表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢魔の卵  作者: 霧月 神
「夢魔の卵」~夢魔とばく~
2/23

「夢魔の卵」~夢魔とばく~

挿絵(By みてみん)「夢魔の卵」~夢魔とばく~









数年の時を経て、夢魔は立派な夢魔に成長し、

沢山の悪夢を島国に振り撒く様になりました。






しかし、

あの悪魔が夢魔に眠らされるなんて事は一度たりとも無く…。






え?じゃあ何故、

夢魔が悪夢の仕事が出来る様になったかって?!






魔界のリーダー的存在の夢魔から、

いい加減悪夢班に昇級させろとの指示が出たからであります。






公に指示が出てしまったので、渋々悪魔は悪夢班への昇級を夢魔に告げました。






えぇ…それはもぅ…渋々と、ね?
















そんな夢魔が日々楽しく悪夢を振り撒いていると、何処からともなく軽やかな鼻歌が聞こえて来ました。







『♪ふふ~ん夢食いばくの子成長期~』




「ん?」




何とも楽しそうな歌の聞こえる方へ、夢魔は行ってみる事にしました。








その歌が聞こえる方向へと飛んでいくと、

キラキラと白い服を着た子供がっ!!!





『♪美味しい悪夢を沢山食~べて大きなばくになりましょお~♪』







子供がやんわりと微笑み、先程悪夢を植えつけた人間の夢の中へと侵入し、

そっと悪夢を取り出しているではないかっっっ!!!!!






「なっ…折角俺が悪夢見せてんのにっ!!」

「ぷにゅ?夢食いばくは食べちゃうの~☆」





手の平に乗った、極上の悪夢を一口ペロリ♪








「げっ!!!てめっ!!!俺の造り出した最高の悪夢がぁぁぁぁぁっっっ!!!」

「にゅ?えへへ☆就任されたばかりの新米ばくで~す。あなたもばく?でも、形が違うねぇ?」





にっこりと笑う子供のばくは、ほんの僅かに不思議そうな顔をしたが、

結局夢魔に構わず食事の続きをしている。





「…ばく?!俺は違うぞっ!!!俺は夢魔だぁぁぁぁぁっっっっ!!!」

『にゅぅ?…♪大きなばくになりましょお~♪』







バサバサと小さな黒い羽根を羽ばたかせ、ばくを威嚇する夢魔であったが、

ばくの方は全然お構いなしで悪夢を美味しく平らげたのだ。





「ぷはぁvV美味しかった☆さぁて、帰ろ♪…んにゅ?まだ居たのぉ?…ん、じゃあね☆」

「お…おいっ!!!ちょ…話を聞けよっ!!…おーい…」







白い服の子供・ばくは、人の話等聞く耳も持たずに

ふわふわと帰ってしまったのである…。







「∑ダァァァァァァッッッ!!何なんだよっ!!あのばくってのはっっっ!!!!」







ばくが消えた空間に吠えても何の意味も持たない事は、その後の静寂が物語る。





夢魔は大きな溜息を一つ落とすと、








何だか解らない敗北感に肩を落とし悪魔の元へと帰るのであった。


















「…ただいま…。」

『夢魔、何だその膨らんだ頬は…(苦笑;)』


「ぶぅ…。」






むくれた顔の夢魔に思わず苦笑いをする悪魔兄さん(笑)





『はぁ…。何があったかは知らんが、その顔では口付けが出来まい?』

「…だって…」


『だって、では無いだろう?…お前は未だ半人前の夢魔。悪夢の力も未だ足りないのでは無いのか?』

「う゛っ…」







★図星っ!!★









『我を眠らせる事、それがお前への永遠の課題だ…』

「え…永遠なんかじゃないっ!!!…しっかり見てろよ…っ!!!」






ちゅっ…







売り言葉に買い言葉。

お約束でまんまと悪魔の罠にハマる夢魔君。







「ん…っぅん…は…っ!!」







咥内で絡み合う舌と舌…。

いつの間にやらとろけて悪魔の手中に落ちるのは…やっぱりお約束…。






『見ているだけではつまらんな…。』

「ひゃっ…っぁ!!」






そっと滑らせる指先から、

いつしか快楽の渦に飲み込まれて行ったのだった…。









「すぅ…」

『…いつしかこの手から逃れ、その若い翼で何処へ行くのだ…?』






小さな寝息を立てて眠る夢魔への寂しげな囁きは、

小さな変化を感じ取った悪魔の想い…。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本館入口 こちらでも執筆してます
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ