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4 僕を見つけて

「セバスよ……どうしてこの国は、こんなに暑いのだ……」

「そうですねー……お昼から、さらに暑くなるみたいですよ」

 マオとセバスがいる所は、ショッピングモールの前である。

 彼らは、もう少し宣伝しようということで、出張してきたのだ。

「しかし、客が来ないのー……」

「皆さんこちらを見てはいるので、多分マオ様が怪しいと思われたのでしょう」

「わしのせいかいっ!」

「なんで、もっとラフな服装にしなかったんですか?」

「これは魔王である証拠なのだから、変える事はできん!」

「暑いでしょうに……」

 セバスはうちわであおいでいたが、マオの方は汗を大量にかいていた。

「えーい、暑い! ちょっと涼んでくるわい!」

「あんまり遠くに行ったら駄目ですからねー!」

「わしは子どもではないわい!」

 マオは店をセバスに任せ、ショッピングモールに入っていった。

 中に入ると、やはりマオは目立っていた。

「ふぅー、中は涼しいのぅ」

 すると、マオは野球帽を被った小さな少年を見つける。

 しかし、違和感があった。皆少年を見ていないのだ。

 少年は、必死に話しかけているが、誰も見向きもしていない。

 気になったマオは、近づき話しかけることにした。

「おい、少年。お主迷子か?」

 マオが話しかけると、少年は驚いた顔をして頷く。

「なら、いい所があるからついてくるといい」

 少年は理解したようで、また頷いた。

 そしてマオが少年を連れて戻ってくると、セバスは驚いた。

「なぜ涼みに行ったのに、余計な子が増えているんですか」

「仕方なかろう。迷子なのだから」

「まったく……ここは迷子センターではないんですよ?」

 セバスはため息をついたが、あきらめたように子どもに近づく。

「まぁ、一応本人を配達する、ということにしておきましょう」

 そう言うとセバスはスマホを取り出し、少年にかざした。

 しかし、スマホにはエラーの文字が表示される。

「えっ……?」

「どうかしたのか?」

「なぜか、エラーになってしまったんです」

「なに? 人には使えんのか?」

「そんなことはないはずですが……君、どこで迷子になったのかな?」

 セバスは、少年に目線を合わせるようにしゃがんだ。

 少年は一度マオを見て、少しずつ話し始めた。

「僕、この近くの川で遊んでいたんだ。それで、気がついたらここにいたの」

「なるほど……」

「セバス、なにかわかったのか?」

「はい。この少年の家は、多分この近くでしょう。マオ様、飛んで上からこの子と探してください」

「なぜ、わし一人なのだ!」

「連れてきたのは、マオ様でしょう。最後までお世話してくださいね」

「むぅー……」

 マオはジロッと睨んだが、少年を抱えて飛び立った。

「わぁーっ、高い、高い!」

「こら、はしゃいでいると落ちるぞ」

 空を飛べたのがうれしいのか、少年ははしゃいでいた。

 しかし、マオに怒られて大人しくなる。

「それで、お主の家はわかったのか?」

「うーん……あっ、あそこだよ!」

 少年が指さした方を見ると、一人の女性が家の前で水をまいていた。

 マオは少し離れた所に降りた。

 少年は振り向き、帽子を脱いでマオに渡した。

「おじさん、ありがとう! これ、あげるね」

「お、おぅ……」

「じゃぁね、おじさん。本当にありがとう!」

 少年は家に向かって走っていく。

「ただいま!」

「え?」

 女性が振り返った時には、もう少年の姿は消えていた。

 家の中には、笑顔の少年の写真が飾られていた。

 全てを見届けたマオは、なにも言わずに飛び立った。

★★★

 夕暮れ時、マオは店に戻ってきた。

 それに気づいたセバスは頭を下げる。

「マオ様、お疲れ様でした」

「セバス、お主は気づいていたのか?」

「なにをですか?」

「とぼけるでない。あの少年が幽霊だということを、だ」

「あぁ、そのことでしたか」

 セバスは微笑むと、スマホを取り出す。

「彼にこれをかざした時に、エラーが出たので、もしかしたらと思いまして」

「それならそうと、なぜ教えんかったのだ」

「彼は自覚していないようでしたから、そのまま知らない方がよいと思ったんです」

 セバスはそう言いながら、片づけを始めた。

「多分、彼は川で遊んでいて亡くなったのでしょう。この国では『お盆』というものがあるらしいですよ」

「お盆?」

「その日は霊がこの世に戻ってくるので、あの子もそうだったのでしょう」

「そうか……」

「さぁ、早く片づけて帰りましょう」

「……そうだな」

 マオは、少年からもらった帽子をくるりと回す。

「ところで、その帽子はどうされたんですか?」

「あぁ、これか。あの少年がくれたのだよ」

「なら、今回はそれをお代としていただいておきましょう」

 そして、2人は片づけを終え、その場を後にした。

「ありがとう、おじさんたち。お仕事、頑張ってね……」

「ん?」

「どうされましたか、マオ様」

 マオは振り返ったが、そこには誰もいなかった。

 だが、マオはわかっていた。

「……いや、なんでもない。早く帰ろうか」

 あの少年の声が聞こえたマオは、静かに微笑みまた歩き始めた。

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