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その瞳の色  作者: 梅花
17/29

17話

ごめんなさい、サブタイトルがぴったり来るのが思い浮かばないのでとりあえずシリアル№で…


 年若き紳士から報告を受けたものは自身の任務を全うした。配下のものたちを南方の山奥の村々へと放ったのだ……


 其の者達は黒き馬に乗り自身も黒い鎧に身を包み太陽の昇る時間ではなく深夜…闇夜の支配する時を選んで隠密に行動した…


 その様な者達から何も知らない者達はどうしてその姿を隠せるだろう?追っ手達はジワリジワリと確実に獲物に近づいていった…。



*****



 サレットは自身の恋心を半ば諦め親の進める縁談の相手と久しぶりに再会するために侯爵家の開催する夜会に参加していた。もちろんエスコート役は辺境伯の長子ジェームズであった…


 2人の結婚は両家にとって望まれたものであった…サレットの家族は娘に念願の爵位を与える事が出来、辺境伯には王国で10の指に数えられる豪商からの支援を手に入れることが出来る…サレットもそれをわかっており今までジェームズを追いかけていたのである。



「サレットお久しぶりですね、少し見ない間に随分と大人の女性になられましたね…」ジェームスに手を引かれサレットは力なく微笑む…


 以前のサレットとは別人の様に奥ゆかしいな…所詮商人の娘上流階級のような優雅さも奥ゆかしさも無いものと思っていたが暫く会わない間にどこぞで教育でも施されたのであろうか…?


「おひさしゅう御座います…ジェームス様も相変わらず凛々しくていらっしゃいますね…」サレットは自分の運命を受け入れようとジェームスに向かって優しく微笑んだ…


 そうよ…どんなに思ったってリスとの結婚が許されるはずも無い…私はお父様の為にもこの方に好かれなくては…



 2人は連れ添って会場の中席を見つけ互いを知る為に会話をしていた…ジェームスが飲み物を取りに席を立った時一人の紳士がサレットに声をかけた。


「失礼、紹介も無く話しかけてしまって申し訳ありません。シェイラーズ商家のお嬢様でいらっしゃいますか?」


 黒い軍服に身を包み将軍を意味する綬を肩から掛け威厳を身に纏った若さの盛りを少し過ぎたであろう30台後半の紳士が優しく微笑んでいた。


 サレットは相手が身分の在る人だと気付き慌てて立ち上げるとスカートを摘み膝を折って挨拶した。


「は、はい。サレット・シェイラーズと申します。」


「失礼、名乗るのが遅くなりました、ヴェルト・マグダリンと申します。」ヴェルトは年下のサレット相手にも優しく微笑み礼をとった…


「突然話しかけてしまって申し訳ありませんさぞや驚かせてしまってでしょうか?」


「とんでも御座いません、初めてお目にかかりましたものでその……」サレットは相手の身分が分り身の置き場の無さそうにしている…。


「ああ…ドラゴン族を目にするのは初めてでしたか?」ヴェルトはサレットの困惑の訳を思って殊更に優しく笑った…


「いえ…あの…」サレットは付き添いも無く異国のドラゴン族と対面していることに恐怖を覚え俯いてしまった…


「失礼、若いお嬢さん一人の時に話しかけてはいけなかったかな?」ヴェルトは困ったように微笑むと口元に手をやり困ったように首をかしげた。


「イエね、先日あなたのお父上がセイレーン・ミュコスに行かれた際偶然お会いしてあなたのお話を伺った物だから貴女を見たら直ぐに分ってご挨拶しなくてはと思った所です。」


「そうでしたか、それでは父がお世話になりましたのね。」サレットは父の事が出ると幾分警戒を緩めヴェルトと話をしても大丈夫そうだと思った…


「いえいえ、お世話になったのは此方の方で…そう言えばご両親がお国を出ている間に貴女はお爺様のお宅にいらっしゃったそうですがお爺様のいらっしゃる所は此処から遠かったのですか?」


「ええ、祖父母の住む村は此処から南方の山の方に位置しておりまして馬車で3日かかる所にあります。」サレットは相手の親しみやすい笑顔にほだされ人にはあまり言いたくない祖父母の田舎の事を話してしまった。


「そうですか、南方の町と言われると…キャスターブリッジ卿の所ですか?」


「いいえ、もっと北南のモリニュークスを越えた山の麓でルチェッタと言う所です…何も無い田舎なのでお恥ずかしいですが、とても自然の多い所で避暑には良いところですわ。」サレットは以前は恥ずかしく思っていた祖父の村だったが今となっては哀愁を感じさせる所であった…



「そうですか…ルチェッタ…一度訪れてみたいですね…おっとお連れのお方がお戻りだ…それではサレット嬢また…」そう言うとヴェルトはサレットの手袋の上からそっと触れる程度のキスをすると来た時と同じように颯爽と去って行った…。




「今お話していた方はどなたです?」レモネードを持って戻ったジェームスはヴェルトの後姿を不思議そうに見ていた。


「ヴェルト様とおっしゃってお父様のお知り合いだそうなの…。」サレットはジェームスからレモネードを受け取ると一口口をつけ何故あの人は自分に話しかけたのかを考えた……






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