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#61 夢みたいな世界と現実

ライブが終わったら、余韻に浸る暇もなく駅へ急ぐ。明日は学校。だから会場前で友達と写真を撮ったり、銀テの交換をしたりしている人たちの姿が、どうしようもなく羨ましい。

単番参戦で誰に気を遣うわけでもないのに、それでも仲間と「最高だったね!」って笑い合える光景が眩しく見える。


SNSを開けば、「打ち上げ〜!」と居酒屋のグラスの上にアクスタを並べた集合写真が流れてくる。どこの誰かも知らないのに、胸がきゅっと締めつけられる。私だって、語り合いながら食事してみたい。仲間と同じ時間を分け合いたい。でも、今は叶わない。学生だから。


「学生時代なんて一瞬。戻りたいっていつか思うものだよ」

誰に言われたんだっけ。思い出せない。でも確かにそうなのかもしれない。ないものねだりをしているのは私の方だ。


飛び乗った電車で、母からLINEが届いていた。

「楽しんだ?迎えに行くからね、気をつけて帰ってきてね」


母は推し活に理解がある。感謝しかない。友達の中には「親に理解されなくて辛い」って言う子もいるのに。

「koh-eiくんかっこよかった!迎えありがとう」

そう返してふと周りを見渡すと、同じようにパラフラの帰りらしい人がちらほら。一人でいる学生もいた。


あなたも私と同じ気持ち?それとも仲間と別れて帰る途中?


胸の中で問いかけながら、私はシートに身を沈めた。ライブの熱気と、帰り道に漂う寂しさが混ざり合って、今夜も複雑な気持ちで家路につく。


#100日チャレンジ 61日目

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