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この青髪少女、超能力使えるってよ②

 ……待て。事情がどーやら言っていたが、俺は結城さんと二人きりでコミュニケーションをとらなきゃいけないのか?


 この雰囲気、テンション、独特なテンポ。


 女性というだけでハードモードなのに、結城さんは更に難しい気がする。

 エクストラモードに初心者が挑むようなものではないか。


 いや……変に気負う必要はないか。


 ただ、起きたことをそのままに、多少俺が悪くないように脚色しながら、全面的にマサルが悪いようにでっちあげもかまし、全ての元凶はマサルだと断言すればいいだけだ。

 

 何も難しいわけではない。


 俺は必死に頭を働かせ、結城さんの尋問に軽やかに答えられるように準備をしていた。

 しかし、待てども待てども、会話が始まる様子はない。

 それどころか、結城さんはどこからか本を取り出し、何事もなかったが如く優雅に読書を始めたのだ。


 俺はその行動に唖然としつつ、困惑しながらこちらから声をかける。


「あ、あのー。事情とかは……その、いいんですかね?」

「……いい。……全部わかってる」


 そこでまた会話が途切れる。

 いやいやいや、思ったよりやべえぞこの人。

 自分のことコミュ障だと思ってきたけど、全然俺のがマシなんじゃないかと思えるレベルだわ。

 

「全部わかってる……といいますと?」

「……全ては、宇宙のことわりの中に記されているから」


 そう言いながら、結城さんは"パタン"と本を閉じる。

 それと同時に立ち上がり、ビシッと背筋を伸ばし、演説をするかのように両手を広げて語りだした。


「全ての過去、現在、未来は宇宙の中に記されているの。そして、私は人類の中で唯一宇宙と交信し、アクセスできるコスモテレパシー能力を持つ人間。私の前では偽りは無力。全ての真実は宇宙の中に。そして、真実はいつも一つだけ……」


 なにが、"真実はいつも一つ"じゃ。おのれは名探偵コ○ンか。

 ああ。俺初めて出会うわ、こういう人。電波さんってやつですね。

 なるほど。実際対峙してみると、マジもんのヤバい空気から恐怖さえ覚えるわ。



「あの……それで、その真実というのは?」

「ふふっ……。わかっているのよ? あなたが生きている豚を火で炙り、その匂いと鳴き声に性的興奮を覚えてしまう異常変態人間だということはね。大人しく罪を償いなさい」

「勝手に犯罪者にしないでもらえますか?」


 ダメだ、会話が成り立たない。

 それどころか、このままじゃとんでもない冤罪と汚名を被せられたまま刑務所にぶち込まれてしまう。早く先生戻ってきてくれ……。


「フゴッ……ブフギョー!」


 診察室から聞き慣れた鳴き声が響いた。

 ……きた! きたきたきたきた!

 よくやった、マサル! 最高のタイミングで目覚めてくれたじゃないか!


 よくよく考えると、こんなところでこんな目に遭っているのは全てマサルのせいなんだが、今はそんな事はどうでもいい。


 意識が戻ったならとりあえず先生と一緒に早くこっちに来てくれ。そして、事の顛末をある程度ブヒブヒ鳴きながら説明してくれ。


 この電波さん、気づいたら警察に通報してそうでおっかねえんだよ。


ブタ、フッカツ

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