キリングベアー1
「響!見てみて!」
俺はまた学校で弁当をつついていると、奈津美と福富さんがやってきた。
今日は福富さん休みじゃないんだな。
「どうしたんだ?」
「あのベルちゃんと私のスクリーンショットよ!!」
そういって携帯にでかでかと表示されているベルとナツミのSSを見せてくる。
背景はライの店だし・・・いつ撮ったんだ?
「いいなーいいなー。私も一緒に撮りたい!!」
「美香はこの時、森でレベル上げしてたんでしょ?
私はベルちゃんと《ワイルドベアー》狩ったもん」
「うぅー」
福富さんが可愛く頬を膨らませながら奈津美を見つめている。
「で、俺にこれを見せてどうしたんだ?」
「ただの自慢だよー」
ニヤニヤ笑いながら言うなよ。福富さんがもっと頬を膨らませたぞ。
「私も会えるかなー」
「美香、ライちゃんのお店って知ってる?」
「あのちっちゃい茶髪の子のお店のこと?」
「そうそう。
あそこにベルちゃん現れるわよ。
ライちゃんと親しげだったし」
βからの俺の出没ポイントだからな。
βでも変態紳士が張ってたときもあるし、でも接触はされなかったから無視しておいた。
――――ブブブ
この音は俺の携帯のバイブレーションの音だ。
メールだろう。
俺はメールの差出人を見て珍しいなと思いながらメールを読む。
【from: 妹
タイトル:今日
本文: 私も熊倒す!!
手伝って!!】
・・・お前ソロで倒せるだろ。
【to:妹
タイトル: RE:今日
本文: ソロで倒せるだろ】
一分もしないうちに返信が返ってきた。
【from:妹
タイトル:RE:RE:今日
本文: 一人だと時間かかってめんどくさい
後ろで固定砲台でいいから!!】
はぁ・・・仕方ないか。
俺は了解とメールを送る。
「誰々?もしかして彼女!?」
おい、奈津美お前俺がもてないことぐらい知ってるだろ。
「妹だよ妹」
MPポーション買っておかないとなぁ・・・
*
「さぁ行くのです!!」
待ち合わせに遅れてきたデン・・・ぶっちゃけると俺の妹は腰に手を当てて、森の方向に向かって指をさす。
元気だなぁ・・・
ついでに言っておくとデンが指差す方向には《ワイルドベアー》の方向ではなくて森のボスの方向だったりする。
「もしかして《キリングベアー》・・・?」
《キリングベアー》は《南の森》のボスで、こいつを倒すと次の街にいくことが出来るようになる。
だが《ヘネシリウム》のほうが広く充実しているため、そこをホームタウンとして死に戻りの場所としているのも少なくない。
確か《キリングベアー》を倒したら第二の街 《エレルニア》だったかな。
《エルフ》のNPCが住む街で魔法使いの街である。
MPポーションがNPCから安く売られていたり、高品質の魔法系の触媒や武器が手に入る魔法使いの街だ。
俺も《プレイヤーホーム》を買うまではこの《エレルニア》をホームタウンとしてた。
「そうなのです!
廃人より先にいく一般プレイヤーって面白くないですか?
それにどうやらNPCの1日のポーション供給量は決まっているようなのです」
それ俺達を一般プレイヤーって言ってるようだが、多分俺達廃人に分類されると思うぞ。
ポーションねぇ・・・買うのには困ってないんだが、限界ってあるのか?
「《ヘネシリウム》には数十件とNPCのポーション屋があるのですが、一つ一つの店で一日で売れる限界値があるみたいなのです。
一部ではポーションを占有しようとパーティで店を囲み、他の客をシャットアウトしている場所があるみたいなのです」
マナー悪い奴らだな。
「今はまだ食らうダメージが小さいのでポーション不足は最小限なのですが、いずれこの問題は大きくなると思うのです」
だから次の街に行こうということか。
「なのです」
《エレルニア》はMPポーションが《ヘネシリウム》より3割ほど安い。
ならば、その《エレルニア》からMPポーションを買って《ヘネシリウム》で適正価格で売れば・・・
「大儲けなのです!」
あぁ、面白そうじゃん。
でもなぁ・・・《キリングベアー》って序盤のはずなのに攻撃力と機動力がおかしいボスなんだよなぁ・・・
*
「ここか」
俺達は森の敵をなぎ倒しながら森にある大きく開かれた場所に出る。
昨日の《ワイルドベアー》とここまでの敵のなぎ倒しで《無属性魔法》の熟練度が100を越えたため使えるようになった《浮遊》を俺は懐かしく思いながら見る。
昔は時間がかかったが3日で100までいけるとは思わなかった。
「もう一本短剣を持ってきておいてよかったのです。
耐久値が・・・」
デンは新たに同じ短剣を取り出して軽く素振りしている。
「作戦は・・・」
俺はめったに使わないが初期から使える強力な魔法 《エネルギーボルト》を使って《マジッククアロー》で奇襲して、《キリングベアー》(後、熊)を連続ノックバックで攻撃させなくする。
そこにデンの銃で通常弾の2倍の値段の《爆炎弾》で熊を攻撃。
森のモンスターは火属性が弱点だから、結構効くだろう。
熊が攻撃で硬直しているところにデンは短剣で弱点を攻撃、俺も後ろから《マジックアロー》で援護射撃。
前衛としてデンが熊の前で攻撃を避けながら攻撃を加えていく。
デンには俺が《加速》をかけておく。《加速》はパーティーメンバーにもかけることの出来るスキルだ。
避け切れなさそうな攻撃はデンのβからの持ち越しである銃に通常弾の2倍もする値段の《NB弾》で攻撃して反らすか、俺が魔法をぶち込む。
俺のMPが回復次第、デンに下がらせてもう一度熊に《マジックアロー》で攻撃する。
ノックバックで怯んだ所をまたデンが切りかかる。
後はこれをループでいけるはずだ。
「OK。
じゃぁ行くよー」
デンは駆け出す準備をして俺は魔法の準備をする。
このボス戦の開始の合図はボスのフィールドに踏み入れると広場の中心に光が集まり、《ワイルドベアー》とほぼ同じ大きさの《キリングベアー》が現れると始まる。
俺達は準備が終わると、ボスフィールドに進入をする。
《エネルギーボルト》:レベルと同じだけのスフィアを作り出し、スフィアから魔法使用者と同じ魔法が出る。
ただしMPは魔法使用者のものを使われ、使用MPは増える。




