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どこにでもあるそんなお話  作者: まっひー
25/33

25 糞とする糞みたいなデート

実戦訓練で私と互角の実力を持った者はいなかったらしいので私はアイシャさんと組む事になった


結果、アイシャさんには勝てなかった、実力も上だし攻撃が何故か先読みされるからだ


実戦訓練の後、剣術のコツを教えてもらったりした、その時アイシャさんは「こんな事を教えるのは君だけだだぞ?」とか言ってたけど どうせ早風先輩とかに普通に教えてるんだろうと私は思った


私達は転送魔法陣を通って元いた訓練場に戻った


その頃には殆ど皆集まっていた


私はある人を探す 当然、シロ君だ


あれ?いない まだ帰ってないのかな?


とうとうシロ君のペア以外、全員が帰ってきた アイシャさんも少し気掛かりな様子だった

まぁ、心配してるのはシロ君じゃなくてペアの天野先輩だろうけど


遂にシロ君が帰ってきた 


ん?誰かを抱えている


シロ君に抱えられているのは、ペアである天野先輩だった


私はまだされてないのに……


二人は仲良く話しながらこちらまで歩いて来る


なんで?なんで?なんで? 


今日あったばかりなのにどうしてそんなに仲が良さそうなの? 


私の方がシロ君と居た時間は長いよ 記憶がなくなる前も、なくなってからも…


おかしいよ、離れてよ


私は天野とかいう女に今だかつてないほどに苛立っていた


あの女…ムカつくなぁ…


そんな事ばかり考えていると


「モチヅキ、悪いが君の固有スキルで回復してやってくれ、足は切断までに至っていなから回復できると思うが…」


誰を?  ああ…こいつか、


そんな時周りからこんな声が聞こえた


「あの足首の怪我、尾張がやったらしいよ」


「うっわ、最低~」


「女性相手に手加減なしかよ…」


それを聞いてさっきまでの苛立ちが嘘のようになくなった


女相手に手加減なし…って


もしかして記憶が戻ったのかな!?


つい、心の中でだがテンションが上がってしまう


「ええと、…はい治せます」


確かにこの傷からは手加減なんてものは一切感じられない 


ああ、この傷を治すのが本当にもったいないなぁ 


できればこの女には一緒残して置いて欲しい傷跡だ


まぁ治せる事はアイシャさんも知ってるだろうから治せないなんて嘘はつけない


チッ、


心の中で舌打ちして傷を治しにかかる


「ありがとうね望月さん」


ほんとにうざいなぁ…こいつ


「いえ、当然の事ですよっ」ニコッ


うざいとは思いつつも決して顔には出さず私はいつものように微笑む


そして元の場所に戻る際、シロ君とすれ違った


目が綺麗なままだ


私のシロ君はもっと深く、濁っている目をしていた


まだ戻ってないのだろうか?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

夕食の時間、シロ君の隣にあの女が座っていた


いつもパーティーから抜けて食事をしてる癖に…


そんな事を考えているとシロ君があの女の事を名前で読んでいた


不愉快極まりない


なんでシロ君はそいつの事を名前で呼ぶの?私の事はまだ苗字なのに…そんなのおかしいよ


私は我慢できなかった


早く、早く、早くシロ君に会いたい


二人で話したい、触れたい


我慢し切れなかった私は深夜、男子の部屋に入りシロ君を起こす


シロ君は起きたけど渋ってなかなか部屋を出てくれない


そして遂に私は


「お願いだから来てっ!」


シロ君に怒鳴ってしまった


言った後にとんでもなく後悔した 


シロ君に嫌われちゃう、そんなの嫌だよ


ごめんねシロ君、ごめんなさい、許して、なんでもするから


心の中で何度も謝るが、当然シロ君に聞こえる筈もない


そんな時、吉瑞が目を覚ました


私のせいだ、


吉瑞への口封じへと思考を切り替えた瞬間、シロ君が素早く動いて


吉瑞の頭を吹き飛ばした


一瞬何が起こったのか理解できなかった


考える暇もなくシロ君に言われた通りに窓から部屋を出る


神殿の裏に行くまでの間、私の頭の中はさっきの映像が何度も再生されていた


昔、私とシロ君が出会った時を思い出すかのような素早い身のこなしだった


すぐに神殿の裏に着いた私はシロ君に聞く、さっきの能力は何なのか?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


どうやらシロ君は能力を能力で偽っていたようだった


シロ君は私の事を信用していないのに能力の事を話してくれた これ以上シロ君に嫌われたら私は生きていけない


こんな状況でシロ君と会いたいだけなんて私のちっぽけな我が儘なんて言ったら絶対に嫌われる


だから私は自分の秘密を全て打ち明ける事にした 勿論シロ君が記憶喪失になる以前の事は伏せた


この事だけはどうしても言えない


――――――――――――――――


シロ君は私を許す代わりに吉瑞とデートし、今日の事を忘れさせろと私に命じた 


私、今シロ君に必要とされてる…!


本当に嬉しかった、あの吉瑞とデートなんて死んでもしたくなかったがシロ君の命令なら喜んで受け入れよう


早く明日にならないかな、早くシロ君に許されたいな


話は終わり城へと帰る私達、城までの帰りはずっとシロ君の後ろ姿を目で追っていた


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

朝、目を覚ますとまだ昨日の興奮がまだ残っている


吉瑞とデートは本当に嫌なのだが嘘をついてデートをした事なんかにするのは絶対に有り得ない


私は色んな人に嘘をつくし、裏切る、でもシロ君を裏切るような嘘は絶対につかないし裏切るなんて論外、だからどんなに嫌でもシロ君の命令ならどんなやつとでもデートだろうが何だってしてみせる


シロ君は午前中はどうやら剣術の自主訓練をするみたいだ


私は早速食堂に行き、吉瑞に会いに行く


「あ!おはよう望月!」


ほんと朝から元気いいなぁこいつ 


「おはよう、吉瑞君」ニコッ


「吉瑞君も今から食事?まだ食べてないなら私も一緒に食べていいかな?」


「え?あ、そうそう俺もまだなんだよ、だから食べようぜ!」


嘘つくなよ じゃあ今、机の上にある食べ物は何なの?


「良かったぁ、じゃあ食べよっか  …あれ?この食事は誰の?」


私は今こいつが食ってた朝食を指差す


「こ、これはきっと誰かが置いてったんだよ!」


嘘下手くそ過ぎでしょこいつ


「へぇー、そうなんだ それじゃあ、朝食取りにいこ?」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


食事を持って私と吉瑞は近くの椅子に腰掛ける


「それでさ!俺が白兎に言ってやったんだよ お前には無理だってな そしたらムキになってあいつ無理矢理飛び込もうとするわけよ」


「フフっ、吉瑞君て面白いね」 


本当にこいつの頭の中は面白いなぁ どういう構造してるんだろ?


「あ!そうだ!昨日の夜さ望月が俺の夢に出て来たんだよ!」


キモ過ぎる 付き合ってもない女子に普通そんな事言う?


昨日の事を掘り返されるとこっちが困るのでこいつが食いつきそうな話に切り替える


「それより今日の午前中なんだけど…その…時間ある…?」


私はモジモジしながら上目遣いで吉瑞を見る


「え!?時間!?あ、ある!今日の午前中俺、超暇だから!」


食いついた、食いついた チョロいなぁ


「その…良かったら私の買い物に付き合ってほしいの」


とりあえず自然な流れでデートにこぎつけた


やっとシロ君の命令を実行できる


「うん!俺でいいの!?」


「うん、寧ろ吉瑞君だから…って、やだ私ったら何言ってんだろ」


確かにお前だから言ってるんだけどね


ちなみに顔を赤くする演技は頭の中で恥ずかしい事を想像するのが一番自然にできる


私は頭の中でお風呂上がりをシロ君に見られてしまう想像をした 予想以上に恥ずかしくなり演技に磨きがかかった


何も知らない人から見たら本当に照れてるように見えただろう 勿論、吉瑞にも


「そ、そっか…」


何、顔赤くしてんの?気持ち悪っ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

というわけで街に出た


「私が買いたい物なんだけど…まずは服かな」


「そっか、女の子だもんな!」


「うん、こんな世界でもオシャレはしたいし…」


「じゃあ行くか!」


「うんっ」


―――――――――――――――――――

服が売ってる店に着いた

この店は戦闘服から日常服までなんでもござれの服屋だ 少し前から私が目をつけていた店でもある


こいつを楽しませるという命令は守るけど無意味に午前中を過ごすのは流石にもったいないので服を買うわけだ


「どれにしよっかなー」


シロ君はどんな服が好みかな?露出は少なめの方が喜ぶかな?それとも多め?色はどうかな?色のバリエーションは少ないけどシロ君の好きな色はあるかな?


考えるだけでも楽しい


「俺、望月にはこの服が似合うと思うんだけど 望月はどう思う?」


こいつがいなければもっと楽しかっただろうけど


「その服可愛いねっ!でも私なんかに似合うかな?」


少しオーバーリアクション過ぎたか?まあ、そんな事こいつは気にしないか


「絶対似合うよ!試着室こっちだから、来て!」


はぁ…しんどい、でもこれでシロ君に許して貰えるなら安い物だ 


早く会いたいよシロ君…


私は吉瑞にニコリと微笑みながら試着室へと向かう


試着室に入るとさっき()()()選んだ服を着る


少し露出が多めで黒色の服だ、当然シロ君が好きな色は黒だからこれにした 


この世界にしては少し短めのスカートで動き易そうな服…おそらく戦闘用だろう その証拠に付属で太股にナイフを仕込めるレッグシースが付いている


もう一つは日常生活用の服、といってもまた露出が多い もう一つは露出少なめでいきたかったのだが露出が少ない服は奴隷等が着るもので女性は肌を見せるのが今の主流らしいのだ 

というわけで二着目は黒の短パン セットの上の服は所々に白い獣毛が飾られている

黒に白の獣毛が映えてとてもオシャレだ


他にも着たい服はあるが外で吉瑞が待ってるのでさっさと吉瑞が用意した服を着る


こいつが触っていた服を着るのか…でもしょうがない こいつにはできるだけ上機嫌でいてもらわないといけないし…


私は吉瑞が用意した服を着て鏡も見ずに試着室から出て吉瑞に見せる


「どう…かな? 似合ってる?」


「似合ってるよ!すっごく!」


「そ、そんな事言われると照れちゃうな…」カァァ


勿論、私が想像したのはシロ君に()()()()()|だ

《・》()() 似合ってる と言われる描写だ


―――――――――――――――――――


お会計の時、吉瑞がこんな事を言ってきた


「あ、代金は俺が払うよ」


それは素直に嬉しかった


だって買っても着ない服を買わされる所だったのだから


「いいの吉瑞君? 流石に全部は悪いからこの服の分は自分で買うよ」


この服 というのは当然自分が選んだ服だ、吉瑞が買った服なんて着られる訳がない 自分の服まで買われればたまったもんじゃない


「え?いいのか?俺が全部払うよ」


「大丈夫だよ ただでさえ買い物に付き合わせちゃったんだもん そこまでしなくていいよ」


お願いだから大人しく引き下がってほしい


「ええ?そうか?まあ、望月がそう言うなら…」


こうして服を買い終わった私達は城に戻る事にした


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「今日はありがとうね!吉瑞君っ!」ニコッ


本当に辛かった、でもそれも今日で終わりだと思うと 自然と最高の笑顔が出てしまう


「っ!…俺こそ、全然…」カァァ


「所でさ、望月」


「良かったらまた俺と「あ、午後の訓練始まるよ!先行ってるね!」


また今度行こう なんて言われる前にこの場を去る


それよりもシロ君にこの事をいち早く報告して許してもらおう



おっとその前に自室に寄って吉瑞が選んだ服を棄てて来なければ

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「あ!白兎君見っけ!」


服を棄てて来た私は自主訓練場に来てシロ君を見つけた


「ん?望月かどうしたんだ?」


「済ませて来たよ」


この一言で伝わるだろう


「そうか、忘れてそうだった?」


「うん!大丈夫!」


「はっ、それは何よりだよ」


「そんな事より早く訓練いこっ!」


そういって私は心から笑うのだった


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