正式運用1ヶ月前
「《Magia Online》のβテストがそろそろ終わって、正式運用が来月からなんだって!
一緒にやろうよ美香!」
「えー絶対買えないよー」
俺は近くで会話をしている女子高生の話を聞きながら、母親が作ってくれたお弁当を一人でつつく。
女子高生が話している《Magia Online》は《VRギア》と呼ばれるヘッドギアをかぶることでVR空間に入ることができるというゲームで、物凄く自由度が高いという話だ。
限定発売だからまず手に入れるのが一苦労だろう。
「ふふーん。
大丈夫《Magia Online》を手に入れる手段はしっかりとあるから!」
近くで話していた女子高生の一人が俺の元にやってきて、肩に手を置いてきた。
「ねっ!
響っ!」
俺の肩をバンバンと叩きながら俺を呼んだのは俺の幼馴染の草津奈津美。幼稚園からの腐れ縁だ。
「はぁ?」
「響のお母さんって確か《Magia Online》の製作会社の社員でしょ?
ほらっ社員特典とかで買えないの?」
あぁ・・・そういうことか。
「社員特典じゃなくても、株主優待で安く買えるぞ」
なんとなく俺はお年玉とかで《アルケミー》の株を買ってみたりしていたからな。
そのときはまさか母親の勤め先だとは思ってなかったけど、父親に同意文書を書いてもらってなんとなく買ってみた株が《アルケミー》だったんだが。
5万ぐらいの投資だったんだが、今株を売れば軽く100万は行く程度にはなっている。
実際はお年玉と株主配当が入るたびに少しずつあがっていく《アルケミー》の株に期待してつぎ込んでいったから1000万ぐらいじゃないかね?正確には忘れたが。
「じゃぁ!」
「あぁ買えるが2つまでだな」
まぁ俺はもう持ってるから二人の分だな。
「桑原君本当にいいの?」
「あぁ、別にかまわない」
ここで俺の名前が出たから自己紹介しておくと、俺は桑原 響。
学業、運動ともに平凡。身長170センチぐらいのちょっと女顔の男子高校生だ。
桑原ではない桑原だ。
ついでだから話しかけてきていた女子高生を紹介しておこう。
まずは先に出てきた俺の幼馴染の草津 奈津美。
身長は俺と大体同じ、学業平凡、運動優秀な女子高生。
スレンダーな体系、でも学内ミスコンで3位の容姿を誇る俺の自慢の幼馴染だ。
まぁ、彼氏持ち。
彼氏は俺じゃなくて別の奴な。
俺じゃ長く一緒に居すぎて異性という感覚が鈍くてカップルにはなれない。
もう一人は 福富 美香
身長は158センチ、学業優秀、運動優秀、だがちょっと天然。
こっちは大きすぎず小さすぎずの胸に引き締まった腰、きれいなラインのお尻。
堂々たる学内ミスコン1位の実力者だ。
こちらは彼氏なし。告白はされるらしいが断っているらしい。
「じゃぁ買うぞ」
俺はメールで送られてきていた株主優待のURLから《Magia Online》を二つ購入する。
正式発売はまだだが、株主には先行発売されているから買える。
「へぇ・・・あっこのサイトでβテストの上位が見れるじゃん!」
横から覗き込んできていた奈津美が俺の携帯を引ったくり、サイトに書かれていたβテストのランキングを見る。
まぁいいんだけどな、携帯に見られて困るようなものは入れてないし。
というかまず奈津美は俺の趣味、嗜好を知っている奴だから見られても困らない。
付き合いが長いと色々あったんだよ色々と。
「へぇ・・・このベルっていうプレイヤーとデンっていうプレイヤーがダントツだねー」
俺もランキングを覗くと3位以下を2倍以上突き放している。
「こっちはそのプレイヤーのプレイ動画じゃない?」
福富さんがランキングの横にあった動画ボタンを見つける。
「ほほー
ポチッとな」
奈津美は一位のベルというプレイヤーの動画を再生する。
小さな携帯の画面にはローブを着て魔法使いっぽい格好をした小学生高学年か中学生1年生ぐらいの腰まである銀髪の女の子が身の丈ほどある杖を持って体の3倍以上の大きさの両手に剣を持ったモンスターと戦っている映像が映し出される。
*
「《マジックアロー》!!」
少女・・・ベルが呪文を唱えた後、彼女の周りには無数の光の弾が出来、数個ずつ不規則な軌道を描きながらモンスターに接近をする。
全ての光の弾は、剣を盾として利用して攻撃を防御しようとしたモンスターの剣をかわし、モンスターに着弾する。
それぞれの光の弾はしっかりとモンスターのHPを削っていく。
モンスターは防御することを諦めたのか、両手に剣を持ち、高速でベルに突進し、剣を振り回すがベルはひらりひらりと全ての剣筋を読み、よけていく。
完全に魔法使いであろうベルは、どうみても防御にステータスを振っているとは思えないため、一発でも当たるとHPは大きく削られるだろう。
「はぁ!!」
剣をよけた先でベルは杖に強化魔法でもかけたのだろうか、光り輝く杖でモンスターの首筋を殴りつける。
モンスターには弱点が設定されており、人型のモンスターは人間で言う心臓と首が弱点になっている。
ベルの杖でモンスターがひるむと、ベルは魔法の詠唱を始める。
「《マジックアロー・フルバースト》っ!!」
光の弾が出現するのは先ほどの同じだが、今度は数個ずつではなく一斉にモンスターに向かっていく。
打ち出しては次の光の弾が出来ていき次々と打ち出される。
光の弾が打ち出されるたびに、モンスターのHPはどんどん減っていき、最終的にはモンスターは光の粉となって消えていった。
*
「わぁぁ
すごい凄い!!
これが私たちにも出来るの!?」
福富さんが俺に聞いてくる。
「出来るんじゃねぇの」
俺と奈津美はいつの間にか奈津美の手から取ったのかしらないが、俺の携帯を持って何度もベルのプレイ動画を見て、目を輝かせている福富さんを微笑ましく休み時間が終わるまで眺め続けるのであった。
こんな駄文を読んでくださりありがとうございます。
実は1ヶ月ぐらい前から魔法の名称と種類、主人公の容姿とそのほか数人の登場人物の容姿と性格を少しずつ決めていたのですが結局「行き当たりばったりでいいや」という風になりました。
完全に私の好きなジャンルを入れていくためgdgdで読みにくい文章になると思いますが、どうぞよろしくお願いします。