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<第一章 Slothの種> 第1部 家族の団欒2話

物書きとはとても難しいものですね。


「遅くなり申し訳ありません。父上、母上」


 ウーゴは食堂に着くと、いつもより食欲をそそる香りが漂っている事に目を見開いた。


 (あぁいい肉の香りだ。ダビデへの祝いにしては些か豪華な気がしないでもないが…)


 祝いなのだから豪華で問題ないのだが、彼の捻くれた考えが顔を出す。


 「おぉ!ウーゴ!ようやく来たか、皆すでに準備ができておるぞ」


 ウーゴの父親であるアールバーロの野太い声に鼓膜を揺さぶられながら席に着く。ウーゴは苦笑いを浮かべ彼なりの嫌味を込め


 「今日の夕食はいつにもまして豪勢ですね」


 「今晩はなんと牛肉、しかもミノタウロスのものよ~」


 母親のニーナはすべてを包み込むような優しい声音で嬉しそうに答えてくれる。ウーゴはそれを聞き驚きを隠せなかった。 本来、食用として用いられている肉は家畜のものだ。ミノタウロスといったモンスターを食材として食卓に並べるにはそれなりの金や労力が必要である。


 「早く食べましょうよお父上!!僕もう我慢できません!」


 「あはは、少し落ち着いたらどうだ?ダビデ。でも確かにお腹が空いて辛いや。ウーゴ兄さんも来たんだしそろそろ食べようよ!」


 あどけなさの残る六歳のダビデと少年らしさが出始めている十歳のロイがにこやかに話す。そんな彼らの待ちきれない声を聴いたアールバーロは


 「そうだな。そろそろ食事をとるとしよう。では今回の食事に感謝を」


 「「「「「感謝を」」」」」


 皆待ってましたと言わんばかりにミノタウロスの肉を頬張る。ミノタウロスの肉は過熱することで臭みがなくなり程よい油が口の中に広がるのだ。ウーゴは今回の夕食が嫌で堪らなかったが、その気持ちは肉とともに消え去り笑顔になる。しかしそれも少しの間だけだ。


 「っとそうだ。今回はダビデの魔法適正が優れている事を祝う会でもある。改めておめでとうダビデ!」


 「ありがとうございます!お父上!」


魔法適正の優秀さを褒められたダビデ。


この世界では四つの元素魔法である火・水・地・風と、二つの相対魔法、光と闇。合計で六つの属性魔法が存在する。そして誰しもが必ず一つの適性を持つが、二つ以上持つのは少なく、それ以上の数となると優れた才能と言える。

魔法使いが複数の属性魔法を使用すること自体は難しくはないが、()()に扱うのがとても難しい。

しかし適性があれば扱いやすいため、魔法適正の数が多ければ才能があると判断される。

そんな中、三男のダビデはすべての属性に対して適正を持っていることが先日判明したのだ。


ちなみにウーゴは水属性、ロイは火属性に適性がある。ただし両者とも魔法使いとして成功できる程の才はない。しかしウーゴと違ってロイは運動神経が優れており軍人を目指しているため、魔法に関心を向けていない。

将来魔法使いとして有望なダビデやロイとは裏腹に長男であるウーゴは特筆すべきナニカを持っておらず、元来の性格と相まって酷く歪んだ感情を弟たちに向けていた。


 (まったく俺の弟たちは優秀で困る。そのせいで父上は俺もナニカに秀でるのではないかと無駄な期待をしてしまうではないか)


 「時にウーゴよ。この間受験したファーボ国立学園の結果はどうだった?」


 世の中は嫌なタイミングが重なるもので、その問はウーゴにとってダビデの祝いの場でもある今回の夕食時には聞かれたくないことだった。


この世界の魔法

・元素魔法 火←水←地←風←火 この様な相性がある それぞれの上位として派生がある

・相対魔法 光⇔闇 お互いが弱点である。 元素魔法のような派生は無い


適性の判別

・6歳になると国教であるアーズ教の教会で診断する。 6つの水晶に手をかざして反応を見る

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