表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/100

#81 展示会後、社内で

展示会を終えて会社に戻った俺は、名刺入れが空になっているのを確認して小さく満足した。予定通り、成果は上々だ。

休日出勤のオフィスには俺と後輩だけ。静かな空間で、二人並んでPCに向かい報告書をまとめていた。


ふと、隣から声がする。

「今朝のモノレールの人たち、歌い手グループの握手会だったみたいですよ」

「お前、報告書は終わったのか?」

「はい、大体。ちょっと休んだら見直します」


要領のいいやつだ、と心の中で舌打ちする。俺はまだ半分も終わってないのに。


「いいですよね、推しと直接会えるのって。しかも握手かぁ…嬉しいよなあ」

「…お前、推しとかいたか?」

「いますよ。柏木さんっていう推しが」


俺じゃないか。思わず顔を上げると、後輩はスマホを机に置き、にこにこと笑っている。


「ふざけんな。仕事に戻れ」

「じゃあ、握手しましょ」


そう言って差し出された手を、仕方なく軽く握った。――はずなのに。強く握り返され、指先まで熱が伝わる。妙に長い。


「…おい、なんのつもりだ」

「推しと握手ですよ」


真顔で言って、柔らかく笑う。

イケメンがそんな風に笑えば、そりゃ女は落ちるだろう。実際モテるんだろうな。


俺は心の中で大きなため息をついた。


こいつの冗談は、時々、冗談に聞こえなくなる。

#100日チャレンジ 81日目

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ