいらないよ。
売っちゃえ」
あぁそう。
というか・・・
「素だけど?」
「別に誰もいないしいいかなーってね」
なら俺も素で話そう。
「じゃぁ《エレルニア》行くか」
俺は《キリングベアー》が倒されて現れた先に続く道を進む。
「あっちょっと待って!!」
デンはなぜか光にならずにその場に残っている《キリングベアー》を触る。
「えいっ!」
デンが短剣で熊の死体を斬り付けると、いくらかの皮と肉のアイテムが出てきた。
「あっやっぱり追加で出るんだ」
なに!?
「小説読んでたらね。
剥ぎ取りで素材が多く出るとかいう話見たから試してみたら出たの」
デンが綺麗な熊の死体をその体が完全になくなるまで斬り続けると、目の前には報酬として手に入れた皮や肉が十数個ある。
「ふっふっふ!
お兄ちゃん半分持って行っていいよ!
笑いがとまらなーい」
あははは、とか言ってるけど・・・それバグじゃないのか?
「それはないと思うよ。
死体が残るのは確立らしいけど、ボス級は確実みたい。
お母さんにこういうの出来たらバグになるの?って聞いたら教えてくれたから!」
あっそう。
というか聞いてからやったんだな・・・
なら貰うか。
「そうそう。
《エレルニア》で買う予定のMPポーションのためにいくらか経費がいるし持っておいたほうがいいよ」
*
「おぉー懐かしい」
俺は木と木の間に橋や家を建てているエルフの街 《エレルニア》の風景を見て懐かしむ。
「そういえばお兄ちゃん。ここを一時期ホームにしてたんだっけ?」
「まぁね。
ここだとHP減らないから《浮遊》の練習場所にもなったし」
一番下の地面から木の天辺まで200メートルはあると聞いたことがある。
昔はその200メートルのところから下を見ると怖かったが今じゃ余裕で飛び降りれるまでになっている。
「それ現実でしないでね・・・」
さすがにそんな事はしません。
この話の中でレアスキル的な意味のチートはナツミで、
プレイヤースキル的な意味のチートはデン、
記憶と魔法系のチートはベルの予定です。
まだ登場キャラが増える可能性もありますが、その場で増やしたりしているので登場キャラのまとめとかは作る気ありません。




