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どこにでもあるそんなお話  作者: まっひー
32/33

6 動き出す魔王軍と王国

「大変です!シロさんが!」


ギルドの皆が一斉にこちらを見る


「ザラさん!無事だったのか!」


「って、おい!シロ!しっかりしろ!」


「大丈夫だヤルダ、ありがとう」


俺が皆に励ましの声を受けていると


誰かが扉を開けてギルドに入ってきた


「いつもより静かだね、何かあったのかい?」


扉を開けて入ってきたのはクレインと美桜だった


「クレインか!聞いてくれ!この頃噂になってる殺人鬼が遂にギルドに手ぇ出しやがった!」


「何!?犠牲者は!?」


「大丈夫だ、死人は出てない、でもシロが…」


「え…?」


美桜は唖然とした顔で声をあげる、美桜には今すぐ回復してほしいがここで俺達の関係がバレるのは避けたい


「そうなんだよ美桜ちゃん、俺の事を慰めてくれよー」


俺は大丈夫だという意味を込めて美桜に冗談を言う


「へっ!可愛い子の前では強がるくらいならまだ大丈夫だな!」


「心配して損したぜ!」


「本当に大丈夫なの…?シロさん」


美桜はまだ心配しているようだ、それとも演技か?


「おうよ!こんな奴にも心配してくれるなんて美桜ちゃんは優しいな!」


「がっはははは!ミオちゃんこいつは大丈夫だぜ!」


「後できっちり慰めてくれよな!」


後で治してくれと意味を込めて言う


「はい、分かりました」


これで美桜には伝わったと思うが


「えぇ!?ミオちゃん本気かよ!」


「ウフフッ、冗談です」


「えぇ!?ちょっと俺、期待してたのに!」


そんな感じでこの茶番は終わった


こうして俺とザラさんが戻った事でギルドは元の活気ある雰囲気に戻ったのだった


その夜


「それじゃあ今日からお世話になりますよ、っと」


そう言って俺はザラさんの家に入り、リビングに行く


「おかえりシロ君」


「ちゃんと家の場所が分かったようでよかったです」


案の定そこには美桜とザラさんが居た


なぜ美桜がいるのかと言うと


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ミオちゃーん、ジュース飲まないの?」


「いえ、私この街に来たばかりで…お金があまりなくて宿代で精一杯なんです」


「えぇ!?それは困ったね、おじさんの家に来ちゃう?」


「いえ、遠慮します」


「ぐふっ、」


「あ、そうだ!それじゃあザラさんの家に泊まったら?」


「ザラさんの家…ですか?」


「え!?シロさん、それは…どういう…」


「ねっ、ね?ザラさん」


「は、はい 私の家でよければ」


「ありがとうございますっ!ザラさん!」


「良いなぁ俺もザラさんの家に泊まりたいなー」


「あ!俺もぉ!」


「俺のザラさんに手を出すのかぁああ!!?」


「私昨日まで殺人鬼に監禁されてたんですよ?」


「「「はい、すみません」」」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

俺が無理にザラさんを押しきったのだ


しかしここなら誰にもバレずに美桜と話し合いができるって訳だ


「まさかミオさんとシロさんが知り合いだったなんて」


「まぁね、クレインを騙すのに俺がいたらクレインも美桜を信じにくいだろうし だから他人のフリしてるってわけ」


「シロ君…そんなに話していいの?この人信用できるの?」


「あぁ、実はこの左肩の傷やったのがザラさんなんだけど…」


「そっかぁ、二人で殺す為に私を呼んだんだね」


え?なんでそういう解釈しちゃうの?


「待て待て待て、落ち着け な?」


「ザラさんも身構えないで!」


「聞いてくれ美桜」


そして俺は美桜に昨日あった事を詳しく話した


―――――――――――――――――――


「へぇ…それでこの女は無傷なの?」


「それは…すみません」


怖いなぁ、この部屋から出たいなぁ


「落ち着けって、この程度の傷なら美桜が治してくれるだろ?」


「うんっ!じゃあ今から治すね」


速い、決断するのが速い


「いや、その必要はまだない それは街を出る時にしてくれ」


「そっか、傷がいきなり治ったら不自然だもんね…」


「そういうこと、あと美桜は今どんな感じなんだ?」


どんな感じとは勿論クレインの事だ


「今はクレインの信頼を得る為に依頼を何度か一緒にこなしてる、ちょっと褒めただけでニヤニヤして気持ち悪かったよ」


「あんなにいい子そうなのに裏ではこんな事を考えていたんですね…クレインさんが可哀相です」


「ほうほう、良い感じだな それとクレインから聞き出して欲しい情報なんだが それは魔王城の場所だ」


「魔王城?魔王を倒したりでもするの?」


「理由は今は言えないけどな」


そう、ザラさんの前では理由は言えない


この理由を話すとどうしても俺達が勇者だとザラさんにバレてしまうからだ、さすがにそこまで人を信じる程俺も馬鹿じゃない


「魔王城の場所を知りたいのですか?確かにクレインさんなら知ってますけど…ギルドマスターがクレインさんに魔王城の場所教える時に私も居ましたから

私も知ってますよ?」


「え?」 


「え?」


「知ってるの?」


「はい、一部のAランク冒険者はその情報を金で売ってますし」

 

えぇ!?何がAランクの中でも信用に置ける人物だよ!? 


目茶苦茶、情報漏れてるじゃん!


「ザラさん!その情報教えてくれませんか?」


「良いですよー」


軽っ! 俺は一体なんの為にここまで遠回りに行動してきたんだ…


「この情報は他言禁止ですよ?場所は…」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「へぇー、ブラックフォレストの真ん中か…」


「まぁ結構、他の冒険者達もそこだと気付いていますけどね」


「え!?それはまたなんで?」


情報漏洩しまくりじゃねぇか あのオッサン…ただのクレイン信者だったのか?


「だってこの世界の何処かで魔王城が出現したらそこから噂がすぐに広がりますよ、それでもまだ知られてないって事は海の中かブラックフォレストの中しかありませんからね」


「確かに…よく考えれば分かる話だな…」


はぁ… まあいいや、ここは気持ちを切り替えてポジティブにいこう


「それじゃあ美桜、俺の左肩治してくれ」


「いいの…?」


「ああ、構わない もうこの街にいる必要は無くなったからな」


そう、本来この街は冒険者登録する為だけに訪れた街だ、イレギュラーが起こって魔王城の情報を知れると分かったから滞在しただけの事


情報さえ分かればもう用はない


「え?もう出て行ってしまうのですか?」


「うん、今日ばかりでこの家から出ていくよ」


ザラさんと会話しながら美桜に肩を治して貰う


「はい、治ったよ、次は体だね」


俺は上の服を脱ぐ 


「へー、シロさんって冒険者の割に腹筋とかないんですね」

 

うるせぇ 横からザラさんが何か言ってくる


美桜が俺の体に触れる、


あれ?触れる必要あったっけ?まぁいいか


「はい、治ったよ」


「ん、ありがとうな美桜」


そして俺は服を着て言った

 

「それじゃこれからの事を話すとしますか」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「朝だよシロ君」


「ん…おはよう美桜」


俺は朝早くに美桜に起こされ目が覚める


「ザラさんは先にギルドに行ってるよ」


「おう、そうか それじゃあ俺らもギルドに向かうか」


「うん」


俺達はペルンを出る前にギルドに寄ってしなければいけない事があった、勿論別れの挨拶なんてものじゃない


「ていうかクレインに見つからないようにしろよ、見つかったら面倒くさいし」


「分かってるよあいつとは今日、近くの森で魔物狩りをする約束したから 今なら近くの森で私を待ってるよ、一人でね」


中々えぐい事するな…


「そっか、じゃああいつが森から戻ってくる前にさっさとギルド行くか」


そんな訳で俺達はギルドへ向かった


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


俺達はギルドに着き、扉を開ける


「おぉ?シロじゃねーか!それに…ミオちゃん!?」


「おうヤルダ、美桜ちゃんとはたまたま朝ギルドの前でばったり会っただけだよ」


「そっかぁ…いや、そんな事はどうでもいいんだ!お前知ってるか?魔王軍が動き出したって話と勇者の話!」


まさか、向こう側から話を振ってくるとは、俺達はこの為にギルドに立ち寄ったのだ


そう、俺達は魔王軍の動きを確認する為に情報が入るのが速いギルドにわざわざ立ち寄ったのだった


「その話、詳しく教えてくれよ」


「ああ、いいぜ これは今日の朝に入った情報なんだが…」


情報の内容をまとめると


今日の朝に魔王軍が魔物をブラックフォレストの各地に散らばらせたらしい、そして王国の勇者がそれを何体か討伐しているという内容だった


どうやら勇者召喚の事はあまり知られていなかったらしい


さすがに勇者が裏切り逃亡したという情報は広まっていないみたいだな


「勇者ねぇ…」


「おい、ヤルダ!まだ言ってない情報があるじゃねーか!」


ん?まだあるのか?


「あ、そうだ忘れてた 勇者が数名ずつ世界各地に散らばったらしい、理由は多分世界各地の魔物討伐じゃねーかな?」


嘘だろ!?そんな大事な情報をこいつは…!


魔物討伐なんてものは表向きの理由だ恐らく本当の理由は俺と美桜を見つける事だろう


「なるほどな」


そうなると余計に早くこの街を出なければいけないな


「あと他には…この街の門番が殺されてた事件かな?」


「それは知ってる」


「なんだ知ってんのかよ!」


俺はそういってザラさんのいるカウンターに向かう


「ザラさん、それじゃあ俺達はもう行くよ」


「そうですか…また気が向いたらこの街に来て下さいね?」


「ああ、気が向いたらな」


ザラさんと別れの挨拶を交わし、俺と美桜は街を出た


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「それじゃあ美桜、王国を攻めるか」


「うん」


そしてペルンを出た俺達は王国を攻める事にした


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