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親父が再婚した美人妻の特典でついてきた美人姉妹がめちゃくちゃかわいい。

「お兄ちゃん、わたしとお姉ちゃん――」


「――どっちが好きなの!?」



 雪崩のように部屋へと押し寄せてきた妹と姉から隠すように、俺は慌てて幼馴染ものの薄い本を掛け布団の下に隠した。



「いや、突然そんなこと言われても困るって……ッッ」


「――あ、ゆう君なにか隠したでしょ?!」


「え、お兄ちゃんなになに!?」



 目を爛々と輝かせ、両手を広げて俺に飛び込んでくる妹の星花(せいか)を全身でキャッチしたその刹那、俺の横をすり抜けた姉の星來(せら)が掛け布団を盛大にめくった。



 露わになる朝這い幼馴染。

 わお、なんという連携プレー。さすが姉妹。



「ゆう君のばかぁ! ばかぁ! どうしてお姉ちゃんものじゃないの!? 信じらんない!!」


「お――おおおおおお、お兄ちゃん!! こ、こんなの買わなくても、わ、わた、私が、ぬ、ぬぬぬぬぬぬなななやなっ――!!」



 恥ずかしいなら言うな。むしろ言わないで、頼む。期待しちゃうぞ☆ って微笑んでる悪いお兄ちゃんがいるから。



「そんな程度のことも言えないお子様じゃあ、勝負は目に見えてるわね! ――さぁ、ゆう君。私と日頃から溜め込んでるリビドーを解放させましょう!」


「悪い、さっき解放させたばっか――」


「わぁぁぁあああ――!! お兄ちゃんの枕元のゴミ箱さん妊娠してるぅ!? パンッパンだよ!」



 カピカピになって丸まったティッシュを掴んだ妹が頬を朱に染め、鼻元まで持って行った瞬間、姉が勢いよくその手を押しつけた。



「むぐぅ!?」


「あは♡ どう? どう? これがゆう君の子種よっ!!」




 呻き声をあげながら暴れまわる星花を押し倒し、マウントをとった星來。

 星來は、打ち上げられた魚のごとくジタバタと俺のベッドで暴れまわる星花の口を塞ぎ、悪魔のような笑みを浮かべてカピカピティッシュを鼻に押し付ける。



 拷問だ。あのイカ臭いティッシュを直で嗅がせられるなんて。

 白目を剥くのも無理はない。というより失礼な奴らだなおい。人の精子で遊ぶな。



「やめてやれよ姉貴……流石の俺でもそれをやられた日にゃ死ぬぞ」


「大丈夫、鼻は妊娠しないわ! 実践済みよ!」


「そんなこと聞いてないんだけどね……ッ」



 しかも実践済みって、なんか照れる。



 俺の使用済みティッシュが有効活用されてるってことに羞恥と歓喜を滲ませながら、俺は妊娠したゴミ箱を姉貴の頭に被らせると両手で押さえつけた。



「んぎゃ!?」


「ハハッ、いい気味だぜ」



 悲鳴をあげる星來。構わず、数多のティッシュを押し潰して髪や顔面に液体を――つい数分前に出来上がったティッシュ含めて――染み込ませる。下敷きになっている星花の顔も真っ青だ。



「人様のティッシュでなに実践してくれちゃってんだよ。やるなら俺の前でやれ。見ててやっからよぉ……ッ」


「んごおおおお――ッッッ!?」


「んあああああ――ッッッ!?」



 俺のベットで白目を剥きぐったりしている姉妹を俯瞰して、溜息を吐く。



 今日もこの二人、朝から元気でなによりっすわ。日曜だもんねー、つってもまだ朝五時だぞ。



 この姉妹のおかげで、夜型の生活から朝型の生活にすっかり戻されてしまった。

 感謝すればいいのか、悪態をつけばいいのやら。

 とりあえず、幼馴染みモノのエロ本をベッド下の鍵付きアタッシュケースにしまい、鍵を掛ける。



「0721……っと。これで完璧だ」



 さて、と未だに起き上がらない姉妹を置いて、シャワーを浴びるため部屋を出る。

 着替えはもたない。 

 風呂上がりに服着てるヤツの気持ちがわからない。



「お、お兄ちゃん……妊娠しちゃうよ……ぉぉ」


「ゆう君……シャワーから精液が……溢れて……」


「………きょうもかわいいな、この姉妹」



 率直に、俺はこのバカ姉妹に恋をしている。

 血は繋がっていないし美人だし、そりゃ二年以上も同じ屋根の下で暮らしていて、なんやかんや色々と問題はあったけれど、いまではこうして仲良くスキンシップを図るような仲だ。



 好きになってしまうのが道理。

 どちらが好きか、なんて無粋な質問はしてくれるなよ。そんなの決められるワケがない。



 どちらも大好きで、つい先日書いた進路希望には姉と妹の両方と結婚式を挙げると書いたばかりなのだ。



 いうまでもなく放課後職員室に呼び出された俺は「これ進路希望じゃなくてテメェの夢だろうが」と書き直せばいいだけの話なのにわざわざシュレッターにぶち込んだあの先生を、俺は許さない。







「――さぁ、きょうは三連休さいごの日! 明日から学校だよ、楽園(パライゾ)はきょうまでだよっ! ということで、僭越ながらわたし、天之星花(あまのせいか)と!」


「知的美麗容姿端麗且つ聡明怜悧お姉様担当、天之星來(あまのせら)(巨乳)が!」


「『ドキドキ!? 俺のかわいい姉妹と遊園地デート!? しかも途中でムラムラしちゃっても優しく慰めてくれるオプション付き!?』のブリーフィングを始めたいと思います! ――ってコラ! なにが知的聡明怜悧さっ! お姉ちゃんのあだ名〝無知蒙昧〟のくせにっ!」


「容姿端麗巨乳さえ認めさせればあとはどーだっていいのよ!」


「しまった!?」


「どこに驚愕してんだよ」




 シャワーを仲良く浴びに行った二人が戻ってくること数刻。

 指針が午前八時を指した今、最近ありがちなAV企画とパワーポイントを持ち出してきたバカ姉妹をよそに、俺はカメラの動作確認を行っていた。



 充電よし、レンズにひび割れなし、容量等異常なし。問題なく使えるようだ。



「——って、お兄ちゃんなにしてるの? カメラなんか弄って」


「なにって星花。その企画(AV)にカメラは必須だろ。いつでも俺が見返せられるようにな」


「え、そ、そんなに楽しみにしてくれてるなんて……! わたし、お兄ちゃんのために頑張っちゃうよ! 体張っちゃうよ!」


「そ、そうね! 私も幼児体型で存在から足引っ張ってる妹をフォローするためにも、お姉さんとしてしっかり頑張らなきゃ! ……き、今日のお洋服……ううん、下着はなにを着てこうかな?」



 おうおう、まさか今回の日曜日で兄妹の垣根をかなり越えちまうことになりそうだぜ。

 ていうか、マジにAV企画?

 期待していい?

 買ったまま一度も開けてないゴム持っていこうか?

 子供の名前にはやっぱり星は入れたいよな?

 考え出したら止まらなくなってきたので、一旦思考を中断してカメラを構える。



「まぁ、ちゃんとおまえらの可愛い姿はカメラに残しといてやるから、ブリーフィング始めてくれよ」


「う、うん。あれ、もうこの場面からカメラまわすの?」


「おう、AVは最初が肝心だ」


「待って、本当にAV企画になってるよ?」


「ねぇ、さっきからAVってなに? お兄ちゃん?」







「――では『ドキドキ!? 俺の可愛い姉妹と遊園地デート!? しかも途中でムラムラしちゃっても優しく慰めてくれるオプション付き!』のブリーフィング始めるわよ~」



「場所はここ——最近できたばかりのテーマパーク『LOL』! ちなみに略称は知りません! なんといってもこの広さ――ってお姉ちゃん!? なんでLOLの動画じゃなくてわたしがシャワー浴びてる動画流れてるの!?」


「知らないわよ、なんで私があなたのシャワーシーンなんて流さなきゃいけないの」


「きゃーーっ! やめてー!! お兄ちゃんみないでぇぇぇ!!」


「ちょっと、時間は有限なのよ! 別にシャワーシーンぐらいでグダグダ言わないの、いい感じに湯煙で隠れてるんだから騒がないっ! 貧乳担当」


「はぁ、はぁ……へっ、お兄ちゃんはロリコンだからおっぱいちいさい方が好きなんだよ……っ! 巨乳の時代は終わった! 世界は今! ロリキャラなのよ!!」


「バカねぇ、ゆう君の好みなんて日に日に変わってるのよ。今は胸よりふとももでしょ? ――ほら、みて。Am○zonの注文履歴。ふともも写○館なんて大量に購入して。そんなに見たいなら、私がもっと良いふともも、魅みせてあげちゃうのになぁ。ゆう君?」


「はいはい、お兄ちゃんカメラまわすのに忙しいから絡むのやめようねっ! ふともも露出禁止! カメラ目線ふとももから外して! まったくもう、すぐ誘惑に負けちゃうんだから……って、私の足映すのやめぇ!」


「……いや、そうやってしゃがみこんだ時に見える胸チラをしっかりカメラに映してるわよ」


「ひゃぁぁぁぁ!? ちょっとカメラ止めてぇ!!」







「――では、気を取り直して。LOLのチケットはここに三枚、お兄ちゃんのバイト代からいただきました! お兄ちゃんありがとっ!」


「ゆう君ありがと……って、えへへ。昨日お礼しに行ったこと、思い出しちゃった……っ」


「お礼!? そんなはなし聞いてない!? ずーるーいー、私もお礼してほーしーい——っ!!」


「される側じゃないでしょうに……。それよりも、早くはなし進めてよねバカちっぱい。いったん中止してから三十分も経ってるわよ」


「ぶぅぅぅっ! それはわたしのせいじゃないもん……もうLOLの紹介やーっめた。次っ! お姉ちゃん、目的地までの足の説明よろしく!」


「オーケー、任せなさい。LOLにはこの足で――」


「ばっか、なんでわたしの足が映し出されてんのさ!! しかもおトイレ!? トイレ中のわたし!? どうして置いてあるぬいぐるみがモザイクかかってんの!? かける場所ちがーう!! わーわーわーみちゃダメぇ!! ――お、音も聞いちゃダメー!! カメラ止めるのぉ!!」


「ゆう君、あと一時間でお迎えが来るから準備しといてね」


「待って止めてお姉ちゃんいやあああああ――っっ!!?」







「――では、いってらっしゃいませお嬢様方」



 リムジンの送り迎えという貴重な体験を味わった俺は、両腕に可愛い姉妹を侍らせて、いざ――




「ぐぎゃあああぁぁぁ――ッッッ!!」


「きゃははははは、見てお兄ちゃん――って白目!? お兄ちゃん!? お兄ちゃあああん!?」


「ゆう君ったら、高所恐怖症なのよねぇ」


「壊れる壊れる、こんな回転したら壊れるってぇぇぇ!!!」


「こんなんで壊れてたら運転しないって――あ、お兄ちゃん特別にあと三回まわしてくれるって! やったね、きゃあああ!」


「あ、ゆう君失神した」







「ひぃぃぃあああああッッッ!!??」


「お、お兄ちゃんビビりすぎっ! まだおばけ屋敷一歩しか進んでないよ!?」


「ゆう君、霊感強いから…………え、ていう、ことは……ごくり」


「ま、まさか……入る前から怖がるほどの……なにかが……」


「いやぁぉぁぁムリィィィいいいいあああッッッ!!」







「ゆう君、おつかれ。アイス食べる?」


「ありがと、姉貴……って、ちょま――」


「んちゅう、んぅう……ちゅ」


「……姉貴の唾液とチョコが混ざりあってなんか甘々な液体が合成されているぞ……っ」


「なんか……べろちゅーしてるみたいで……えっち」


「はい、ゆう君。あーん、して?」


「落ち着いてくれ、公衆の面前でそれを食べるのにはかなりの勇気が――」


「くち、あ・け・て?」


「――うわぁお! お兄ちゃん口にアイスついてる! 舐めとってあげるね!」


「星花そこ口の中――んぅぅぅ!?」







『――からお越しの、天之星來(あまのせら)ちゃん。お兄さんと妹さんがお待ちです。迷子センターまで――』


「ぷぷっ、お姉ちゃんいま頃トイレの中で焦ってるよっ!」


「性格悪……けど面白いから許す」


「えへへ。お兄ちゃんも悪よのぉ。あ、お兄ちゃんの膝の上座っちゃおー。んしょっと……おお、これが対面座位ってヤツだね!」


「ば、ばっか! そんな言葉どこでおぼえてきたんだ!?」


「ウィキペディア?」


「うおっ!? やめろこんな公衆の面前でくっつくな! ——し……しかし、この小ぶりながらも確かに感じる胸の感触と星花の香りが……病み付きになりそうだ」


「でしょでしょ! 貧乳も捨てたもんじゃないよお兄ちゃん――」



『――からお越しの、天之星花(あまのせいか)ちゃん。ひいおじい様がお待ちです――』



「三年前に他界したおじいちゃん!? どこ連れてかれるのわたし!?」







 夜の帳が黄昏を覆い始める中、俺たちは駐車場近くにポツンと置いてあるベンチに腰掛けて迎えを待っていた。



 俺の腰に抱きついて、気持ちよさそうにスヤスヤ眠っている星花の頭を撫でながら、左肩に頭を乗っけている姉貴に視線を向ける。



 姉貴は、夢と現を行ったり来たりしているようでピクピクと体を反応させていた。痙攣ではなく、()()って表現がいい感じにエロい。



「んぅ……。なぁに?」



 瞼を半分閉じた姉貴と目があった。



「いや……。きょう楽しかった?」


「楽しかったよ、とっても。ゆう君はどうだったの? 私たちとデートして、楽しかった?」



 あくびをしながら体を伸ばす姉貴に、俺は正直に頷いた。



「楽しかった。貯金吹っ飛んだけど、それ以上の価値はあった」


「間接キスできたし?」


「姉貴のパンチラもみれたしな」


「もう……ばか」



 クスクスと、駐車場に俺たちの笑い声が反響した。

 肌を撫でる優しい風が、子どもたちのまだ遊びたいコールを攫って消えていく。



 随分と昔のことを思い出し、なんだか切ない気分で胸がいっぱいになる。こういうのって、ノスタルジックっていうんだっけか。胸が苦しい。



 姉貴も俺と一緒だったようで、まだ遊び足り無さそうな顔でポケットからスマートフォンを取り出した。左腕を上げ、斜め上のアングルに内蔵されたカメラを構えると、俺の顔を覗き込んだ。



「どうしたあね――」



 パシャリ、とシャッター音が数回響いた。



「――っ、ん」



 視界いっぱいに映し出された姉貴の優しい瞳。

 桜色の唇が俺の唇と重なっていて、かつて体験したことのない感触が俺の息を停止させていた。



「……思い出、また増えちゃったね」



 唇を離した姉貴は名残惜しそうに微笑むと、タイミングよく到着したリムジンに向かって走り出した。

 呆然と、姉貴の残り香を唇に感じたまま、まだ寝ている星花を抱っこしてリムジンに乗り込んだ。



「ふふ。どうかした、ゆう君?」



 特に変わった様子をみせない姉貴が、俺の視線に気づいて微笑んだ。



 窓ガラスから差し込む夕陽が姉貴の姿を赤く映し出す。

 神々しいまでに、美しい笑顔。



 今が黄昏時でよかった。熱くなって変色した顔を、見られずにすむから。



「いや……お姉ちゃん最高って、口が裂けてもいえない」


「ふふっ、そうだね。私も……私も、弟に恋してる――なんて、誰にも言えないもの」



 流れるように過ぎ去っていく街並を眺めながら、最高の日曜日も一緒に過ぎ去っていった。

 あー、ノスタルジック。姉貴最高。



「お兄ちゃんりゃぶぅ~……むにゃあ」



「おもしろかった!」


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