夢魔と保護者と世話焼きと
夢魔の卵~夢魔と保護者と世話焼きと
夢魔の卵から、夢魔に昇格した夢魔…
ばくの事を気にしながら……
とりあえず、毎日悪夢の仕事に勤しんでおります。
……最近は、振り撒いた悪夢を少しずつ喰われて行くのも慣れて来たようで……
「……チッ!!またノルマの半分かよッッ!!!」
最近、寝坊助なばくとは顔を合わせていないものの、
成績表を見てから喰われた事を知る夢魔は、また小さな溜め息をもらすのであります。
そんな日々……。
『…うちのクソガキのエリアのばく……アホなクセにちゃんと生きて行く糧を得ておるそうだな。』
「…アホなちび夢魔が追い払わないからだろうな…」
悪夢とエリート夢魔が、成績表を見て
…大きく溜め息を吐く…。
『まさかのデジャブだな』
「あぁ…。アレの様に、その内ばくに取り込まれなければ良いのだがな。」
成績表から、ぶすくれた夢魔へと視線を移し……
肩を竦める悪魔とエリート夢魔…。
『…あの様子なら、今は心配あるまい。』
「あぁ。今は、な…」
自分の居場所であるベッドの上で、ムキーッ!!!とかなっている夢魔を見て……
『全く…いつまでも世話の焼ける…』
「全く、いつまでもガキで困る…」
一方は愛しそうに。
一方は呆れた顔で……
夢魔に近づく。
『だから我を眠らせる程、夢魔の能力を開花させろと言うに…』
「だからガキなんだ、お前も。いつまでもばくを追い払わないからバカなんだッッ!!!」
保護者達の台詞が被る。
「Σ煩いッッ!!…ガキとかアホとかバカとかっ!!!………あーもうっ!!一人にしてくれよっ!!!」
頭から布団を被ってシャットダウン。
…が、出来る訳もなく。
『我を誘うか、夢魔?』
見なくても解る、その嬉しそうな口調でベッドに座る悪魔
「全く…貴様の悪趣味…否、悪食には着いていけない…俺は戻る。……ちび、仕事はちゃんとしろ;」
それを見たエリート夢魔は、やれやれと呆れた様子でその場から消えた。
「誘うか…バカ…」
『フッ……だから、ガキだと言うのだ…』
布団の隙間からチラリと上目遣いに悪魔を見れば、金色の瞳と御対面。
相変わらずぶすっとしたままの夢魔をそのまま。
後は…
…いつもの様に、天岩戸と化した布団から夢魔が出てくるまで待つのみ。
「…ガキじゃ、ねぇよ…」
『そうか?…未だ我は、お前の力で眠りに堕ちた事は無いが…?』
いつもの常套句は、夢魔をその気にさせる魔法の台詞。
「…んっ!…」
成績も、ばくも、未だどうして良いのか解らないけど……
今は、まだ…
このままで居たいと思える居場所に甘えて……
悪魔の誘惑のままに…落ちる…
…その腕の中の安心感に抱かれながら…。