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その瞳の色  作者: 梅花
11/29

ドラゴン

*****


その日の夜は家族でサニーの作ったご馳走を囲み盛大にお祝いをした。


クロスは父と兄に受け入れられたことが嬉しくまた母の作ったケーキをほぼ独り占めできたことが嬉しくその日は早々に床についた・・・


・・・僕がドラゴンだったなんて・・・学校で習ったドラゴン族は王族・貴族そして憧れの12騎士団だけであった・・・


・・・12騎士団!僕も訓練して立派に一人前になったら入団できるんだろうか?やっぱり血筋正しい貴族しかなれないのだろうか?


ドラゴン・・・言われて直ぐは納得できなかった・・・けれど今は確信できる・・・この内にとどろく物これが魔術・・・父さんは明日になったら教えてくれるって言っていた・・・



ふぁぁぁ~眠たい。そういえば今日は早起きだった・・・もう寝よう、明日・・・明日になれば色んな事が分かるはず・・・




クロスは眠りについた・・・沢山の疑問を抱えて・・・しかし明日からは新しい日々が始まるだろう・・・ドラゴン族の若者としての日々が・・・



*******



「・・・クロスはもう眠ったか?」カージスはキッチンで片づけをするサニーに尋ねる。


「ええ・・・もう眠ったわ…」サニーは片付ける手を止めエプロンで手を拭きながらカージスの向かいの席に座る。


「そうか・・・」カージスは頷くと残ったワインを飲み干しリスターに向き直る・・・


「・・・リス・・・王宮はどうだった?ローズ様は・・・お会いできたか?」


「うん。・・・無事に渡す事が出来たよ。」


カージスはそうか・・・と呟きサニーにワインのおかわりを頼んだ・・・サニーはワインを取りに行く為席を立った・・・


「・・・国は・・・首都の様子はどうだ?」


「・・・王宮は変わり無く動いてるようだった…けれどダーニス様はエルフに対する態度があからさまだったよ・・・それと貴族・金持ちの住むエリアに大きな変化は見られなかったけれど下町にはベルズ人が犇いていた…商人も戦士も奴隷までも居たよ・・・」


「・・・父さん、いったいダーニス様は皇帝とどんな契約を交わしたんだろ・・・都の人々はベルズ人が居てもあまり気にならない様だった・・・けれど海沿いの町では宿屋や酒場に戦士崩れや商人がやって来て平気で料金を踏み倒したり暴れたり・・・町人や村人に因縁を吹っかけて回るらしい・・・王国の兵士たちは見て見ぬ振りで人々の中に不満や怒りが渦巻いている・・・ちょっと聞いただけで沢山の国王に対する怒りを聞けたよ・・・」



「下手に立ち向かうとこっちが投獄されるって・・・どう言う事なんだ?」リスターはグラスを握り締めやり場の無い怒りに深いため息をつく・・・


「ベルズ人・・・そうか、お前は変な争いに巻き込まれずにすんだのか?」


「・・・エルフと一緒なのに・・・奴等はそこまで愚かじゃないさ・・・」


「そうか・・・」サニーがワインを持って現れたのでカージスは自分とリスターのグラスに注ぐと話をそらした。


「明日からクロスの教育を始めようと思う。明日はまずは王国とその他の国との関係を教えて、夜にはお前にしたように裏山の奥の湖で真の姿を見せようと思う・・・」カージスは話し終えるとまた一気に飲み干しフーとため息をつきリスターにお前もそろそろ寝なさいと促した・・・


リスターははいと素直に返事をして父と母におやすみなさいと言ってキッチンを後にした。


リスターが階段を上がっていくのを確認するとカージスはサニーにもワインを進め2人は日が変わる頃まで話をした・・・



*****


朝、クロスはシシーの鳴き声で目が覚めた・・・


「ん~シシー後少しだけ~」クロスは寝返りを打ちシシーの耳元でのニャーニャー攻撃から逃げた・・・


ぼすっ!という音共に腹部に圧を感じクロスは咽て飛び起きた!!


「ゴホッ!ゴホッ!!・・・シシー!!危ないだろ!?息が止まったよ!!!」

苦しむクロスを横目で見てシシーは二ヤリと笑ってクロスの足元に尻尾を揺ら揺らしながら寄って来た。


「・・・散々優しく起こしてやったのに起きなかったクロス坊やが悪いんでしょ?」


「・・・それより・・・早く起きて支度しないと学校に遅れるわよ」シシーは嬉しげに尻尾を振りながら部屋を出て行ってしまった・・・

クロスはそんなシシーを唖然と見ていたがハッとベットから飛び降りると乱暴にカーテンを引きいつもより寝すぎた事に気がつき慌てて部屋から飛び出していった・・・


ドタドタドタ・・・乱暴に階段を駆け下りキッチンにいる面々に早口でおはよ!と挨拶してそのままのスピードで洗面所までダッシュしていった。













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