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5 人はいきなり探偵になる。

 ましろと二人で飲食店巡りをしている。ラウリルはダンジョンに行っている。何やら、Sランクになると、危険な仕事が自動的に割り振られるらしい。俺も先日ダンジョンに潜ってきた。



「ましろちゃん! 今日はお兄さんと一緒かい?」

「そうなの! ねえ、お兄ちゃん」

 ましろが腕に抱き着いてくる。


 いつの間にか、ましろが町に馴染んでいる。子供の行動力は恐ろしいものだ。それに、ましろはかわいいからな。きっと、飲食店のおっさんたちがメロメロになってるんだ。俺と同じく。


「ねえ、フィオ。ラウリル、怒らない?」

 この世界で唯一ましろに厳しいのはラウリルだ。ラウリルはましろを可愛がっているけど、それはあくまでペットを愛でるそれであって、決して対等に接していない。


「今日はダンジョンに行ってるから、怒らないよ」

「私、もうお腹いっぱい」

 だいぶ食べたからな。



「た、助けくれ!」

 前から血まみれの男が走ってくる。よく見ると体に槍が突き刺さっていた。

 一瞬にして、一帯は悲鳴に包まれた。


 男は数歩歩いて、何かをつぶやきながら息絶えた。

 俺はとっさにましろの目を手で覆う。


「大丈夫だよ。手を退けて」

「本当に大丈夫か?」

「うん」と頷いて、死体に指をさす。


「あの槍、特徴的な紋様が彫ってあるね。私、聞いたことあるよ。騎士の槍だよ」

 確かにあれは隣国の騎士の槍だ。銀色に騎士団の紋が入ってるから、間違いない。

 大方、裏切りの粛清だな。

 俺と同じ。一歩間違えたらこうなっていたと思うとぞっとする。



 ましろを背中につけて、死体に近寄る。

 俺はこういうのには慣れている。しかし、この死体不自然だ。今、目の前で死んだにしては死後硬直が進みすぎている。つまりはどこかで殺されて、ここに運ばれた。さっきの死にかけの演技は幻影魔法の類だろう。手の込んだことだ。

 これはただの粛清じゃないな。

 何者かが裏で糸を引いている。



「手になにか持ってるよ」

 ましろが指をさす。

 男の手にはくしゃくしゃになった紙が握られている。

 広げてみる。



 内容はこうだった。


 ラミリ王国は魔法都市アルカダに対して宣戦布告する。



「公文書じゃないか」

 やけに良い紙使ってる。


 この男はこれを俺たちに知らせてどうしたかったんだ。


「フィオ。あの人、ぼやぼやしてるよ。あの男の人」

 幻影魔法か?

 普通は見分けすらつかない幻影魔法を見抜いてしまうとはましろは自慢の妹だ。



「追いかけるぞ」

「らじゃあ」

 俺たちは男を追いかけた。

 物陰に逃げ込んだところで見失ってしまった。


「どこ行った」

「どこいった!」

 ましろが可愛く復唱する。



 幻影魔法。

 幻を見せる魔法だ。基本的には自分の影を媒介として幻を作るが

「ましろ、今のやつ、影あったか?」

「無かったよ、フィオ」

 おかしい。普通はそんな芸当は出来ない。影を媒介にしない幻影魔法はもはや、別種の魔法だ。そして、そんな便利なものはない。暗殺者の俺たちだって、本当の暗闇では幻は使えない。

 可笑しなものに巻き込まれてしまった。



「ましろ、帰ろう」

「探偵は逃げちゃだけだよ」

 勘が言っている。これは関わったらダメな出来事だ。



「そうだな。この公文書をギルドの受付さんに渡して、話しを聞いてみよう」

 そして、帰ろう。


「分かった」

 俺たちはギルドに向かった。



「お姉さん」

 俺は公文書を渡して、今日の出来事を話す。

「フィオ様」

 神妙な面持ちだ。

「どうかしましたか?」

「これを今さっき受け取ったと?」

「はい」

「それはおかしいです。魔法国アルカダは既にこの世界には存在しません」

 お姉さんの話によると、魔法国アルカダとラミリ王国との戦争は二十年も前のことだそうだ。この土地に住んでいる人間ならだれでも知っている常識らしい。

「じゃあ、亡霊でも彷徨ってたって言うんですか」

「いや、そんなことは」



 その時、ギルドの扉が勢いよく開く。

「フィオの旦那! 死体が無くなりました!」

「盗まれたのか?」

「いいえ、溶けて骨も何も無くなってしまいました」

基本毎日投稿頑張ります!

毎日12時10頃に投稿!


本当にブックマークが欲しいです!

「お兄ちゃん。お姉ちゃん。ブックマークを恵んでください!」

まじで一年くらい寿命が延びる気がします。

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