成長(仮)1
~登場人物紹介~
クロス:主人公です。この章では5歳~
瞳の色は緑(イメージでは新緑のような柔らかい)髪はストレート 南の島の砂浜のような色。茶系統の金髪。
性格は明るく馴れっこい。善悪の区別をつけたがり嫌な事は嫌とは っきり言う。好奇心旺盛。
口癖 :何で?
好きな物:家族。特に兄。ブラコン。猫。動物がとても好き。
特技 :足が早い。よく食べる。よく寝る。
・・・クロスは楽しげな声で目覚めた。
ハッとして窓の外を見るあれから自分は良く眠ったようで太陽は昼に差し掛かっている事を教えてくれた。
クロスは飛び上がると室内履きを履き急いで階段を下りていった・・・
「何で起してくれないの!?」クロスは階段の中ほどでキッチンに居る母に向かって大声で尋ねた。
・・・「あら、クロスお早う?もうすぐお昼だけど…よく眠れた?リスが起しに行ったんだけどあまりにも良く眠っていたし、昨日疲れただろうから起さなかったのよ・・・。」
サニーは微笑み階段を駆け下りてくるクロスに向かっていった。
「顔を洗ってらっしゃい、2人は逃げたりしないから。」サニーは寝癖の付いたクロスの髪をそっとなで微笑むとバスルームの方に向かって背中を押した。
「2人は?皆は何処??」クロスは背中を押されながら振り返りみんなの姿が見えないので心配そうに尋ねた。
「お父様は教会でリスはお昼ご飯を食べに帰ってきて2人と今外にいるわ」サニーは微笑み窓の外を見て3人の姿が見えないか探した。
母の視線の先を追って外を見たがみんなの姿が見栄なのでクロスは諦めて顔を洗って身支度をしようと走って行った。
家の前の庭ではリスターが2人に剣の稽古をつけてもらっていた。
「ヤァーーーー!」
「そんなんじゃ全然駄目!小枝でぶたれている様なもんだ」ジーンは半ばからかう様にリスターの木で出来た剣を払った。
「クソー!」
カンカンカン!!リスターは半ば自棄の様に連続して刀を繰り出すがジーンは面白そうに全てをかわす。
「ジーン!真剣にやってよ!こっちは本気なんだから!!!」リスターは顔を赤く染めて棒をジーンに真っ直ぐ向ける。
「おいおい・・・冗談言うなよ、大人が子供相手に本気になれるわけなしだろ?」ジーンは明らかにからかいながら短い髪を撫でる。
「・・・!だからジーンとはイヤだって言ってるのに!トゥリー!ジーンはオレの事絶対馬鹿にしている!!!」リスターは家の前のベンチにゆったりと座り微笑んでいるトゥリーに訴えた。
「ジーン…リスターをからかうな・・・本人は本気なんだから・・・。」トゥリーは子供を叱るような表情をしてジーンを見る。
「だってあんまりにも本気になって面白いから」ジーンはますます面白がってリスターの頭を撫でて挑発する。
その瞬間リスターの瞳が細くなり一瞬の隙を突いてジーンの棒を下から払い落とした。
「おっ!」ジーンは棒を叩き落され手を擦りながら感心したようにリスターを見た。
「おお!リスター一本・・・だな。」トゥリーはニヤリとジーンを見る。
「やった!本気になればこんなもんだよ!」リスターは得意げにジーンを見る。
「そうだな、リースターはまだ10歳・・・将来のためにももっともっと剣の腕を磨かなければ」トゥリーは微笑を浮かべている。
リスターも嬉しそうにトゥリーを見てオレ頑張るよ!と意気込みを語った。
「兄さーん!みんなー!!」クロスが身支度を終え嬉しそうに兄に向かって駆けてくる。
「クロス!やっと起きたか、全く相変わらず良く寝るなぁ。」リスターは言葉とは裏腹に嬉しそうに駆け寄ってくるクロスを抱きとめるように捕まえた。
「お早う、クロス。昨日は良く眠れたかい?」
「はい。昨日はお世話になりました。」深々と頭を下げるクロス。
そんなクロスの頭をもう少し下げろと言ってリスターは手で押さえてリスターも一緒に頭を下げる。
「ハハハッもういいよきにスンナ!」ジーンは豪快に言って短い頭をかく。どうやら照れているらしい…。
「クロスおいで。」まるで犬を呼ぶようにトゥリーは手招きする。
クロスは首をかしげながらトゥリーの傍に行きベンチに座るトゥリーをじっと見つめる。
トゥリーはクロスの前髪を掻き分けその瞳を覗きこむ。
「綺麗な色だね、新緑の様だ・・・髪の色は・・・ちょっと褪せた金髪だね。」トゥリーは分析官の様にクロスの容姿をジッと観察する。
「僕は兄さんみたいな髪と眼の色が良かった・・・。」ちょっとふてくされトゥリーから視線を離すと地面をにらめつけるように見てる。
「どうして?私はとても綺麗だと思うよ。」トゥリーはクロスの膨らましたほっぺたを包み込むようにして顔を近づけた。
「だって父さんに全然似てない!」クロスは訴えるようにトゥリーの兄と同じ綺麗なブルーの瞳を見返し寂しそうに顔をゆがめた・・・。
「知らなかったのかい?君の容姿は色こそ違うけどお兄ちゃんにそっくりだ!それにその瞳の色は御祖父様と同じだよ。」トゥリーはクロスの鼻をつんつん押しながら嬉しそうにクロスの目を覗き込んだ。
「ホント!?」嬉しそうに目を見開きリスターを振り返り嬉しそうに目をキラキラさせる。
「ああ・・・お前の目の色は御爺様譲りだって父さんが言ってた。」リスターはあまり話したくなかったのかさらっと言うとクロスから目を離しジーンと剣の稽古を再開した・・・
「トゥリーありがとう。とっても嬉しい。やっぱりトゥリーは神様のお使いだね。」クロスは嬉しそうに目をキラキラさせながら若干崇拝の目でトゥリーを見上げる」
う~んと困ったような顔をしてクロスを見ると信じて疑わないような顔をしているのでまあいっかと言う様に肩をすくめてクロスの頭をぽんぽんと撫でた。
「みんな~お昼よ~」サニーが玄関から姿を現し皆に向かって叫んだ。
「クロス~お父様を呼んできてー教会にいらっしゃる筈だから~!」サニーはクロスにそう叫ぶとまた家の中に引き返していった。
「はーい!!」返事をすると皆に行ってきますと手を振ってクロスは走っていった。
「ちびっ子いくせに足は速いな」ジーンが感心したように後姿を見ながら言った。
「トゥリー・・・クロスの容姿についての話は控えて欲しい。あいつ気にしてんだ、その内魔法でも使って自分の顔を変えそうで怖いよ。」リスターは言いにくそうに話し出したが最後は笑って付け加えた。
「そうか・・・すまなかったな、あまりにも瞳の色が貴色で美しく思ったから・・・。それはそうとこの村には馴染んだかい?」トゥリーはすまなそうにリスターに顔を向けて謝ると立ち上がり気持ちよさそうに伸びをしながら周りを見渡した。
「慣れたよ、友達も出来たし学校も楽しい。それに此処は都から離れていてとても穏やかだ、クロスも此処ならのびのび生活できます。」リスターはトゥリーの隣に並んで一緒に立つと嬉しそうに少し高台に建つ家から村を見た。
「さあ、母さんが待ってます。お昼にしましょう。父とクロスもその内来ます。」
そうだなと言ってジーンが先にキッチンへと向かって行った・・・。
父を呼びに教会に来たクロスは教会の隣の建物の中からぞろぞろと出てくる自分と同世代の子供達の姿を見つけ思わず物陰に隠れた。
「昼ご飯食ったらいつものとこで待ち合わせな!」
「うん!必要なもの持って行くよ!!」
「じゃあまた後でな!」
「また後でね!」
みんな楽しそうに話しながら隠れるクロスの前を通り過ぎて行った。
一人の女の子が通り過ぎるとき後ろの子に話しかけようと振り返った時に見えたその瞳の色に驚いた。
その瞳はラベンダーのような優しげな紫の瞳をしていたのである。
クロスの知る限り兄達のような瞳の色は稀で一般的には母サニーの様な茶系統が多いこの村で紫色の瞳を見たのは初めてであった。
クロスは楽しげな一行が通り過ぎる後姿を見送ると誰にも見つからない様に教会横の校舎で教鞭を振るう父の元へ走っていった。
カージスは簡単に見つかり随分と遅れて校舎から出てきた。父さん!と呼びかけると笑顔で振り向きおう!迎えに来てくれたかと嬉しそうにクロスを抱きとめると家路の方に向かって一緒に歩き出した。
「父さんさっき僕と同い年ぐらいの子達が学校から出てきたけど…。」クロスはカージスの歩調に合わせるため少し小走りで話しかけた。
「ああ、クロスと同じか前後1.2歳の子達のクラスだよ。来週からクロスもあのクラスに入って一緒に学ぶんだ。カージスは小走りになっているクロスに気が付き歩調を弱めるとよいしょっとクロスを抱き上げ視線の高さを合わせた。
「そうなんだ・・・その中に不思議な色をした目の子がいたよ、あの子は?」クロスは父の肩に手をかけバランスを取りながら不思議な紫の女のこの事を早速父に尋ねた。
「ああ・・・セーラの事か、あの子のお婆さんが人魚の出だから…人魚族には紫の瞳の家系が多いんだ、クロス・・・この村は都から離れていてあまり他国の人が居ないから目立つが都に行けば色んな瞳や色んな髪の色をした人が沢山居るぞ、だからけして珍しいわけじゃないんだ。」カージスは教師の様に息子に教え、諭した。
「そうなんだぁ~いつか行ってみたいなぁ都・・・きっと大きくてたっくさんの人が居るんだろうなぁ。」クロスは夢見がちに言うとカージスにお願ぁいと言わんばかりに可愛い顔を向けた。
「もっと大きくなったらな。」カージスはクロスの頭を撫でてそれ!っと家に向かって走り出した。
クロス…5歳。甘えまくってます。家族みんな甘いです。