~遠い昔の小さな記憶~
~遠い昔の小さな記憶~
『誰~だ?』
「……悪魔……」
「残念!!パパでした~☆」
「……」
小さな夢魔君と、とっても夢魔に見えない夢魔君のパパ。
いつもノルマをこなせないで帰ってくるのが遅い夢魔のパパが、
たまに早く帰って来た時にする悪魔とのコラボレーション遊戯。
悪魔はこんな事をする奴じゃないから、
いつもいつも解る遊戯だが………
気遣わなければ夢魔のパパがめちゃくちゃ哀しい顔をするので、
悪魔も小さな夢魔も、嫌々ながらこんな事をしている訳である。
『…今日はちゃんと仕事をしてきたのだな?』
「…う…うん。勿論!!」
口隠る時は、多分嘘。
『…全く…』
「お前は、夢魔としての自覚に欠ける。…仕方ない奴だな。」
『「Σお前!!!」』
悪魔の口振りを真似て、小さな夢魔が父親を睨む。
普段から二人のやり取りを見ているから、
呆れた顔も手慣れたもので。
『…ガキに台詞取られた。』
「やれやれ。やられたな。……ちびに言われるのはちょっと悔しいから、次はちょっとだけ仕事しよっかな。」
「Σわっ!!ヘラヘラしてちゅーすんな!!!バカっ!!!しかもちょっとしか仕事しねぇのかよっっ!!」
小さな夢魔を抱き抱え、プニプニの頬に熱いキス。
「ん~☆」
「バッ…!!離せっ!!バカッ!!!」
それは今から、遠い遠い昔の話…。
夢魔の記憶の奥底の何処かにある筈の、優しい温かい記憶……。