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その瞳の色  作者: 梅花
8/29

成長3


****


・・・クロスは生まれて初めて落ち着き幸せな日々を送っていた・・・


クロスは休日以外は毎日学校に通い放課後はアンディー・ルー・セーラ・ジェイと共に過ごし、共に成長していった・・・


クロスは初めてセーラに会った時彼女だけが自分に近い存在で彼女だけには自身の容姿についての悩みを打ち明ける事が出来ると思っていた。

初めて彼女と2人だけになった時クロスは思い切って悩みを打ち明けた。


僕は家族の誰とも似ていない気がする・・・兄さんと父さんはまったく同じ髪の色、瞳の色なのに僕は兄さんみたいに綺麗な髪の色でもないし、目の色は緑色・・・悲しいぐらい母さんにも似ていないし、もしかしたら僕は貰われっ子なのかも知れないと・・・・

するとセーラはそんなクロスの一大決心の告白を笑って一蹴した。


家族に似ていないからって何故そんなに悩むの?

神父様とリスは貴方が思うほど似ちゃいないわ!

神父様の瞳は群青って感じだけどリスの瞳は良く晴れた青空の様だわ・・・セーラは晴れた空を眩しげに見上げると笑ってクロスを見た。


それに貴方の瞳の色だけどまだ会った事の無い御爺様にそっくりなんでしょ?前にリスが言ってたわ・・・貴方の・・・貴方の瞳の色がとっても美しいって・・・


それを聞いたクロスはその言葉にとっても感動してセーラのライラックの様な瞳もとても美しいよと褒め頬をピンク色に染めたセーラの愛らしい顔を見てそしてその優しさに惹かれたのだった・・・


クロスはアンディーやルーと遊ぶときは秘密の隠れ家を作ったり、筏を作って村の中心を流れる川を下ったり時には裏山でキャンプしたりと楽しんだ・・・



しかし、ジェイは・・・ジェイだけはクロスにとってとても特別な存在だった・・・



ジェイにはリスターにすら打ち明けられない事も打ち明け2人は本当の親友になるべくお互いをとても大切な存在として他の3人とは別の友情を育んでいった・・・


幾度と無くクロスは自分がセーラに恋をしているのではと真剣にジェイに打ち明けた。

しかしジェイの答えはいつも決まっていた。


クロスのセーラに対する思いはただ他の女の子達よりも身近に感じているだけでそれは恋ではないと・・・本当の恋をしたらきっとその違いがわかるはずと・・・


そう言われると決まってクロスは恥ずかし紛れにジェイは本当の恋をしたことがあるのかと何度も問い詰めたがいつもはぐらかされ俺が恋をしていそうな相手がいると思うか?とかわされてしまって歯がゆい思いと好奇心をそそられた。



2回目の春が過ぎいつもと同じメンバーで過ごし、村には大きな変化も無く穏やかに時は過ぎて行った・・・


兄リスターは12歳になった。

この時からであろうか、リスターは放課後家に帰ってくると父の書斎に一緒に篭り夕食後には父について家を空ける様になった・・・


クロスは自身が仲間外れにされているように感じいつも自分も連れて行って欲しいと懇願したがまだ小さいから無理だと冷たく突き放され2人が出掛けていく前から不機嫌顔でリビングやキッチンをウロウロしサニーになだめられるという日を過ごしていた。


クロスには良く解らないがリスターの話を聞く限り特殊な剣術を学んだり学校では教えてもらえないような勉強をカージスとしているらしかった・・・



そんな日々が続きクロスはあまり置いていかれる事を気に止め無くなって行った。


クロスにとってはいつか自分も入れて貰えるはずという確信も持っていたし、ジェイの家に泊まりに行ったりする事の方が楽しかったからだった・・・・



それからも幾度と無く季節はめぐりまた春が来て少年達は日々日々大人になって行った・・・・




トゥリーとジーンは1年に1、2回は村を訪ねてきてクロス一家にたまの来客としてもてなしを受け暫く滞在をしていった。2人はまだ見ぬ都の様子を話して聞かせたりクロスとリスターに剣の稽古をつけたり体技を教えてくれた。


クロスにとって彼らはとても特別な存在で中々会えなかったが本当の家族のような存在だった・・・。


更に時が過ぎもうすぐクロス自身もの12回目の誕生日を迎える頃17歳になった兄リスターがあまり家族の前に姿を現さなくなりいつも自分の部屋に篭って過ごすようになった・・・


相変わらず父との夜間の外出もあったが昔ほど頻繁ではなく月に1,2回という程度だった・・・



クロスは兄にあまりかまってもらえない事が寂しく幾度と無く兄の部屋をノックしたがリスターからは冷たく今は忙しいから後にするようにと突き放されてしまった・・・


両親はそんなリスターの様子を心配している様子は無くクロスにリスターのジャマをしないようにと言う事が度々であった・・・。


クロスは誕生日を待ちきれない様子で過ごしていた、今まで仲間に入れてもらえなかった父と兄の授業に自分も入れてもらえるはずだからだ。


最近急に伸びてきた身長はクラスの仲間の中でも比較的高いほうで授業の内容はリスとジェイのお陰もあっていつもトップクラスであった。


しかしただ悲しい事にセーラも大人になり自分達とはもうあまり一緒に過ごす事はなくなっていた。



そしてクロスも気付いてしまったのだ・・・どうやらセーラの美しい瞳によく映っているのは自分ではなく兄リスターであるという事を・・・


この事実に気付いたとき真っ先にジェイに報告したがジェイには今更気付いたの?遅すぎ!と笑われてしまった・・・


しかし不思議な事に胸はそれほど痛まなかった・・・相手がクロス自身何よりもカッコいいと尊敬している兄であったからである・・・


セーラに何気なくそれを仄めかした時セーラは今まで自分に見せたことの無い輝く笑顔で恥ずかしそうに頬を赤く染めリスターには内緒よとクロスに胸の内を語ってくれたのだ。



クロスはなーんだとあっけらかんと思い意外とセーラの気持ちを聞いたけどそこまで悲しく思わなかった事をジェイに打ち明けるた・・・ジェイは笑ってだから恋じゃないって言っただろと優しく肩をたたききっと君の心を奪って離さない様なそんな子がいるさと慰めてくれた。



そして遂に待ちに待った12歳の誕生日の朝を迎えた・・・



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