閑話
封印から25年。色々あったなー。
「エルドルドさん、125年だって。娼館行くから、金貸して。」
ぼろぼろの羽でこの泉に来て、何度『インフェルノ』『ドラグスアマ』を放ったか。
「え?エルドルド宰相、あれ、俺にぶつけたの?何度も?!」
鷲さんに会えてなかったら、きっと私は雪空の下で死んでたかもしれない。
(鷲)「魔力切れ起こして、昏睡状態で雪原に倒れてたからな。否定できないな。」
ああ、本当に鷲さんは私の嫁さんだ。
(鷲)「いい加減、正気に戻れ!」
だって、本当は95年前にダメ賢者に会っていたんだよ!そんときに、お願いしてれば、国を作る手間も部下が転生するまで待つ時間も必要なかったんだよ?!
「魔王さんは、一瞬で部下蘇生出来るもんね。」
「あんときなら、国も一応は残ってたしな。」
何よりダメ賢者の借金の肩代わりしなくてすんだのに!
「あーそれなーm9」
「うわー。太井君、最低だね。」
(鷲)「ダメ賢者って言うより、ダメ人間だな。知り合いでしかない人間に漬け込んで、金をせびるなんて、男としてどうなんだ?」
「「確かに、ダメ人間だな。」」
「うわー。ひでー。俺、最低みたいじゃん。」
「『みたい』じゃなく、『最低』だ。」
「うわーん。誠さんの意地悪!」
「で、エルドルド宰相って、性別どちらなの?」
「なに言ってるんですか!誠さん。ハハッ!男に決まってるでしょ!」
「いえ、両方です。というか、無性別ですね。」
「あ、すみません、誠さん、正気に戻れました。」
「いえいえ。」
「嘘でしょ、エルドルドさん。なにもついてないの?」
「はい。私は特殊個体で、吸血以外の食事は不要ですし、それさえも排出する手段は魔法球で行われます。」
(鷲)「徹底しているな。」
「後、基本的に繁殖は出来ない個体である代わりに魔力が高いんですよ。だから、そう言った器官も無いですね。」
(鷲)「え、それ、生物なの?」
「特殊個体の吸血鬼ですよ?」
「こ、こんな可哀想な奴に俺は娼館をねだっていたのか。俺はなんて最低な賢者だ。」
「「それは周知の事実、クズ男め。」」
「ひでぇーー!」
そして、夜は明けていく