ミレアの追想
教師の答えに納得がいかなかったのか訝しげな表情で首を傾げつつ更に質問を重ねる。
「その終末の大森林には何があったんですか?モンスターに阻まれたのですか?」
「いいえ違いますモンスターは一体たりとも確認出来ませんでした。.....いえモンスターどころかその大森林にはこれといったものは何も存在しませんでした。
しかし調査はその悉くが失敗に終わってきました。」
その教師の答えに更に不思議な顔をしたミレアは首を逆に傾げ考える。
しばらくして言う。
「分かりません。何故モンスターも何もいない場所の調査を失敗というのですか?
何も見つからなかったのは成果では?」
「正確には何も見つけられなかったのでは無く誰も突破することは出来なかったのです。その大森林に入ったものの多くは何事もなく突き進むのですがひとつの国程の大きさがあるその大森林をわずか半日で抜けてしまうのです。
おそらくどこかの地点で転移させられているのだと思うのですが......」
ここで言う転移魔法とは現代に残っている事前に触媒などを用意し2地点を繋ぐゲートを開く転移では無く物体を魔法によって生み出された別世界へと一時的に送りそこから特定の座標へと移動させる古くに失われたものであると言われる。
この2つの転移の大きな違いは前者は準備に多大な労力を裂き多くの魔力を消費するのに対して、後者は1度専用の別世界を生み出せばその後は魔力消費が少なくて済み座標さえ分かればどこへでも転移出来ることだ。
「結論として終末の大森林の奥地に何があるのか、それについて現在ほとんど分かっていません。しかし古い文献によると神が住んでいるとされています」
その答えを聞いたミレアはまだ納得出来ないといった顔をしていたが渋々割り切り別の話題にする。
「では先生終末の大森林の南のこの小さい土地はなんですか?」
その言葉の通り終末の大森林のすぐ南には小さな土地がありそこはどこの国にも属していなかった。
「そこはレクス中央学院です。
中央学院はどこの国にも属さない独立機関です。中央大陸でも最高峰の人材が集まっている学院ですね。卒業後は各国の上級役人になったり騎士団を率いるなどの正にこの大陸を支える場所です。
その答えに目を輝かせたミレア
「先生!私もいつかその学園に行きます!」
しかし教師は暖かい笑みを浮かべつつも、まあ無理だろうという気持ちが出ていた。