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3 道端で猫を触るとセクハラになる場合があります。

 迷宮都市ゴリアテの路地裏。


 ようやくラウリルから逃げ切れた。ましろとは逃げる途中で離ればなれになってしなったが、無事を祈るしかない。それにしてもラウリルの人間離れした感覚を直さないと本気で標本にされる。


 計算違いだったことが一つ。ラウリルはましろのことを以外と気に入っている。抱きしめたり、撫でたり。とにかく可愛がっている。

 だけど、ましろはこの世界に来て一度も大人の姿になっていない。何か危険を察知したのか、常に幼女モードで暮らしている。おそらくはこれが原因だ。ラウリルが無害認定をしている原因だ。


 自由自在に年齢を変えられるのは羨ましい。魔法なのかな? それとも種族的な性質か? 

 今度、ましろに訊いてみよう。



「お兄さん。イケメンのお兄さん」

 キセルを咥えた猫が店前で煙を吐き出している。


「はい、イケメンのお兄さんです。どうかなさいましたか?」

 迷宮都市では猫がしゃべるのか。

 知らないことだらけだ。

 昨日、野良猫を捕まえて、揉みしだいて匂いを嗅ぎまくったが、今度からは気を付けよう。猫にセクハラで捕まったなんて知られたら、ダンジョンギルドに入るときにめんどくさそうだ。


「お兄さん、昨日の変態さんにゃ」

「お前かよ!」

 昨日は暗くてよくわからなかったが、言われてみれば、こんな感じだったような。いや、猫ってぜんぶこんな感じ。


「お兄さん。昨日は私を力づくで押さえつけて……」

「悪かったよ。この街の猫はみんなあんたみたいに話すのか?」

「気にしてないにゃ。あと、わっちは獣人にゃ。ケモが強いだけのにゃ」

 獣人。

 なるほど、獣と獣人の違いは見た目ではなくて、知性が備わっているからしい。

 覚えておこう。


「この街でもわっちみたいなのは珍しいにゃ。ところでお兄さん。そんなに猫が好きなら、わっちの店で遊んで行ったらいいにゃ」

 外壁の上の特等席で猫が煙を生産している。


「いくらだ?」

「銅貨一枚」

 相場が分からない。

 そもそもこんな店初めてだ。人生初が猫…… 

 いや、それも悪くない。

 金なら持ってる。

 少し遊んでみよう。失敗するにしても経験だ。まずは突っ込んでみる。反省はそのあとだ! 


「分かった。案内してくれ」

「決断が速いにゃ。一名様! わっちの名前はみすず。よろしくにゃん。ほら、奥に進むにゃ」


 緊張してきた。

 綺麗に装飾された内装。しかし、ところどころ古びていて汚い。気にするほどのことではないのかもしれないが、豪華さと相まって、いけないことをしている店だということがしみじみと感じられる。


 店に入ると、猫獣人の女の子が腕を組んできた。ケモ度低い子だ。猫耳と尻尾が生えている程度の獣人。いわゆるみんな見たことのある獣人だ。


「よろしくお願いします。シャルです。お客さん。お名前は?」

 耳はと尻尾は白黒ブチ模様。


「フィオです」

 綺麗な人だ。良い匂いがする。お日様の匂いだ。


「店長のしりあいですか?」

「……知り合い、です」

 夜道で襲った仲ですとは言えないけど。獣人の中で揉まれることがどれだけの屈辱か知らないから、うかつには言わないようにしておこう。


「敬語じゃなくていいですよ。フィオ様」

「分かったよ。シャルは『にゃん』って言わないの?」

 シャルが顔を真っ赤にして答える。


「あれは獣人の中では高度なプレイです。もし、フィオ様がご所望ならそうしますが…… 少し、恥ずかしいです」

 そんなにエロいことだったの!

 じゃあなんだ。あの店長は店前で卑猥な言葉を連呼してるってことか!

 獣人でも『にゃん語尾』の奴は少ないのはそういうことだったのか。


「なんで恥ずかしか訊いてもいいか?」

「にゃんは喘ぎ声ですから…… それを語尾にして話していると思ってください」

 店長の言動を振り返る。

 奥に進む、ああん!


「何となく理解できた」

「こちらが本日のお部屋になります」

 いつの間にか扉の前まで来ていた。

 シャルが扉を開いて、中へ案内する。



 結論。良かった。

 にゃんにゃん鳴いてた。

 素晴らしい。

 世界って素晴らしい。

 世界平和について真剣に議論したい。

 どうして貧困は起こるんだ。

 こんなに悲しいことは無い。

 世界平和。


「ありがとうございます。また来て、にゃん」

 最後でシャルちゃんがにゃんって言ってくれた。

 顔を赤くして、かわいいな。



 店を出た。

「おう、どうだったにゃ。気持ちよ合ったにゃん?」

 にゃん語尾を教えてもらった後だと、妙に気になる。

 ド変態ネコ。

「気持ちよかったよ。店長、このあたりの相場っていくらくらい?」

「鉄銭一枚くらい?」

「ぼったくりじゃねえか!」

 鉄銭は鉄貨と同じで、銅貨一枚で鉄貨十枚。

「うちは高級店だからにゃ。女の子も可愛い子しかいないにゃん」

「……たしかに。妥当だな」

「じゃあ、また来てにゃ。暗殺者様」

 暗殺者! 

 こいつ追ってか!

「どうして知っている」

「見たらわかるにゃん。この街の冒険者はそんな小綺麗な格好してないにゃ。馴染むことは大切にゃん」

「そうだな。気を付けるよ」

 見てわかるのか。

 気を付けないとすぐに足が付く。

 もう殺しはしない。

 快楽主義者に俺はなる!


「また、来るよ」

「そんなに気に入ってくれたにゃん。また来てにゃ」

 店長が見送ってくれる。



 帰り道。すっかり夜も更けている。

 目の前に黒猫が通りかかった。

 おお、かわいい猫ちゃん。

「にゃあお」

 触ると捕まるかもしれないからな。手で猫耳を作って卑猥な言葉を叫んでみる。本当は卑猥ではないけども!

 黒猫がやけに俺をにらんでいる。

 あれ、おかしいな。

 完全な獣の獣人は少ないはずじゃ……


「きゃああああああああ! 変態です!」



 俺は都市警察に捕まった。

 今、牢屋である。

基本毎日投稿頑張ります!

毎日12時10頃に投稿!


本当にブックマークが欲しいです!

「お兄ちゃん。お姉ちゃん。ブックマークを恵んでください!」

まじで一年くらい寿命が延びる気がします。

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