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#23 応援しない理由がない

息子が歌い手グループのメンバーになった、と初めて聞いたときは正直ピンとこなかった。


パラレリウム・フライトのシヲ


あの子が? 昔から慎重派で、弟や妹が新しい遊具にまっさきに飛び込むのを少し離れて見て、だいぶ経ってからそっとまざってみる、みたいなタイプだったのに。


私は勝手に思い込んでいた。息子には私の血じゃなくて、旦那の穏やかで落ち着いたところだけが流れてるんだって。私の「面白そうなら即GO!」の性分は全部弟妹にいったたんだなーって。


なのに。グループ活動してる?しかも人気?

動画も歌も配信も見た。想像以上だった。

ちゃんと挑戦して、しかもあんな大きな舞台に立つなんて…すごい、普通はできない。

一人じゃないからできたんだね。


ライブがあるらしいと知ったら、もういてもたってもいられなかった。速攻でファンクラブ会員登録。え?年払い?いいでしょ、迷う時間がもったいない。お友達にも声をかけて、よし、ファンクラブ先行で申し込み完了。あとは当落を待つばかり!


と思っていたら。

「ライブ、家族席あるから招待出す」

って息子から連絡。


え!?

「ちょっと待って。私もうファンクラブ先行申し込んだんだけど!?当落まだだよ!」

「ファンクラブ入ったの!?」

「当然!お母さんすごいでしょ!」

「……」

なぜか軽く叱られた。


「顔出ししてないグループだし、周りのリスナーに家族ってバレないように配慮してほしい」

なるほどね、秘密を守らなきゃいけないと。わかったわかった。面倒くさいなって少し思ったけど、あんたが頑張ってるんだから、それは守らないとね。


お友達には事情を話して、みんなで家族枠に入れてもらえることに。

「秘密は厳守でね」

うんうん、わかってる、わかってる。



この頃、息子からの連絡が増えた。

「会場入るとき、絶対静かにね」

「服装は普通の格好で」

「グッズはつけすぎないで」


もーーー心配性だなーーー。でも心配性だからこそ、今のシヲがあるんだと思う。私には真似できない生き方をしてる。


それでもね、お母さんは全力で応援する。

送られてくるのとは別にグッズいっぱい買ってるけど、言いつけどおり当日はちゃんと家族席仕様で行くことにする。

でもメンカラのペンライトくらいは全力で振っていいよね。



臆病なあんたが見つけた、大切な居場所なんでしょ。

自分を解放できる場所を、手放さないでね。

お母さんはずっと味方。何があっても。


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