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<第一章 Slothの種> 第1部 家族の団欒14話

興奮を抑え目を凝らし獲物を構える。失敗は死。


妹を除いた家族で夕食をとった翌日、ウーゴは当初の予定通りエイビスの森へ向かった。持ち物は前回と同じく短剣を二本、食料と水の入ったバックだ。

冬の月は終盤に差し掛かり、春の月が顔を出してきた。その為、仄かに温かい光と涼しい空気が彼の体を包み込んでくれている。


「今日は太陽が登って直ぐに屋敷を出たからなぁ、森の空気が美味く感じる」


前回と違い今回は早朝に屋敷を出た為、太陽の主張は控えめだ。穏やかな風で森が歌っているかのように葉を揺らす。それらが今の彼にとって、とても心地好いものであった。一つ伸びをしたウーゴ。


「さてさて、今日はモンスターの群れに遭遇しなければいいんだがなぁ」


腰に提げた短剣を確認した後、慎重に森へ入っていった。入口付近でモンスターに襲われる事は少ないが、万が一に備え周囲を見回し安全を確認する。上を見上げポツリと呟く。


「グリーンバードの鳴き声は聞こえないな。鳥型は厄介な事この上ないからなぁ」


森の中を進み始めて数十分がたった頃、一体目のモンスターを見つけたウーゴ。


「ありやぁノウム・ゴブリンか?」


彼が見つけたのは一般種のゴブリンだ。知能はそこそこ高く複数体の個体で群れを作って生きている。群れを相手取るのは危険な為、警戒して他のゴブリンを探すウーゴ。


「周りには居ない。はぐれの個体か、幸先が良くて助かるねぇ。我求めん・小さき祈りに・涙の喝采を<ウラ・アクア>」


ゴブリンが騒ぎ他のモンスターを呼び寄せられては困るので顔を目掛けて放った水魔法。後ろから水の弾で窒息死を狙う。


-ゴボ!uuギャ!


「クソッタレ!ならコイツで!」


一瞬だけゴブリンを溺れさせられたが直ぐに抜け出されてしまう。仕留める為に短剣を右手に持ち背後から突き立てる。水魔法による攻撃と短剣による一突きで仕留める。


「よしよし、今の流れはかなりいいだろう」


手堅くゴブリンを倒せた。その事に笑みを浮かべ、顎を撫でるウーゴ。そして次のモンスターを探し始める。


「どれ、次もはぐれだと助かるんだがなぁ」


さらに森の奥へ進みまたゴブリンを見つけた。今度は群れのゴブリンだった。


「おいおい、こいつは手間がかかりそうだなぁ。さてどうしたものか」


ウーゴが見つけた群れはゴブリンが四体のものだった。ゴブリンの群れとしては小さな規模だがウーゴの力では少しの危険がある。見なかった事にし別の所へ行くか、それとも無茶をするかで悩み決断する。


(私は戦う君も好きなんだよ?)


「あぁ折角気晴らしで来てるんだ。コイツらには憂さ晴らしに付き合ってもらうとしようじゃあないか」


彼の性格を考えればしなかったであろう決断。しかし一度モンスターを倒せた事に高揚し、()()による後押し。


「まずは一体。確実に仕留めてやろうじゃあないか」


普段は浮かべない獰猛な顔で群れを見つめ、一体目をどれにするか選ぶウーゴであった。

ノウム・ゴブリン

・ゴブリンの一般種で森や草原に生息している 適応能力が高いため生息地ごとに変化する


はぐれの個体

・集団で生息するモンスターが何らかの理由で一体でいる 迷子か争いに負けたか、群れる必要がなくなったのかは初見ではほぼ分からない

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